隣の家の幼馴染は学園一の美少女だが、ぼっちの僕が好きらしい

四乃森ゆいな

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第九部

第78話「幼馴染たちは、恋の現に身を投じる①」

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「ただいま」

「お、お邪魔します」

 お泊り会が決定し、渚はそのまま僕の後ろを着いてきたまま僕の家へと上がった。
 もう数えきれないほどウチに上がっている渚でも、今日という日はいつも以上に緊張しているように伺えた。

 それも当然だ。
 僕達は今日、というより数時間前から、幼馴染兼恋人になったのだ。

 事実僕も多少なりとも緊張しているのだ。顔に出ないだけで。表情と感情がマッチングしていないというのは、本当にいたたまれない……。
 こればっかりはすぐに補正も修正も出来ないし、多分直らないと思う。

 だからこそだろうか。
 今こうして緊張感丸出しの渚を横目で見ていると、いろんな意味で恥ずかしくなる……いやね、気持ちはわからんでもないけども。

 と、そんな挙動不審要素が垣間見えた渚を見守っていると、リビングへ続く扉が開き、そこから妹──優衣が顔を覗かせた。

「おっかえり~! それでそれで? どうだったのかな、初デートは!」

「お前なぁ……」

「ゆ、優衣ちゃん……!!」

 飴玉を口に咥えながら、ウキウキとした様子で地雷元を踏み抜いてきた。容赦ねぇな、この妹……。そしてその結果、渚は狼狽うろたえた様子を見せつつ、顔を真っ赤に染め上げた。

 それよりも、だ。
 何故妹が今日のことを知っているのかの疑問は残るが敢えてツッコミはせず、僕は後ろで狼狽えたままの渚を“じーっと”睨みつける攻撃をする。

 そんな渚の反応から僕はすぐさま答えが出た。否、始めから確信は付いていたがそれがより具体的になった感じだ。

「……妹よ、正直に答えろ」

 僕はため息を吐きながら渚から優衣へと視線を戻した。

「何ですか兄上よ!」

 わざとらしすぎだろそれ……。

「……じゃあ単刀直入に訊いてやる。昨日の夜に、渚から電話貰っただろ。そのときに今日のことについて相談でもされただろ?」

「およ? 気づいちゃったかー。これじゃあ、隠し事は無理じゃないかな、渚さん?」

「ゔっ……」

 怯んだ様子を見せた渚は、すぐに僕から視線が逃亡した。

「勘違いするなよ。別に相談したことを怒ってるわけじゃない。ただ、イエスかノーか。この選択肢を並べてるだけだ。……それで? 当事者さんのご意見は?」

「…………い、イエスアイドゥ──」
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