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薔薇の香りと剣舞曲
1 まじっ、いきなりやられるの!?
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視界が明るくなると同時に、コロコロと水が流れる音、小鳥のさえずりが360度のパノラマで聴こえてくる。よしっと、歩こうとしたら……
視界が傾いて『ドサッ』と、音がした。
── これが僕のアンタレスONLINEの第一歩だった。
△▽△▽ △▽△▽ △▽△▽
今夜20時に、アンタレスONLINEクローズドβテスト版がスタートする。ダメ元で応募していた抽選に当選したんだ。
日本が誇るオンラインゲームの大会社、タチバナコーポレーションが十年以上の月日をかけて人間をスキャンしてきた集大成のゲームのアンタレスONLINE。
このゲームがどれだけ凄いかって言うと、NPCが人間と変わらないアルゴリズムで存在しているんだ。
オンラインTVで流れていたCMは、『君と共に戦う彼や彼女達は、本当に人なのか?』って、ずっと言い続けていた。
本当の人では無いのに、昨日の事を覚えているし、明日の約束も出来る。怒ったり泣いたりする擬似感情は本物の人から持って来ているし、巨大なデータベースに蓄積された現実世界の過去から現在までのありとあらゆる情報にアクセスして、僕達の会話に合わせる事が可能。
ゲームの中の人が、まるで僕達と変わらない人。
それがアンタレスONLINE。
ゲームの中なのに作られた人が生きている、僕達が夢見ていた異世界を人間ごと作り上げてしまった電脳世界は、異世界に転移する願望をリアルに再現出来ちゃうわけで、めちゃくちゃ競争率が高かった。
ちなみに剣と魔法が溢れるファンタジー世界ってのはお決まりだけどね。
家に帰ると早速【 シンクロ型VRヘッドギア 】なる物をベッドに置いて、ゲーム機とシンクロさせていく。こいつはバイト代二ヶ月分をハタいて買ったんだ。
最新デバイスの脳波とリンクするヘッドギア。頭から被ったら、実際の人間が見ている視界と同じ範囲をカバーするように作られた曲面の暗いスクリーンが見えた。
頭部に沢山のセンサー、口元にマイクがあってスピーカーが全方向に付いている豪華仕様。これで音のリアル感が100%再現出来るそうだ。
取り敢えず、ゲーム機をオンラインにしてダウンロードしたアンタレスONLINEクローズドβテスト版を立ち上げる。
時計を見ると、夜21時を過ぎてしまっていた。友達と飯を食ってたらうっかり遅くなってたんだ。少し焦りながらVRヘッドギアを装着した。
「ふふっ」
ゲームが立ち上がるまでの時間に、VRヘッドギアを被った状態の自分を写メで撮ってそれを見てみたら、顔面拘束具で自虐中の変態が写っていた。
「おっと、始まったぜぇ!」
気合いを入れて声を出して、視線をキョロキョロしていると、目の前のスクリーンにゲーム画面が映し出されて来た。
アンタレスって赤い文字の流星が夜空に流れて、ハープの音色と共に[ログインしてください]って視界に浮かんだので、パスワードとIDをちゃっちゃと入力して、ログイン完了。
── あの、僕手元にあるキーボードが見えないんですけど……
今気がついたけど、ブラインドタッチがログイン時に必須だよね、このゲーム。チャットとかは、マイクで出来るって公式には書いてあったけど、コマンドを打ち込む時にスクリーン見ながらキーボード打てない奴には、いきなりハードル高いと思う。画面にキーボードが表示されればいいだけなんだけどさ。
こんな報告をするのも、クローズドβテストに当選した僕の義務だ。
まっそれは置いといて、使用するキャラを決めていく。もちろん僕はビジュアル重視、そして種族はヒューマン。
── なぜヒューマンを選ぶかって?
