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第9話
しおりを挟む「何故、ここにいるの…?」
「何故って、お姉ちゃんの結婚を祝いに来たに決まってるじゃない」
そんなはずがない、とシャーロットは思う。必死にソフィーの考えを探る。すると、ソフィーの視線の先がずっと同じ場所にある事に気付く。ソフィーの視線の先は……ウィリアムだった。どうしても取られたくない。この人だけは譲れない。でももしウィリアムがソフィーを選んだら…?シャーロットは、めまいがした。
「こんにちはぁ、私ぃ、シャーロットの妹のソフィーって言いますぅ」
(ああ、始まった)
シャーロットは目をつぶった。現実を見たくなかった。
「ウィリアムさんは、王子様なんですよね?素敵ですねっ」
ソフィーはウィリアムの腕に自分の腕を絡めようとする。その腕を、ウィリアムは払い除けた。
「何故、許可なく私の腕に触っている?」
シャーロットが聞いた中で、最も冷たい声だった。その声と言葉に、シャーロットは目を開ける。
「え…」
「私は招待状を送っていない。なのに、何故ここに来た?」
「いや、それは…い、祝おうと…」
「祝わなくてよい。シャーロットが嫌がっているだろう。帰れ」
「せっかく来たのに…。私の気持ちはどうしてくれるんですか!?」
「お前の気持ちなど関係ない。大切なのはシャーロットの気持ちだけだ」
「な、なんで私じゃないの…?」
「私が、シャーロットを選んだからだ」
シャーロットは嬉しかった。ソフィーではなく、自分を選んでくれた事が。その時、シャーロットの実父が声を上げた。
「私はシャーロットを虐げました…食事を与えなかったり、物を奪ったりと、様々な方法で。なぜなら、そいつが…妾の子だからです」
シャーロットは混乱した。そんな話、聞いた事がなかった。初めて聞く事実に対する驚きと、本当の母親でなかった悲しみ、自分を虐げていた事への行き場のない憤りが混じりあって、混乱していた。
「勝手に子供を作って、私に子供を押し付けて…その上勝手に死んだ。あいつによく似たその顔を見ると腹が立つ。だから何度か毒を盛ったのに運良く生き残りおって…それでもここまで育ててやったんだ。なぁ、シャーロット。少しくらい恩返しをしろ」
何が望みですか、と問おうとしたが、先にウィリアムが口を開いた。
「何故シャーロットがお前なぞに恩返しをしなければならない?お前はシャーロットを虐げた。これは許し難い事だ。本来なら罰を下す所だが、シャーロットを育てた事に免じて見逃してやろう。その代わり、もうシャーロットに関わらないと約束しろ」
シャーロットはただ、ウィリアムが自分の為に怒ってくれているのがすごく嬉しかった。
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