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温かい…
先程までの寒さが嘘のようだ。
不意に目が醒めれば、覗き込むようにしている剛が前に居た。
「起きた?」
ホッとしたように息を吐き出す姿に…大分、心配させてたのを気付いて頷く。
「ああ…」
声を出してみて、少し喉が引きつるような感じがして…コクリと唾を飲み込む。
自分の声が…掠れている事に今更のように気付いた。
痛みは…既に無い…
治ったのか?
どうしてだ…あんな酷い傷がすぐに治るわけなどないのに。
「お腹空いてるよね?
今、ご飯持って来る。」
悩んでいる俺を横目に剛は部屋から出て行ってしまった。
危なっかしい手つきでお盆に載せた鍋を持ってきて、剛はベットの横にそれをゆっくりと置く。
正広君に教わったのか、起した俺の腰の辺りにクッションを置くようにする。
それだけなのに、結構態勢が楽になる。
小さく息を吐き出す。
「ある程度、冷えてるから大丈夫だと思うんだけど。」
鍋に入っていたのは、おじやだろう…
それを不器用な手つきでおわんに入れる。
それを持つとスプーンで掬うと俺の口に持ってきて、
「はい、あーんして?」
にこっと笑いながら言う。
それは…勘弁してくれ…
誰から習ったんだ?
「いい…自分で食べられる。」
剛からおわんを取ろうとすると、目の前がくらくらするわ。
「だぁめ。
ご主人様からこれ、習ったんだよ。
病気の人や怪我の人にはこうして食べさせてあげるんだって。」
正広君…恨むぞ。
剛にこんな事を教えたりして…
にっこりと嬉しそうな剛に再度声をかけようとすると、
「…光ちゃん。
はい。」
にこにこと更に笑ったまま、ずいっとスプーンを目の前に差し出す。
此処で何を言ったとしても、きっと剛は頑なに断るだろう…
一つ息を吐き出すと、顔を寄せてしぶしぶと口を開いておじやを口に含んだ。
「美味しい?」
もぐもぐと食べている自分に首を傾げながら聞いてくる剛にコクリと頷く。
そうすると満面の笑みを浮かべて、またスプーンを目の前に差し出す。
「はい…」
口を開いてぱくりと飲み込む。
素直に剛の手から食べて、残りが半分くらいになってから、
「剛、ちょっとスプーン貸して?」
そう言って剛が持っていたスプーンを手にすると、おじやを掬って剛にも差し出す。
ものすごく食べたそうな顔して見てたからな…
おかえしだ。
「えぇ?」
俺も先程の剛と同じように軽く首を傾げ、笑みを浮かべて待っていると、剛は数回スプーンと俺を交互に見て、ゆっくりと口を開きぱくりと含む。
「ん~美味しい~
拓哉さんのごはんは、本当に美味しい~」
ご機嫌に言うから、更にもう一口。
幸せそうに食べている剛の顔を見ると、俺も自然に口元が緩んでしまう。
「あ…このままだったら、僕が全部食べちゃうかもしれないから。
今度は、光ちゃんの番ね。」
奪い取られたスプーンを手にとると、剛は先程と同じ行動をする。
照れ臭いとかは既になくなってしまった。
剛が嬉しそうに自分に微笑んでくれているだけでいい。
全てを食べ終わって…剛は食器を片付けてから、じっと俺を見る。
「此処…ついてるよ?」
にっこり笑って、唇の端を舐める。顔が離れて剛を見ると…同じようにご飯粒が着いていた。
自分も同じように、剛の口元を舐め返す。
「光ちゃん、
ちょっとこれ片付けてくるね。」
剛はお盆を持って、部屋から出ていってしまう。
身体をベットに横たわらせると…自然と瞼が落ちて…眠ってしまっていた。
先程までの寒さが嘘のようだ。
不意に目が醒めれば、覗き込むようにしている剛が前に居た。
「起きた?」
ホッとしたように息を吐き出す姿に…大分、心配させてたのを気付いて頷く。
「ああ…」
声を出してみて、少し喉が引きつるような感じがして…コクリと唾を飲み込む。
自分の声が…掠れている事に今更のように気付いた。
痛みは…既に無い…
治ったのか?
どうしてだ…あんな酷い傷がすぐに治るわけなどないのに。
「お腹空いてるよね?
今、ご飯持って来る。」
悩んでいる俺を横目に剛は部屋から出て行ってしまった。
危なっかしい手つきでお盆に載せた鍋を持ってきて、剛はベットの横にそれをゆっくりと置く。
正広君に教わったのか、起した俺の腰の辺りにクッションを置くようにする。
それだけなのに、結構態勢が楽になる。
小さく息を吐き出す。
「ある程度、冷えてるから大丈夫だと思うんだけど。」
鍋に入っていたのは、おじやだろう…
それを不器用な手つきでおわんに入れる。
それを持つとスプーンで掬うと俺の口に持ってきて、
「はい、あーんして?」
にこっと笑いながら言う。
それは…勘弁してくれ…
誰から習ったんだ?
「いい…自分で食べられる。」
剛からおわんを取ろうとすると、目の前がくらくらするわ。
「だぁめ。
ご主人様からこれ、習ったんだよ。
病気の人や怪我の人にはこうして食べさせてあげるんだって。」
正広君…恨むぞ。
剛にこんな事を教えたりして…
にっこりと嬉しそうな剛に再度声をかけようとすると、
「…光ちゃん。
はい。」
にこにこと更に笑ったまま、ずいっとスプーンを目の前に差し出す。
此処で何を言ったとしても、きっと剛は頑なに断るだろう…
一つ息を吐き出すと、顔を寄せてしぶしぶと口を開いておじやを口に含んだ。
「美味しい?」
もぐもぐと食べている自分に首を傾げながら聞いてくる剛にコクリと頷く。
そうすると満面の笑みを浮かべて、またスプーンを目の前に差し出す。
「はい…」
口を開いてぱくりと飲み込む。
素直に剛の手から食べて、残りが半分くらいになってから、
「剛、ちょっとスプーン貸して?」
そう言って剛が持っていたスプーンを手にすると、おじやを掬って剛にも差し出す。
ものすごく食べたそうな顔して見てたからな…
おかえしだ。
「えぇ?」
俺も先程の剛と同じように軽く首を傾げ、笑みを浮かべて待っていると、剛は数回スプーンと俺を交互に見て、ゆっくりと口を開きぱくりと含む。
「ん~美味しい~
拓哉さんのごはんは、本当に美味しい~」
ご機嫌に言うから、更にもう一口。
幸せそうに食べている剛の顔を見ると、俺も自然に口元が緩んでしまう。
「あ…このままだったら、僕が全部食べちゃうかもしれないから。
今度は、光ちゃんの番ね。」
奪い取られたスプーンを手にとると、剛は先程と同じ行動をする。
照れ臭いとかは既になくなってしまった。
剛が嬉しそうに自分に微笑んでくれているだけでいい。
全てを食べ終わって…剛は食器を片付けてから、じっと俺を見る。
「此処…ついてるよ?」
にっこり笑って、唇の端を舐める。顔が離れて剛を見ると…同じようにご飯粒が着いていた。
自分も同じように、剛の口元を舐め返す。
「光ちゃん、
ちょっとこれ片付けてくるね。」
剛はお盆を持って、部屋から出ていってしまう。
身体をベットに横たわらせると…自然と瞼が落ちて…眠ってしまっていた。
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