僕がこうなった理由

新生活

家

　トーリがベッドを譲ってくれたけど、流石にそれは悪いと思った僕は、ソファーで寝ることにした。

「それじゃ、おやすみね、トーリ。」

「うん、また明日ー。」

　眠そうなトーリの返事が返ってくる。正直僕はまだあまり眠くない。
　そこでふと、先程の会話を思い返してみる。家を作る、か。ってえ？家、作れるものだっけ・・・？ゲームの世界ならまだしも、この変な世界で家なんて作れるの？

「まって、無理じゃん・・・。」

「むにゃぁ・・・。」

トーリの寝言のような声が聞こえた。

「・・・。」

　まさかだけど、トーリもルルアも自分で家作ったわけじゃないよね？小学生の女の子にそんなことできるはずないし・・・。
　あーえいっ！考えても拉致があかない！寝よう。そう言って僕は寝た。


　　　　　　　　　　　★*ﾟ


　「ほらユウ、早く起きて！」

「あとごふーん・・・」

僕はお決まりのセリフを放つ。しかし、トーリは容赦しない。

「お、き、な、さ、い。」

「・・・、は、はぁい。」

僕は素直に目を覚ます。そして思い出したかのようにいう。

「トーリ！家ってどうやって作るの！？」

「え？そんなことも知らないの？」

「え？う、うん、知らないから教えてよ。」

そんなこともしらないのって言われても困る。

「いいよ、まず家を作るイメージをして。あ、作りたい場所でイメージするんだよ。とりあえず行こ？」

「な、なるほど！行こう！あのさ、と、トーリの家の近くでもいいのかな？」

「どこでも文句ないよ。」

「じゃあここで！」

　僕は、トーリの家のすぐ近くを指すとそういった。

「全然OK！じゃあ、イメージしてみて？」

「家を作るイメージだね。」

　集中するために目を瞑った。

「んんーっ・・・」

少し力を入れる。


にょ、き。


　妙な音がしたから集中が切れ、目を開けてしまった。そこには、

「これが家だよ。」

トーリが、手のひらサイズの変なものを指してそういった。

「は、はぁ！？住めないじゃん！人入んないよ！？」

「あ、ユウ。この世界に来たなら2度とひとなんていわないで。気持ち悪いし。」

「ご、ごめん。」

　そう言うとトーリはニコッと笑い、

「大きくするイメージもしてみな。」

と言ってきたので、

「ん、んーっ!!」

大きくするイメージをしてみた。目を開けると、

「わぁ！」

綺麗な家がたっていた。

「え、ええー！？」

トーリがすごく驚いた顔をした。

「どうしたの？トーリ」

「ご、ごめんね、私ホントはこんなにちゃんと家が建つなんて思ってなかった。ほ、本当はね、手伝うつもりだったんだ。だけどまさかこんなに立派な家が建っちゃうなんて！」

そういって、僕の手をつかむと、

「あなた、すごいよ！」

最強の武器、笑顔でそんなことを言われてしまった。

素直に僕は照れた。