【完】俺が"しり"を愛でるようになった、その訳とその記憶とその結果について

たまとら

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王宮の攻防

2 王太子殿下の危機

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レヴュトは本能で飛び出した。
咄嗟にレヴュトの影を切り裂く様に突き抜けて、王太子を背に庇うように剣に手を掛けて振り向いた。
きつい目だと思う。
その目に射られ、レヴュトはおろおろと頭を振った。

ぶんぶんと手を前で振り回している。
いや、ふるふると蠢いている。
その指はトレーのグラスを指していた。
『それか?』
イースタンの目が聞く。
ぼんやりした影なのに、大きくぶわぶわと頷いた。


この間。
わずか3秒弱。

イースタンは咄嗟に剣で払い落とした。
グラスは床に当たって、パキャンとガラスを跳ね上げて水を振り撒いて弾けとんだ。

たぶん。きゅっと両手を胸に握ってるレヴュトが、うんうんと頷く。


背中には王太子殿下。
はたき落とされて睨みつけられて棒立ちになった侍従。
訳がわからないながらも"乱心かっ⁉︎"と、すぐ対応できる様に剣に手を掛けているユスフ。

~~はたと気が付くと、いたたまれない静寂がイースタンを全方位から指していた。

「すまん。窓から何かが入ったようだった…」

ごほんと取り繕うと一気に空気が緩んだ。
割れたグラスを集めようと膝をつく侍従を止める。

「すまない。私がガラスの処理をする。君が手を切ってはいけないから、任せてくれないか。」

動揺しつつ貴族スマイルを出すと、他の従者に箒を持って来て貰った。

見るとレヴュトが水差しを前に、大きく手でバッテンをつくる。
水?水がいけないということか?

「すまないが、殿下に温かいお茶を、差し上げたい。頼めるだろうか。」

その言葉にレヴュトは拍手の真似事をした。
正解だった様だ。
一挙一動を見られてる中でガラスを集めていく。
特にユスフはうかがうようだ。
正しい護衛としての姿だ。

グラスの水は飛沫を絵の様に飛び散らせていた。
その中から、指の先程の艶やかな萌葱色のミントの葉を拾い、縛っていた細い茎も集める。
ペン先ほどの真珠の様な丸い小花が一つ、水の中に転がっていた。
箒で寄せようとしたら、レヴュトがしゃがんで指差す。

ガラスが危ないと思ったが、ああ幽霊だ。と思った。

小花?
とっさにガラスを塵取りに集める時に、それをハンカチで摘み上げる。
そのままポケットに隠した。

ユスフは何も言わない。
たぶんこの動きは見られている。

温かいお茶は殿下の血流を優しく促して、顔色が良くなった。
ほっとして所定の位置に戻る。

レヴュトは部屋の隅にじっと座っていた。

イースタンの気配をユスフが伺っているのを感じる。
日常に戻ったら殿下達と違い、護衛騎士の間には。
触れたら切れそうな緊張が漂っていた。

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