それはなんとこのゲームの国王はヒューマンしかなれないという謎の設定が存在するからだ。一応だよ、一応。もしかしたら僕が国王になるかもしれないじゃん……んなわけないかっ。
ちなみに他の種族は、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、獣人で、獣人には色々なタイプを今後実装していくそうだ。
種族を選んだから次は職種。僕は聖騎士を選んだ。剣と魔法が使えるクラスなんだけど、選んだ本当の理由は公式サイトの王様のイラストが聖騎士だったからだ。
ヒューマンの聖騎士、やっぱりイメージは重要だし。それから名前はカッコいいのがいいよな。漢字入力OKみたいだし。よしっ、僕の名前は……
『ラヴィアンローズだ』
かっこいい! 漢字関係無いけど。
みんなから『ラヴィさま~』なんて呼ばれる日が待ち遠しいぜっ。
想像だけで興奮してきたけど、サーバーを決めなきゃ。
※ βテストでのキャラは1人のみです( 変更不可 )
※ サーバーの変更は出来ません
※ サーバーは1つしかご利用出来ません
こんな決まりが出て来た。という事は、1回キャラを決めてログインしたら、その後はずっと同じサーバーでプレイをしなければならないって事か。
実はβテストではこれが良くあるし、後々に影響してくる非常に大事な事でもある。さて、どのサーバーに入るか?
プレイしている人が少なければ少ないほど、天下を取れる確率が上がる。つまりスタートダッシュが決められる、これ重要。まぁ、既に乗り遅れてはいるけど大した遅れでは無いはずだ。
サーバーの一覧を見ると……
━━━━━━━━━━━━━━━
サファイアサーバー 3890
ルビーサーバー 2569
トパーズサーバー 1562
エメラルドサーバー 6
━━━━━━━━━━━━━━━
の4つが表示されている。
おいおい、最後のエメラルド鯖ってついさっき追加でもされたのかな、めっちゃ空いてるじゃん。まじ今ならスタートダッシュ決めれるかも。うっひゃっひゃっひゃっ…… 先に始めた奴、乙~。
当然、僕はエメラルド鯖のボタンを押した。
── 期待が膨らむっ、これから始まる僕のサクセスストーリーに乾杯!
少しのローディングタイムの後、ついにアンタレスONLINEが始まった。
△▽△▽ △▽△▽ △▽△▽
視界が明るくなると同時に、コロコロと水が流れる音、小鳥のさえずりが360度のパノラマで聴こえてくる。よしっと、歩こうとしたら……
視界が傾いて『ドサッ』と、音がした。
視界が傾いて『ドサッ』と、音がした。
── これが僕のアンタレスONLINEの第一歩だった。
△▽△▽ △▽△▽ △▽△▽
今夜20時に、アンタレスONLINEクローズドβテスト版がスタートする。ダメ元で応募していた抽選に当選したんだ。
日本が誇るオンラインゲームの大会社、タチバナコーポレーションが十年以上の月日をかけて人間をスキャンしてきた集大成のゲームのアンタレスONLINE。
このゲームがどれだけ凄いかって言うと、NPCが人間と変わらないアルゴリズムで存在しているんだ。
オンラインTVで流れていたCMは、『君と共に戦う彼や彼女達は、本当に人なのか?』って、ずっと言い続けていた。
本当の人では無いのに、昨日の事を覚えているし、明日の約束も出来る。怒ったり泣いたりする擬似感情は本物の人から持って来ているし、巨大なデータベースに蓄積された現実世界の過去から現在までのありとあらゆる情報にアクセスして、僕達の会話に合わせる事が可能。
ゲームの中の人が、まるで僕達と変わらない人。
それがアンタレスONLINE。
ゲームの中なのに作られた人が生きている、僕達が夢見ていた異世界を人間ごと作り上げてしまった電脳世界は、異世界に転移する願望をリアルに再現出来ちゃうわけで、めちゃくちゃ競争率が高かった。
ちなみに剣と魔法が溢れるファンタジー世界ってのはお決まりだけどね。
家に帰ると早速【 シンクロ型VRヘッドギア 】なる物をベッドに置いて、ゲーム機とシンクロさせていく。こいつはバイト代二ヶ月分をハタいて買ったんだ。
最新デバイスの脳波とリンクするヘッドギア。頭から被ったら、実際の人間が見ている視界と同じ範囲をカバーするように作られた曲面の暗いスクリーンが見えた。
