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3.証拠発見
しおりを挟む「お父様、お話があるの」
夕食を食べ終えた後、私はお父様に話し掛けました。私の言葉にお父様はきょとんとします。
「ルダノーナ、どうしたんだい?」
「私の婚約者の事なんだけど…」
「その続きは私の部屋で聞こう。付いておいで。」
部屋に着き、椅子に座るとお父様は少し真剣な顔つきになりました。
「それで、どうしたんだい?」
「私の婚約者、メデラウス様の事なんだけど」
ここで一旦言葉を切り、深呼吸をしてから一気に言います。
「学園の上級生1人、同級生3人と親密な関係らしいの。そんな人と将来結婚してやっていける自信が無いから、婚約を破棄したいのよ。できるかな?」
そう問いかけると、お父様は少し考える素振りをします。
「その情報は確かなんだね?」
「うん。ヴェーラが言ってたもの」
「それなら確かだな」
私同様、お父様もヴェーラに信頼を寄せているので、信じてくれます。
「証拠はあるかい?」
「まだないの。でも、ヴェーラに頼んでおいたから3日後にはそろうと思う」
「それがいい。いくら私達の方が爵位が上だといっても、証拠がなければ破棄する事は難しいからね」
婚約破棄には賛成してくれるようです。
「じゃあ、証拠が揃ったらまた来るね!」
「分かった。頑張るんだよ」
お父様は応援の言葉と共に私を送り出してくれました。
「お嬢様、メデラウス様が4人の令嬢と浮気をしている映像を入手しました」
お父様に相談した3日後の朝、ヴェーラが証拠を持ってきてくれました。
「流石ヴェーラ!仕事が早いわね!」
「お嬢様の為なら朝飯前でございます」
「早速お父様の所に行くわよ!」
意気揚々とお父様の執務室に向かいます。それにしても、どうやってヴェーラは迅速かつ簡単に証拠を手に入れたのかしら?
「お父様!」
「ルダノーナか。あの件だね?」
さすがお父様です。私が何か言う前に気づきましたわ。
「うん!証拠が揃ったよ!これが浮気してた時の映像」
この世界では貴重である魔法を使って作られた映像石を起動すると、メデラウス様の同級生の1人、ロゼ・バレンタ様と学校の廊下で歩いている姿が映し出されました。
「やはりロゼは素直で優しいな」
「そんな事はありません。メディ様が優しいだけです。私はあなたのやさしさにあやかっているだけですよ」
「そんな風に謙遜する所も愛しいよ」
「本当の事ですもの」
ピッタリとくっついてゆっくりと廊下を進む2人は幸せそうに見えます。特にバレンタ様は本当に嬉しそうです。
続いて2人目、同じく同級生のリサ・メーランド様の姿が映し出されます。どうやら今度は校庭のようです。
「リサは髪が綺麗で羨ましいな」
「まぁ!ありがとうございます。あなたのために頑張りましたのよ」
「本当かい?それは嬉しいな。これからもその髪を触らせてくれるかい?」
「もちろんです」
こちらもいちゃいちゃと見ている私たちが恥ずかしくなります。
この調子で3人目に上級生のモナ・リデイザ様、4人目に同級生のウル・シアエスタ様もそれぞれいい雰囲気の映像が流れます。
ここで、お父様がふと疑問を発しました。
「彼女たちは、君が婚約破棄をしようとしている事を知っているのかい?」
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