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第8話
しおりを挟む話し合いが終わった後からは、大忙しだった。最初は、服やアクセサリーを全て持っていけ、というウィリアムの言葉と、シャーロットとショッピングをしたいから荷物は最小限でいい、というサクシードの妻の言葉に悩む。次は、王様に婚約の許可を貰うと言って出かけたものの、まだ養子の手続きが完了していない事に気付き、王宮まで来たのにもう一度家に帰るというウィリアムの言動に悩む。最後に、王様に謁見を申し込み、結婚したいという旨を二人で伝えると、
「そうか、それは良かった。では、家族を忘れぬようにこれを持っていけ」
と言って家宝を渡そうとした国王の親バカに悩む。シャーロットは、自分が思うより、ウィリアムは向こう見ずな性格で、国王一家がほわっとしている事に気付いた。
「…なんと言うか、普通だわ…国王って感じがあまりないというか」
シャーロットは、公爵家で与えられた自室で呟いた。その時、ノックをして、ウィリアムが入ってくる。
「シャーロット、ちょっといい?」
もうすっかり、呼び捨てでお互いを呼び、タメ口で話すようになった。時間の流れとは早いものね、と感じながらシャーロットは応える。
「ええ。どうしたの?」
「結婚式なんだけど…その、シャーロットの家族も呼んだ方がいい?」
「当然でしょ。お父様もお母様も呼ばなきゃ。きっと寂しがるわ」
そう言って笑うと、ウィリアムは首を振った。
「いや、今の家族じゃなくて…前の家族だよ」
シャーロットは即答した。
「呼ばなくて大丈夫よ」
「本当に?」
「ええ。私が嫌いだったみたいだし、顔も見たくないだろうから」
「…分かった。呼ばないでおくね」
「ありがとう、ウィリアム」
こうして結婚式の準備は滞りなく進んだ。
「ウィリアム、お待たせ」
結婚式当日。綺麗になった自分を早く見せたくて、シャーロットは一番にウィリアムが居る部屋に向かった。
「よく似合ってるよ、シャーロット」
「ウィリアムこそ」
二人で笑い合う。その時だった。突然、廊下から大きな声が聞こえてくる。何事か、とウィリアムが廊下の方へ近づこうとしたのと同時に、扉が開いた。
「久しぶり、お姉ちゃん」
シャーロットはぞっとした。聞き慣れた声と、呪いの言葉。顔を動かして、相手を見る。その瞬間、シャーロットは動けなくなった。
「ソフィー…」
「私だけじゃなくて、お父様もお母様もいるわよ」
両親が入ってきた。シャーロットの喉が、変な音を立てる。
「何故、ここにいるの…?」
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