僕がこうなった理由

治癒能力

助ける

　「大丈夫？」

ふと、誰かに声をかけられたような気がしたから、あたりを見渡すと何も無い。

「なんだ、今の・・・」  

ピーチクチク。聞こえるのは鳥の声だけ。

「・・・」

気配を感じるが、あたりは真っ暗だ。

「あ、の、誰かいるんですか・・・？」

北のホッカロ・・・。ピーチクチク。なんだっけ・・・？

「ここ、どこでしたっけ・・・」

何も思い出せない。

「あ、あの！誰か！」

「ごめんなさい、起きてたんですね。」

遠くから声が聞こえた。

「私が眠っちゃってた。それで、大丈夫？」

「あ、僕は大丈夫だよ。それより、ここ、どこ？僕は何してたんだっけ・・・？」

「き、記憶喪失！？」

真っ暗な暗闇の中、彼女は僕に近づいてきたきがした。

「ここは、私の家の中だよ、顔、見える？」

「な、何言ってんの？」

真っ暗な暗闇だぞ？

「見えるわけないじゃん、こんな暗闇の中で。」

「・・・見え、ないんだ・・・。」

「？」

何その声。すごく残念そうに言われる。

「あなたはね、私の家の近くで倒れてたから、連れてきただけの他人だよ。ていうか、私はトーキって言うんだ。」

「なんだか、前に僕がずっとお世話になった人に名前が似てるね。」

ゆったりと、トーリのことを思いだす。

「あ、そうなんだ。ねぇ、あなたは誰？」

「僕？僕かい？僕はユウ、だよ。」

「ゆ、ユウ、か。」

彼女、トーキはにっこりと微笑むと、

「聞いたことあるよ、その名前。理由は・・・、忘れちゃったけど・・・。」

「そうなんだ、それより、今何時？」

「え？あ、えっと、よ、夜中の2時だよ。」

「そっか、ありがとうね。」

と、言いながら妙な違和感を覚える。

ピーチクチク。

鳥の声、夜中に聞こえるのか？そんなはずない。じゃあなぜあたりは真っ暗なんだ？

勇気を持って、トーキに尋ねると

「え、そ、それは。」

覚悟を持っていう。

「僕の目、おかしいんだろ？」

トーキがこくんと頷いたような気がした。