【完結】毒妹に婚約者を奪われ、廃嫡された私を拾ったのは隣国の王子でした

チンアナゴ🐬

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第1話

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「もう、疲れた…」

  メルライン侯爵家の長女、シャーロット・メルラインは自分の部屋でぽつりと呟いた。

 シャーロットの物を全て奪っていく妹・ソフィー。特にシャーロットが大切だと言った物程、何が何でも奪おうとする。そんなソフィーを甘やかし、注意すらしない両親。ソフィーにばかりドレスやぬいぐるみを買い与え、シャーロットには勉強しかさせない。ソフィーが家の物を壊しても絶対に怒らないが、シャーロットが少しでも粗相をすれば烈火のごとく怒る。使用人も見て見ぬふりをする。

「お姉ちゃん、それちょうだい」

「お姉ちゃんなんだから譲りなさい」

 シャーロットが幾度となく聞いてきたこの言葉。「お姉ちゃん」という単語は、シャーロットの中で呪いの言葉だった。この国では、男であれ女であれ、第一子が家を継ぐ。だから、将来当主となって家を守っていくために、第一子を厳しく育てるのはおかしい事ではなかった。

 昔はこうでは無かった。しかし、妹が生まれ両親は変わってしまった。シャーロットに注がれるはずだった愛情も全てソフィーに注がれた。その結果、シャーロットへの教育は厳しさを増し、どんな些細な失敗も許されなくなった。そんな生活が何年も続いたある日、シャーロットに婚約者が出来た。名前はフィリップ・クラーク。クラーク公爵家の次男で、社交界でもトップを争う程の端正な顔立ちだと評判だ。シャーロットは、その婚約者に期待を寄せた。 結婚して両親が引退すれば、私の扱いも変わるのではないかと。事件が起こったのは、メルライン家での初の顔合わせだった。

「初めまして。メルライン・シャーロットと申します」

「ああ。フィリップ・クラークだ」

 言葉遣いが少し気になったシャーロットだったが、そんな事より大切な事があったシャーロットにとって言葉遣いは大きな問題ではなかった。挨拶を終えたその瞬間。聞き慣れた声が耳に入った。

「あ、お姉ちゃんじゃない。その人は誰?婚約者?」

  シャーロットは嫌な予感がした。同時に、『取られたくない』という思いが頭をよぎった。何となく、この人を逃したらもうチャンスは来ないかもしれないという気がしたのだ。その気持ちを表情に出したその一瞬。その一瞬をソフィーは見逃さなかった。

「こんにちはぁ、私ぃ、妹のソフィーって言いますぅ。仲良くしてくださぁい」

(ああ、まただ)

 この声、この仕草。私よりずっと可愛い顔。全てを使って、相手を誘惑する。シャーロットは目の前が暗くなった気がした。
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