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側近選抜試験
試験−1
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1回戦Aブロックは・・リーダー、シャルフのチーム。
対、リーダー、ランツェのチーム。
「早速か!」
「行くよ。二人とも」
闘技場の舞台に出ると、観客の盛大な歓声が広がっている。
そして、おそらく一番上で玉座に座り、肘をついている女性が、テネレ王のレイラだろう。その姿を見ただけで、覇気と威厳が伝わってくる。
「レイラ様にいいとこ見せないとね」
「そうだな~」
対戦相手が返事を返してきた。
「そうよね」
言葉では、穏やかに見えつつも、2人の目は相手を睨みつけている。よほど、仲が悪いのだろう。
「ランツェだったよな。やっと、チーム組めたのか。だが、そんな結成したてのチームで勝てるのか」
「まぁね。そっちも油断しないことね。また、私にボコされないようにね」
気まずい雰囲気だ。
「はいはい、始めますよ。それぞれ、位置についてください」
審判役であろう軍の一員がやって来た。
2チームは、それぞれ左右に分かれ、戦闘準備に入った。
「では、始めてください」
位置についた瞬間、突如試合が始まった。
「さて、誰から狙おうか。ランツェを集中狙いしてもいいが・・。周りの二人の情報が足りないな。・・じゃあ、あいつからだな」
敵の3人の視点が蒼に向いた。
「気を付けて、蒼。来るよ」
「分かってる」
敵3人が、一斉に雷、風、炎の魔法弾を放ってきた。その標的は、予想通り、蒼だった。
「蒼、避けろ」
その攻撃の全てが蒼に命中した・・はずだった。
魔法弾の全てが蒼の目の前で、破裂し、蒼の目の前に煙だけが広がった。
「なっ!間違いなく当たったはず」
「何かしたのか!蒼」
約1ヶ月前・・ルイスとの修行中・・
「防御の仕方の話だが・・蒼は盾も作り出せるよな」
「はい・・」
「じゃあ、自身の周り全てを盾で覆ってみたらどうだ」
確かにそうすれば、攻撃が当たることは99%無くなる。だが、周囲が見えなくなる大きなデメリットが生まれる。
「だったら・・」
「ものは試しだ!今から、ナイフを数本投げる。全てをその剣を使わずに防いでみろ」
ルイスはそう言うと、8本のナイフを投げてきた。
蒼は魔力を消費し、盾で自身の周囲を覆い尽くした。
「おっ!」
全てのナイフが、盾に弾かれ、地面にカランと音を立て、落ちた。
上手くいった。あとは、これをタイミングよく発動するだけだ。
「いいね~!やっぱり、筋がある。このまま、その力を極めていこうか」
「よろしくお願いします」
その後、何回も思考を繰り返し、攻撃が命中するタイミングの0,3秒だけ盾を作り出すことに成功した
闘技場内・・
蒼は、その事情をコッソリ2人に教えた。
「そんなことができるなら、早く言ってよ」
「ごめん。2人には、サプライズ感覚で見せたかったんだ」
蒼はそう言うと、対戦相手の方に振り返った。
「何をした!」
相手は全く仕組みを理解していないようだ。なおさら、トリックを明かす必要性も全く無いだろう。
「教える必要はないな。知りたいなら、色々試してみたらどうだ」
蒼はそう言い張ると、ゆっくりと敵の方に歩み始めた。
「クソっ!なら・・やるぞ!」
リーダーのシェルフの合図で、敵3人は一斉に魔法弾やナイフを投げつけてきた。それも無意味に終わるのだが・・。
「連発力はすごいな・・」
何十個もの盾を出したり、消したりをものの3秒の間に十数回は繰り返した。そんな芸当を行っても、まだ魔力は9割以上残っている。
「少しはダメージが与えられ・・」
「いや、全く・・」
敵は言葉も出せずに唖然としている。仕組みを知らない人からしてみれば、至極当然の反応だろう。
「蒼。今、作戦が練れたよ。・・リーダの相手は任せるよ」
ランツェとサンダーの二人は、武器を構え、敵の2人に突撃した。二人なら余裕で何とかなりそうな戦力差だ。
「さて、続きを始めていいよ。まぁ、当たらないと思うけど・・」
「遠距離が駄目なら、近距離だ!」
シェルフはそう言い、剣を抜くと、切りかかってきた。
それに対して、蒼は十数本もの刀を生み出し、一斉に飛ばした。
「そんなもの・・」
シェルフは、全てを弾き返そうと、剣をふるった。
だが、弾き返せずに、何本かの刀がシェルフの体を傷つけた。以前の力のままだったら、全ての刀が弾かれていただろう。その上、本数も4本のままだっただろう。
発射スピードが上がったのが理由だろう。
「さて、このまま畳み掛けてもいいけど・・」
蒼は、更に、12本の刀を浮かばせ、そう言った。
「ちっ!」
シェルフは、蒼のことを睨みつけてきているが、息切れをしている。膝もつき、既に満身創痍だ。
蒼は、シェルフの前まで来ると、刀を突きつけた。何も言わずに、睨み返す。
「フッ・・今だ」
シェルフは起き上がり、再び蒼に剣を振るい出した。
「そんな卑怯じみた攻撃に当たるとでも・・」
蒼は刀を抜き、目に追えないほどのスピードで、上に振り上げた。そして、その攻撃はシェルフの手から剣を離れさせ、吹き飛ばしてしまうほどの威力だった。
「(この状況はどう考えてもまずいな・・なら・・)2人共、集合だ!今からは、3人がかりでこいつを集中狙いするぞ!」
