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おまけはつらいよ
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今日も今日とてオウルさんと教室に行く。毎日ずっと世話してもらってるので、オウルさんがいると本当に心強い。
オウルさんは凄く温和だけど基本アルカイックスマイルだ。
尋ねれば答えてくれるが、自分から声をかけてはこない。
なんかよくわからないけど、側仕えという仕事はそういうものなんだと思う。
あと、いきなり異世界産という訳の分からない子供の世話をしろと言われても、何処まで話が通じるのかもわからないから一挙一動を見ているのだと思う。
雄太はとりあえず挨拶はきっちりして、周りを理解する為に耳ダンボで無駄口を叩かない様にしている。
午前はマナー。
午後は座学とカリキュラムはあるけれど、露骨にスルーされて必死で聞いている。
その日の座学は地理だった。
「それではおさらいを致します」と、質問が始まった。
分からないです。と答えたら、
はあ?とオーバーリアクションされた。
「貴方が自堕落に過ごしていた間も神子様は学ばれておりました。
進むのが違うのは自分のせいでしょう⁉︎
自ら学んでくるという考えは無かったのですか?」
自堕落って…
すみませんという雄太の背後に控えるオウルさんに教師は顎をしゃくった。
「この方の落ち度はシークヴェルト様の手抜かりの為ですね。
予習も無く座学を受けるのなら、そちらで学べばよろしいでしょうに」
回数重ねて見慣れたら、どことなく馴染んでいくものだと思っていた。
なんか周りの視線がどんどん尖って来た気がする。
それは皆んな大好き神子様に呼ばれ一緒にいるということで、やっかみと煮えたぎる嫉妬の為だと思う。
このままだとシークヴェルト様に迷惑が掛かってしまう。
それでも同郷の斗真さんと一緒にいたら安心できる。
一人だとどうしていいのかわからない。
ヘイトが溜まってるのがわかるけど辞められない。
部屋に帰ってオウルさんに頭を下げた。
「すいません。この国の名前も、神殿に祀った神様の事も。結界がどういうものかも知らないんです。
お願いします。教えてください」
知らない。
この世界の身分制度も貨幣制度も。
どうやって生きていけばいいのかも。
ぽろぽろと涙が溢れてきて、オウルさんは慌てた。
やがておずおずとしゃくりあげる雄太の背中に手を伸ばすと撫でてくれた。
「御教え致します。
わかることはすべて。
一緒に勉強しましょう」
優しい言葉に雄太はわんわんと泣いた。
正直、泣いたらスッキリしてやるぞ‼︎と踏ん切る事ができた。
オウルさんは凄く温和だけど基本アルカイックスマイルだ。
尋ねれば答えてくれるが、自分から声をかけてはこない。
なんかよくわからないけど、側仕えという仕事はそういうものなんだと思う。
あと、いきなり異世界産という訳の分からない子供の世話をしろと言われても、何処まで話が通じるのかもわからないから一挙一動を見ているのだと思う。
雄太はとりあえず挨拶はきっちりして、周りを理解する為に耳ダンボで無駄口を叩かない様にしている。
午前はマナー。
午後は座学とカリキュラムはあるけれど、露骨にスルーされて必死で聞いている。
その日の座学は地理だった。
「それではおさらいを致します」と、質問が始まった。
分からないです。と答えたら、
はあ?とオーバーリアクションされた。
「貴方が自堕落に過ごしていた間も神子様は学ばれておりました。
進むのが違うのは自分のせいでしょう⁉︎
自ら学んでくるという考えは無かったのですか?」
自堕落って…
すみませんという雄太の背後に控えるオウルさんに教師は顎をしゃくった。
「この方の落ち度はシークヴェルト様の手抜かりの為ですね。
予習も無く座学を受けるのなら、そちらで学べばよろしいでしょうに」
回数重ねて見慣れたら、どことなく馴染んでいくものだと思っていた。
なんか周りの視線がどんどん尖って来た気がする。
それは皆んな大好き神子様に呼ばれ一緒にいるということで、やっかみと煮えたぎる嫉妬の為だと思う。
このままだとシークヴェルト様に迷惑が掛かってしまう。
それでも同郷の斗真さんと一緒にいたら安心できる。
一人だとどうしていいのかわからない。
ヘイトが溜まってるのがわかるけど辞められない。
部屋に帰ってオウルさんに頭を下げた。
「すいません。この国の名前も、神殿に祀った神様の事も。結界がどういうものかも知らないんです。
お願いします。教えてください」
知らない。
この世界の身分制度も貨幣制度も。
どうやって生きていけばいいのかも。
ぽろぽろと涙が溢れてきて、オウルさんは慌てた。
やがておずおずとしゃくりあげる雄太の背中に手を伸ばすと撫でてくれた。
「御教え致します。
わかることはすべて。
一緒に勉強しましょう」
優しい言葉に雄太はわんわんと泣いた。
正直、泣いたらスッキリしてやるぞ‼︎と踏ん切る事ができた。
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