頭部に沢山のセンサー、口元にマイクがあってスピーカーが全方向に付いている豪華仕様。これで音のリアル感が100%再現出来るそうだ。
取り敢えず、ゲーム機をオンラインにしてダウンロードしたアンタレスONLINEクローズドβテスト版を立ち上げる。
時計を見ると、夜21時を過ぎてしまっていた。友達と飯を食ってたらうっかり遅くなってたんだ。少し焦りながらVRヘッドギアを装着した。
「ふふっ」
ゲームが立ち上がるまでの時間に、VRヘッドギアを被った状態の自分を写メで撮ってそれを見てみたら、顔面拘束具で自虐中の変態が写っていた。
「おっと、始まったぜぇ!」
気合いを入れて声を出して、視線をキョロキョロしていると、目の前のスクリーンにゲーム画面が映し出されて来た。
アンタレスって赤い文字の流星が夜空に流れて、ハープの音色と共に[ログインしてください]って視界に浮かんだので、パスワードとIDをちゃっちゃと入力して、ログイン完了。
── あの、僕手元にあるキーボードが見えないんですけど……
今気がついたけど、ブラインドタッチがログイン時に必須だよね、このゲーム。チャットとかは、マイクで出来るって公式には書いてあったけど、コマンドを打ち込む時にスクリーン見ながらキーボード打てない奴には、いきなりハードル高いと思う。画面にキーボードが表示されればいいだけなんだけどさ。
こんな報告をするのも、クローズドβテストに当選した僕の義務だ。
まっそれは置いといて、使用するキャラを決めていく。もちろん僕はビジュアル重視、そして種族はヒューマン。
── なぜヒューマンを選ぶかって?
それはなんとこのゲームの国王はヒューマンしかなれないという謎の設定が存在するからだ。一応だよ、一応。もしかしたら僕が国王になるかもしれないじゃん……んなわけないかっ。
ちなみに他の種族は、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、獣人で、獣人には色々なタイプを今後実装していくそうだ。
種族を選んだから次は職種。僕は聖騎士を選んだ。剣と魔法が使えるクラスなんだけど、選んだ本当の理由は公式サイトの王様のイラストが聖騎士だったからだ。
ヒューマンの聖騎士、やっぱりイメージは重要だし。それから名前はカッコいいのがいいよな。漢字入力OKみたいだし。よしっ、僕の名前は……
『ラヴィアンローズだ』
かっこいい! 漢字関係無いけど。
みんなから『ラヴィさま~』なんて呼ばれる日が待ち遠しいぜっ。
想像だけで興奮してきたけど、サーバーを決めなきゃ。
※ βテストでのキャラは1人のみです( 変更不可 )
※ サーバーの変更は出来ません
※ サーバーは1つしかご利用出来ません
こんな決まりが出て来た。という事は、1回キャラを決めてログインしたら、その後はずっと同じサーバーでプレイをしなければならないって事か。
実はβテストではこれが良くあるし、後々に影響してくる非常に大事な事でもある。さて、どのサーバーに入るか?
プレイしている人が少なければ少ないほど、天下を取れる確率が上がる。つまりスタートダッシュが決められる、これ重要。まぁ、既に乗り遅れてはいるけど大した遅れでは無いはずだ。
サーバーの一覧を見ると……
━━━━━━━━━━━━━━━
サファイアサーバー 3890
ルビーサーバー 2569
トパーズサーバー 1562
エメラルドサーバー 6
━━━━━━━━━━━━━━━
の4つが表示されている。
おいおい、最後のエメラルド鯖ってついさっき追加でもされたのかな、めっちゃ空いてるじゃん。まじ今ならスタートダッシュ決めれるかも。うっひゃっひゃっひゃっ…… 先に始めた奴、乙~。
当然、僕はエメラルド鯖のボタンを押した。
── 期待が膨らむっ、これから始まる僕のサクセスストーリーに乾杯!
少しのローディングタイムの後、ついにアンタレスONLINEが始まった。
△▽△▽ △▽△▽ △▽△▽
視界が明るくなると同時に、コロコロと水が流れる音、小鳥のさえずりが360度のパノラマで聴こえてくる。よしっと、歩こうとしたら……
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