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ギルからのお願い
しおりを挟む「泊まる所ないなら、一室用意させる」
まさかのギルバートからの一言にびっくりする。
「いいんですか?私名前も思い出せないんですが…」
「1つだけ言ってもいいか?」
「はい!」
ごくんと唾を呑む。
「ここに居る間、セレナの話し相手になってくれないか?」
話し相手?と言われて首を傾げるも、話し相手ならば夫婦になるのだからギルがしてあげれば良いではないかと疑問に思う。
「ここの使用人はみな先代の使用人ばかりで年の近しい者と言ったら俺なのだが、俺は…その…」
最後の方は言葉を濁たギルは斜め上を見て頭を掻いている。
「その?」
疑問に思ったが、話し相手で泊まる所も食事も問題無いなら安いものだ!ギルも黙ってしまったし、この話しも続かないなら終わった方がいいな。
「セレナさんの話し相手は任せてください。」
「あら、私の話しですか?」
話しが終わりそうだと口を挟んできたセレナが首を傾げながら話しかけてきた。
「何でもない、今日は長旅だったんだ。疲れただろう?2人共ゆっくり休んでくれ。」
ギルの話しは終わり、こちらの世界に来て初めての夜が来た。1人で考える時間が出来たお陰で色々考えれた。
自分は転生する直前何をしていたのか…
何の為にこちらの世界に来たのか…
この世界での自分の能力等の事…
先ずは転生直前の事だが、朝から働いて残業して終電逃しちゃってバスかタクシーで帰る事を考えていたんだよなぁ。
バスも最終なかったからタクシー捕まえようと少し大通りまで出た時にライトが眩しいって思って反射的に腕で覆ってその後の記憶が無い。そこで死んでしまった?
俺は車かトラックに轢かれてしまったんだろう。
この世界にはどうやって来たんだろう?
神様?召喚?神様だとしても召喚だとしても俺は放置されてしまった。
一体どうすればいいんだー!
俺の魂が入ってるこの女の子の約8年くらいの記憶や魂は何処に行ったのだろう?
疑問に思っていることが沢山だ。
ぐるぐるきゅきゅー
お腹空いたなぁ!
コンコン
木の扉のノック音、優しめの音だ。使用人の方かな?
「失礼致します。お食事のご用意が出来ましたのでお呼びに上がりました」
「行きます!」
扉を開けて外で待機していた使用人は50代の女性でメイド服を見れるなら可愛い10代の女の子がいいと思ったが、ギルが使用人は若い人が居ないと言っていたのを思い出した。
食事室
と書かれた扉を呼びに来た使用人が開ける。ん?日本語?勝手に翻訳されるのか日本語なのかが分からない。まだ謎だらけだ。
「お腹空いたでしょう?」
先に椅子に座って居たのはセレナだった。着てきたドレスではなくなっていて、ドレスよりは動きやすい服で着席している。そして、ほのかに花の良い香りもする。
「先に湯浴みしたのですか?」
微笑みで返される。
「貴女も後で行くと良いですわよ、このお屋敷のお風呂はとても広いですから」
名前を覚えて無いし、こちらでの名前も分からないので取り敢えず名前を考える事にした。
セレナ、ギルバート、外国っぽい名前だよなぁ…取り敢えずだからな、リタ!これでいこう!
「名前無いのもアレなので、取り敢えずリタと呼んで下さい」
「分かりましたわ!」
前菜が運ばれて来て2人共一旦話しを止めた。
デザートが終わるまでギルバートは姿を現さなかった。
セレナと話すとギルは既に領主の仕事をしているらしい。
先代が病に倒れて、後継ぎとして仕事をしているのだという。セレナと話せないのは忙しいのもあるのかもしれないな。
「ご馳走様でした。」
デザートのケーキを食べ終わり、湯浴みをしに行く事にした。使用人の女性が連れて行ってくれて、その後一緒に入って来そうだったので1人で大丈夫だと伝え行って貰った。
「ふぅ」
彩りの良い花がお湯に浮いていて身体を石造りの湯船の壁に付けると溜息の様な息が出てしまう。
「とても良い匂いだし、気持ちいいなぁ」
石鹸にも花が付いていた。
日本に居た時はシャワーで済ませて居たからこんなにゆっくり入れるなんて贅沢だな。
一刻くらい入っていただろうか、外で使用人の女性が鼻を赤くして待っていてくれた。
「すみません、ありがとうございます」
自分の借りている部屋まで一緒に来てくれた。
「リタ様、おやすみなさいませ」
使用人が行ってしまうとベッドに直行し、10分程で眠りに付いてしまった。
「…タ………リ…タ…しゃ………リタ………ゃん…リタしゃん!」
誰か呼んでいる。
「リタしゃん!リタしゃん!」
真っ白でもこもこの毛並み、この世界の生き物だろうか?
「リタしゃん!」
あ、鼻だけ赤い!可愛らしい生き物だな!
「僕はこの世界の神でしゅ」
あ、噛んだ!
「説明するでしゅ」
あ、また噛んだ。
仕様か?取り敢えず、話しを聞こう!
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