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第2話
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何が起こっているのだろう。
「…この手を離してください。王太子様」
「どうして?この手を離したら君は居なくなるのだろう。」
フェリクスは濁った瞳のまま手首に込める力を強めていく。
「ッ!痛いです!王太子様」
「婚約解消だと…ははっホントに面白い事を言うよね…君がそれを言って僕がすぐに婚約破棄をすると思ったのかい?」
グイッと私の腰にもう片方の手を添えて強引に距離を縮めていく。そして手首を掴んでいた手は離し、代わりに頬に手を添えて彼は笑顔で微笑みながら私に地獄の宣告をした。
「残念だったね。ルビー、僕から婚約を解消する事は絶対に無い。だから君は、これからも婚約者として僕の隣に居ておくれ」
「な、何を言って…」
呆然とする私に向かってさらに彼は告げた。
「あぁ、君が婚約破棄を言うなんて余程の事があったに違いない…まだ婚約の段階だけど今日からルビーも王宮で共に暮らそう」
その言葉に私は背筋が凍り、一刻も早くこの空間から解放されるために、強制的に話を終わらせようとした。
「……お疲れのようですね。王太子様がそんな事をおっしゃるなんて…今日はこれで失礼します。解消の手続きは追って父からお話がありますので」
そう早口で伝え、部屋を後にした私は、背後でフェリクスが何かを呟いていた事に気づかなかった。
「ふふっ逃がさないからね…僕の可愛いルビー」
(おかしい…どうしてフェリクス様は婚約破棄をして下さらないの?)
城の門まで急ぎながら私は先ほどの彼の様子を思い返していた。
今までの彼の言動や行動は誰が見ても婚約破棄をしたくない者がとる態度では到底ない。むしろ婚約破棄をしたいが為にわざとその様な態度をとっていたと考えるだろう。
それなのに、
『婚約破棄は絶対にしない』
『君の隣が僕の居場所なのに…』
180度変わったような言動と行動。そして本当に婚約破棄を望んでいないかの様に話すからこちらも少し動揺してしまった。
(…いいえ、きっと急だったから思っても無い言葉を吐き出していたのだわ。)
だけどー
(もし本当に彼が婚約破棄をしない場合、こちらから婚約破棄をする事は極めて難しい。…まずは、お父様に相談してみようかしら。もしかしたら、何かいい方法を教えてくださるかも)
考え事をしている内にようやく城の門に着いたので、私は乗ってきた馬車で帰ろうとした。
だが、
(おかしい…確かに馬車で来たはずなのにどうしてどこにも見当たらないの?)
そう、待機させていたはずの自分の馬車が見当たらないのだ。それどころか、門兵たちがルビーを通そうとしない。
「申し訳ございません、ルビー様。王太子殿下より『ルビー嬢は体調が優れないため、今夜から王宮の離宮にて静養していただく。一歩も外へ出すな』との命を受けております」
感情の乗らない声音で門兵たちはそう告げた。
「っ私はどこも悪くありません!いいから通して!」
思わず感情的になり門兵に詰め寄ると、
「申し訳ございません。王太子殿下の命にございますので」
門兵は少し困惑しながらも決してルビーを通そうとはしなかった。
(どうしてっ!?いつもの彼なら一言二言話せばすぐ王宮から出て行ってとでも言うような態度や雰囲気を出していたのに…!)
フェリクスが何をしたいのかルビーには分からなかった。そして呆然と門の前で立ち止まるルビーの背後に、いつの間にか立っていたフェリクスが、優しく肩を抱く。
「先程伝えただろう、ルビー。『今日から君も王宮で暮らそう』と。さあ、君のために最高の部屋を用意させたんだ。だから……もう、どこへも行く必要なんてないからね」
そう甘い声で告げる彼は先程と同じように狂気にも執着にも似たような目を私に向けていた――。
「…この手を離してください。王太子様」
「どうして?この手を離したら君は居なくなるのだろう。」
フェリクスは濁った瞳のまま手首に込める力を強めていく。
「ッ!痛いです!王太子様」
「婚約解消だと…ははっホントに面白い事を言うよね…君がそれを言って僕がすぐに婚約破棄をすると思ったのかい?」
グイッと私の腰にもう片方の手を添えて強引に距離を縮めていく。そして手首を掴んでいた手は離し、代わりに頬に手を添えて彼は笑顔で微笑みながら私に地獄の宣告をした。
「残念だったね。ルビー、僕から婚約を解消する事は絶対に無い。だから君は、これからも婚約者として僕の隣に居ておくれ」
「な、何を言って…」
呆然とする私に向かってさらに彼は告げた。
「あぁ、君が婚約破棄を言うなんて余程の事があったに違いない…まだ婚約の段階だけど今日からルビーも王宮で共に暮らそう」
その言葉に私は背筋が凍り、一刻も早くこの空間から解放されるために、強制的に話を終わらせようとした。
「……お疲れのようですね。王太子様がそんな事をおっしゃるなんて…今日はこれで失礼します。解消の手続きは追って父からお話がありますので」
そう早口で伝え、部屋を後にした私は、背後でフェリクスが何かを呟いていた事に気づかなかった。
「ふふっ逃がさないからね…僕の可愛いルビー」
(おかしい…どうしてフェリクス様は婚約破棄をして下さらないの?)
城の門まで急ぎながら私は先ほどの彼の様子を思い返していた。
今までの彼の言動や行動は誰が見ても婚約破棄をしたくない者がとる態度では到底ない。むしろ婚約破棄をしたいが為にわざとその様な態度をとっていたと考えるだろう。
それなのに、
『婚約破棄は絶対にしない』
『君の隣が僕の居場所なのに…』
180度変わったような言動と行動。そして本当に婚約破棄を望んでいないかの様に話すからこちらも少し動揺してしまった。
(…いいえ、きっと急だったから思っても無い言葉を吐き出していたのだわ。)
だけどー
(もし本当に彼が婚約破棄をしない場合、こちらから婚約破棄をする事は極めて難しい。…まずは、お父様に相談してみようかしら。もしかしたら、何かいい方法を教えてくださるかも)
考え事をしている内にようやく城の門に着いたので、私は乗ってきた馬車で帰ろうとした。
だが、
(おかしい…確かに馬車で来たはずなのにどうしてどこにも見当たらないの?)
そう、待機させていたはずの自分の馬車が見当たらないのだ。それどころか、門兵たちがルビーを通そうとしない。
「申し訳ございません、ルビー様。王太子殿下より『ルビー嬢は体調が優れないため、今夜から王宮の離宮にて静養していただく。一歩も外へ出すな』との命を受けております」
感情の乗らない声音で門兵たちはそう告げた。
「っ私はどこも悪くありません!いいから通して!」
思わず感情的になり門兵に詰め寄ると、
「申し訳ございません。王太子殿下の命にございますので」
門兵は少し困惑しながらも決してルビーを通そうとはしなかった。
(どうしてっ!?いつもの彼なら一言二言話せばすぐ王宮から出て行ってとでも言うような態度や雰囲気を出していたのに…!)
フェリクスが何をしたいのかルビーには分からなかった。そして呆然と門の前で立ち止まるルビーの背後に、いつの間にか立っていたフェリクスが、優しく肩を抱く。
「先程伝えただろう、ルビー。『今日から君も王宮で暮らそう』と。さあ、君のために最高の部屋を用意させたんだ。だから……もう、どこへも行く必要なんてないからね」
そう甘い声で告げる彼は先程と同じように狂気にも執着にも似たような目を私に向けていた――。
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