がらくとぽんこ 〜あるいは、未知のエネルギーを独占した大英雄もしくは大悪党の物語〜

ブルー・タン

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第二章 魔法陣(試行錯誤)編

015_ガラクと魔法陣作成(その5)

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 材料はほとんど揃ったものの、魔力結晶を作成する魔法陣は元にする下書きがある状態でも1日や二日で完成するものではないため、結局は作業用コンテナを出して箱を出して魔法を展開した上で作業ができる環境を考える必要がある。
 現状、ニュースの影響で本職の映像撮影者がいる可能性が高い状況では隔壁を超えて行き来するのはリスクが高すぎる現状、明日は公休日だからスクラに話をした上で自宅で作業をする方向で行くか考えながら帰宅した。
 
 翌朝、スクラと普段より少し遅めの朝食を摂ると、スクラに昨日考えていた話をようやくすると以下の内容で話をした。
 ① 箱の魔法を展開した状態で作業をするため、自宅で体感時間で数十日ほど経過すること
 ② その間、必要な時は魔法陣の作成に必要な作業を手伝ってもらいつつタブレットで魔法の発動に関する勉強を進めようと思うこと
 ③ そのために必要な食料が1日9パックで500食ほど必要なので買いに行くので一緒に行こう
 スクラとしては早く魔法の勉強が進むなら特段問題ないし、魔法陣の作成に必要な作業を手伝って欲しいと言われたことは、自分がずっと1人で頑張ってるガラクの助けになれると感じたし、2人でお買い物も久しぶりだったので、どの提案も嬉しいもので拒否する理由は一つもなかった。
 スクラが早く行こうとスーツを装備するために自室に戻ったので、ガラクも部屋着から普段着にさっさと着替え、2人で最寄えきに向かい始めた。
 同じ店の食料パックばかりでは味に飽きてしまうので、無人販売所以外にもパック自体に温め機能のあるちょっと高級な食料パックの売っている有人店にも2箇所ほど立ち寄って大量に買い込み、作業中引き篭もるために必要な数を揃えた。
 どの店もガラクが一抱えするような箱でいくつかの荷物になり有人店では本当に持ち帰れるのかと心配もさてたものの、スクラに多めに抱えてもらいつつ、小道に入る角を曲がってすぐに収納魔法に格納して行った。
 収納魔法に食料を格納していく様子を側で目をキラキラさせて覗き込んでいるスクラを微笑ましく思いながら、少し誇らしげに作業を行って帰路についた。
 駅前の繁華街を離れる際も、荷物を抱えているわけでもない若い2人を囲むような輩もいないため、これからの作業や魔法の勉強に心躍らせながらイソイソと帰宅した。
 帰宅してガラクとスクラの部屋が範囲に入るようにリビングに箱を設置して作業を開始する。
 ガラクは予定していた魔法陣の作成を開始しつつ、この2日間で作成した魔力結晶の粉末は魔法陣1つにギリギリ足りる程度の分量しかないため、スクラにはまずこれから作成する魔法陣が失敗した場合に備えて、本番の魔法陣に使用する魔力結晶8個分を石臼で粉末にする作業をしてもらう。
 スクラは女の子とは言え、シロクマの獣相が発現したガラクより遥かに大柄な体格と、それに見合った筋力をしているので、ガラクが筋力強化の魔法をかけると、ガラクの数倍の速度で作業が進行して瞬く間に魔力結晶が粉末の山になってしまった。
 ガラクの想像より遥かに早く作業が終了したため、読めなかったり意味がわからなかったらガラクの作業中でも良いので声をかけてわからない部分を確認するように言い含め、魔法の発動について説明されているページを表示したタブレットを手渡した。
 このタブレットは基本的にガラク個人が使用者として登録されていることにより、他人によるあらゆる操作、それこそページのスクロールすら受け付けないため、本来は別に教材の準備をするつもりだったが、作業への移動を撮影されるなどの問題が発生したことにより作業全体に遅れが生じてしまったため、やむをえず10歳の子供には難しい言い回しで記載されている部分も多いタブレットを直接見せることにした。
 ガラク自身の作業は可能な限り失敗を避けるためできるだけ慎重かつ丁寧に作業を進めつつ、スクラから声をかけられた場合は即座に作業を中断しスクラの勉強の進行を優先することにした。
 体感時間で14日ほど経過したころ、魔力結晶を造るための魔法陣を鉄板に刻印する作業が全体のチェックも含めて完了した。
 作成してみた結果として、何度か線が切れたり太すぎた場所は鉄線を極細鉄線で融解して穴埋めをしたり、全体の線をエネルギーパックで微細振動を発生させて動くヤスリで線を均一化したり、魔法陣の線を刻印する作業自体より修正の方が時間がかかったものの、後から修正ができないインクによる記載作業と違い、多少のミスは修正ができるためかなり満足の行く精度の高だで魔法陣の線を刻印できた。
 そこで、あらかじめ作成しておいた魔力結晶の粉末を鉄板の上にサラサラと落として小さな山を作り、それを少し弾力性のある樹脂性のヘラを使って刻印した魔法陣の線に満遍なく埋めていき、少し余った魔力結晶の粉末は今後のために回収、刻印以外の場所に魔力結晶の粉末が残っていないか入念にチェックをしてた。
 魔力結晶の上からアーク溶接の要領で魔力結晶を固定していく作業を開始する前に食事をすることにした。
「スクラ。しばらくは作業に集中する必要があるから部屋に入ってこないでほしい。ご飯の時間になったら外から声かけてくれていいから。わからないところはその時にまとめて聞いてね」
 ガラクの真剣な眼差しに、黙って頷くスクラ。
 食事を終了してガラクは最終工程の作業を開始した。
 
