異世界帰還書紀＜１＞

空花　ハルル

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側近選抜試験

試験−5

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ランツェ　対　ラム・・
「こうやって、真剣勝負をするのは久しぶりね！ラム！」
「そうね。学生時代のリベンジができる時が来るとは思ってなかったわよ」
「私もよ。どう？強くなった・・前は私にボコボコにされていたけど、張り合えるようになった？それとも追い抜かしちゃった？」
ランツェは小笑いしながら、そう言った。
「まぁ、戦えば分かるわよ。じゃあ、早速始めましょ！行くよ！」
ラムは槍を構えると、猛スピードで攻撃を仕掛けてきた。まず、スピードはかなりの成長を遂げているようだ。
ランツェも槍で迎え撃つ。
槍と槍がぶつかり合う。キリキリと音も立てる中、両者お互いに軽く睨み合っている。
「やるわね！ラム」
「そうでしょ！だけど、まだまだこんなものじゃないわよ。それと、分かっていると思うけど・・空間魔法にも気をつけた方が良いわよ」
ラムがそう言った瞬間、耳の真横で破裂音がした。
「（このまま、押しつぶされたら、致命傷を負うことになるわね。一撃でも喰らうわけにはいかない！）外してるじゃない」
「警告のつもりだから、ワザとよ・・友達が大怪我負うところ、目の前で見たくないしね」
「そう、ありがたいけど・・その気遣いが敗因となっても、言い訳はしないでよ、ね！空間魔法は、あくまで半透明の空間を作り出す。目を凝らせば、肉眼でも余裕で視認できる。避けることは容易い）」
ランツェはラムの槍を押し返した。
そして、ラムがうろたえた隙に魔法をぶつける。ランツェは、相手が誰であろうと容赦しない。
「『フレイムショット』！」
ランツェが放った炎は、ボンッと音を立て、ラムの腹に直撃した。
「ぐっ！流石、容赦ないね、ランツェ。・・『ジェネレ』・・『コンプレ』」
聞き慣れたラムの魔法の詠唱だ。
空間を生成。そして、圧縮する。
炎は、ブォンという音と一緒に押し消されてしまった。
「やっぱり簡単に消されてしまうわね。だけど、これは消しきれる？『ミティアフレイム』！（まずの、１つ目の新技。まだ何個かあるけど、決勝までに３個くらいは隠しておきたい）」
いくつもの炎の塊が流星のようになり、ラムに降り注ぐ。
「『ジェネレ』・・『エクステン』（この量は、弾くしかないわね）」
「（知らない呪文だ・・様子見するしかないわね）」
ランツェは近接攻撃を諦め、後ろに５歩引いた。
ラムの魔法が発動された。
空間が生成されるところまでは、見慣れた光景だった。４つも一気に生成してはいたが、これも知っている。
だが、突如、その空間が拡張したように見えた。いや、破裂したのか。
その勢いで流星は、四方八方に飛び散っていった。
「私も進化してるのよ！空間というものは、使いようによっては、いくらでも形を変えられるのよ！（まだまだ全然、大きなものは作り出せないけど・・）」
「そう・・確かにかなり強くなっているみたいね。だけど、その程度なら、いくらでも対応できる！」
ランツェは再び魔法を発動させる為、唱えだす。
「（少し厄介な）またあの魔法ね！させない」
ラムがランツェに向かって、８本のナイフを両手に持ち、投げてきた。
「そんな程度の攻撃で邪魔できるとで・・」
ナイフがランツェの近くで突然姿を消した。それも、ほんの一瞬の瞬きの間だけで。
「消えた！いったい、どこにいっ・・」
その瞬間、ランツェの足に違和感ができた。下を見ると、何滴かの紅い液体が滴っていた。
「痛っ！（ラムの能力だと思うけど、どういうこと・・？消えたナイフが突然・・）」
「驚いた？仕組みは、空間の一時的圧縮。詳しく言うと・・極小まで縮めたナイフを、直前で拡大させたのよ」
「なるほど・・（圧縮、拡張この２つを起用に使いこなしているのね。空間は見切れても、ナノサイズの物体は肉眼では見切れない！）なら・・」
ランツェは、手っ取り早く勝利を掴む選択を取ることにした。
力の温存のため、決勝まで使いたくなかったが。
その方法というのは、吸血鬼の力を使用するというものだ。
闇魔法は使わない。使わなくても、動体視力、身体技量など基礎的な身体能力が限界まで引き出される上、飛行が可能になるのは言わずもがな。
だが、それは１０分間だけの話。
「容赦なしって、訳ね！私も本気でいかせてもらうわよ。大怪我を負っても、私のせいにしないでよ」
ラムが下で再び両手でナイフを構えている。おそらく、まず羽を狙ってくるだろう。
バサバサッとコウモリの羽を羽ばたかせる。
「フッ！」
ランツェは鼻で笑った。と共に瞬時にラムの後ろに移動した。
サンダーに負けず劣らず並のスピードだ。
「速い！だけど、そんな近くに来ていい・・」
ランツェはラムの背中にツンと軽く、槍の先を突きつけた。血が少しだけにじみ出ているが、脅しとしては十分だろう。
「この状況どうする、ラム。ラムとしても、私としても、ここでリタイアしてくれたら、お互いに得しかないと思うけど・・断るなら、このまま悪いけど、貫通させる！ちゃんと臓器は避ける・・けど、大怪我は避けられない」
「リタイアす・・」

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