強くなった蒼にとって、戦闘というものが楽しくてたまらないものになっている。
対、リーダー、ランツェのチーム。
「早速か!」
「行くよ。二人とも」
闘技場の舞台に出ると、観客の盛大な歓声が広がっている。
そして、おそらく一番上で玉座に座り、肘をついている女性が、テネレ王のレイラだろう。その姿を見ただけで、覇気と威厳が伝わってくる。
「レイラ様にいいとこ見せないとね」
「そうだな~」
対戦相手が返事を返してきた。
「そうよね」
言葉では、穏やかに見えつつも、2人の目は相手を睨みつけている。よほど、仲が悪いのだろう。
「ランツェだったよな。やっと、チーム組めたのか。だが、そんな結成したてのチームで勝てるのか」
「まぁね。そっちも油断しないことね。また、私にボコされないようにね」
気まずい雰囲気だ。
「はいはい、始めますよ。それぞれ、位置についてください」
審判役であろう軍の一員がやって来た。
2チームは、それぞれ左右に分かれ、戦闘準備に入った。
「では、始めてください」
位置についた瞬間、突如試合が始まった。
「さて、誰から狙おうか。ランツェを集中狙いしてもいいが・・。周りの二人の情報が足りないな。・・じゃあ、あいつからだな」
敵の3人の視点が蒼に向いた。
「気を付けて、蒼。来るよ」
「分かってる」
敵3人が、一斉に雷、風、炎の魔法弾を放ってきた。その標的は、予想通り、蒼だった。
「蒼、避けろ」
その攻撃の全てが蒼に命中した・・はずだった。
魔法弾の全てが蒼の目の前で、破裂し、蒼の目の前に煙だけが広がった。
「なっ!間違いなく当たったはず」
「何かしたのか!蒼」
約1ヶ月前・・ルイスとの修行中・・
「防御の仕方の話だが・・蒼は盾も作り出せるよな」
「はい・・」
「じゃあ、自身の周り全てを盾で覆ってみたらどうだ」
確かにそうすれば、攻撃が当たることは99%無くなる。だが、周囲が見えなくなる大きなデメリットが生まれる。
「だったら・・」
「ものは試しだ!今から、ナイフを数本投げる。全てをその剣を使わずに防いでみろ」
ルイスはそう言うと、8本のナイフを投げてきた。
蒼は魔力を消費し、盾で自身の周囲を覆い尽くした。
「おっ!」
全てのナイフが、盾に弾かれ、地面にカランと音を立て、落ちた。
上手くいった。あとは、これをタイミングよく発動するだけだ。
「いいね~!やっぱり、筋がある。このまま、その力を極めていこうか」
「よろしくお願いします」
その後、何回も思考を繰り返し、攻撃が命中するタイミングの0,3秒だけ盾を作り出すことに成功した
闘技場内・・
蒼は、その事情をコッソリ2人に教えた。
「そんなことができるなら、早く言ってよ」
「ごめん。2人には、サプライズ感覚で見せたかったんだ」
蒼はそう言うと、対戦相手の方に振り返った。
「何をした!」
相手は全く仕組みを理解していないようだ。なおさら、トリックを明かす必要性も全く無いだろう。
「教える必要はないな。知りたいなら、色々試してみたらどうだ」
蒼はそう言い張ると、ゆっくりと敵の方に歩み始めた。
「クソっ!なら・・やるぞ!」
リーダーのシェルフの合図で、敵3人は一斉に魔法弾やナイフを投げつけてきた。それも無意味に終わるのだが・・。
「連発力はすごいな・・」
何十個もの盾を出したり、消したりをものの3秒の間に十数回は繰り返した。そんな芸当を行っても、まだ魔力は9割以上残っている。
「少しはダメージが与えられ・・」
「いや、全く・・」
敵は言葉も出せずに唖然としている。仕組みを知らない人からしてみれば、至極当然の反応だろう。
「蒼。今、作戦が練れたよ。・・リーダの相手は任せるよ」
ランツェとサンダーの二人は、武器を構え、敵の2人に突撃した。二人なら余裕で何とかなりそうな戦力差だ。
「さて、続きを始めていいよ。まぁ、当たらないと思うけど・・」
「遠距離が駄目なら、近距離だ!」
シェルフはそう言い、剣を抜くと、切りかかってきた。
それに対して、蒼は十数本もの刀を生み出し、一斉に飛ばした。
「そんなもの・・」
シェルフは、全てを弾き返そうと、剣をふるった。
だが、弾き返せずに、何本かの刀がシェルフの体を傷つけた。以前の力のままだったら、全ての刀が弾かれていただろう。その上、本数も4本のままだっただろう。
発射スピードが上がったのが理由だろう。
「さて、このまま畳み掛けてもいいけど・・」
蒼は、更に、12本の刀を浮かばせ、そう言った。
「ちっ!」
シェルフは、蒼のことを睨みつけてきているが、息切れをしている。膝もつき、既に満身創痍だ。
蒼は、シェルフの前まで来ると、刀を突きつけた。何も言わずに、睨み返す。
「フッ・・今だ」
シェルフは起き上がり、再び蒼に剣を振るい出した。
「そんな卑怯じみた攻撃に当たるとでも・・」
蒼は刀を抜き、目に追えないほどのスピードで、上に振り上げた。そして、その攻撃はシェルフの手から剣を離れさせ、吹き飛ばしてしまうほどの威力だった。
「(この状況はどう考えてもまずいな・・なら・・)2人共、集合だ!今からは、3人がかりでこいつを集中狙いするぞ!」
強くなった蒼にとって、戦闘というものが楽しくてたまらないものになっている。
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