 体感時間で10日ほど経過した頃に、魔力結晶の粉末で埋まっている魔法陣の線を溶接で埋めて固定していく作業が完了した。
 食事と睡眠以外の時間は神経を擦り減らす作業をぶっ通しで10日間続けるのは、脱出する時を彷彿とさせる疲労感としてガラクを襲っていたが、完成した魔法陣の発動実験を前に完全に麻痺していた。
 この魔法陣が正しく発動した場合、周囲に存在する魔力を集めてそのうちの一部を魔法陣とそれが発動している魔法の維持に使用し、残りの魔力が魔法陣によって精製される魔力結晶に注ぎ込まれ、そのサイズの拡大に割り当てられる。
 そのため、魔法陣発動以降は魔法陣を停止させるか魔法陣が完全に劣化してしまうまで、その効果により自動で魔力結晶をガラクに供給し続けることになる。
 スクラに魔法陣が完成したことを告げた後、ガラクあ魔法陣が本当に発動するのか不安な気持ちに心臓の鼓動が聞こえるほどに緊張しながら、自室で魔法陣に魔力を流し込んで発動した。
 発動しても見た目上は特に変化をしなかったものの、緊張したまま10分ほど観察していると魔法陣の中央に粉末のような小さな魔力結晶が精製され始めた。
 それは魔法陣の作成が成功した証だった。
 そのまま歓喜の奇声を上げながらそばにいたスクラに抱きついがかと思うと一言
「ごめん、寝る」
 魔法陣については後は部屋の隅にスペースを作って置いておけば、魔力結晶は少しずつ大きくなっていくはずなので、安心してベッドに潜り込み、体感時間で10時間ほど身じろぎ一つせずに懇々と眠っていた。
 その間、何度か様子を見にきたスクラが、優しそうな嬉しそな笑顔を浮かべながらそっと額を撫でていたことをガラクは知らなかった。

 色々と試行錯誤をした上での結論として、魔法陣の作成は紙にインクを使って記載する方法は修正が効かないため現状ではあまり向いておらず、修正を加えながら鉄板に直接刻印した方が作成自体には時間がかかるかも知れないが効率が良いことがわかった。
 ただし、元になる魔法陣のデータが保管されているタブレットはスクラの教育のために使用しているため、一度、タブレットに表示されている魔法陣を画像として別の媒体に保存し、それを見ながら作業する方法を取ることとした。
 それからの作業は今まで魔法陣の練習など、非効率な方法をとっていたのがわかるほどスムーズに進み、体感時間で28日で自分以外の休眠状態の魔力をアクティブにして魔力の存在を感知させ、魔力操作を覚えるための土台となる魔法陣が完成した。
 その頃にはスクラの魔法発動に関する座学もほぼ終了してるとはいえ、事前に準備した食料が底をつき始めたので、明日の朝にでも魔法陣を使用してスクラの魔力を休眠状態からアクティブにすることにして箱を収納魔法に格納してその日の作業を終了することにした。
 
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