【完】俺が"しり"を愛でるようになった、その訳とその記憶とその結果について

たまとら

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王宮の攻防

9 チャルとイースタン

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チャルの遺体は実家まで遠いから王都で火葬した。
正直、腐敗と動物に荒らされて体裁が整わなかったからだ。

実家に送る前に、王宮の医術棟で簡素なお別れ式をした。
イースタンの知らないチャルの世界。
文官が、門番が、料理人がやってきて祈った。
"とても真面目で優しい子だった"と特に下働きの者が手を合わせていた。
今回の事件は隠す事なく伝えられた。
その理不尽さに皆んなが泣いた。


チャルの同僚がおずおずと紙束を差し出した。
『チャルは故郷に帰った。』と言われた。
残った荷物を処分しろと言われてたけど…

「チャルは田舎から出て来た時にイースタン様に助けてもらったって言ってました。イースタン様が大好きだって。」
だから捨てれなかった。
だから読んであげて。
そう言って渡された。



屋敷のコンサバトリーは、もう空っぽだった。
チャルがいない。
あんな小さな影一つなのに。
いないことが部屋をよそよそしくみせている。
幼い頃から馴染みのある執務室なのに。
部屋はイースタンを受け入れてはくれなかった。

開いた紙には、勉学の文字の横に細かい字があった。


◎医術棟の窓から見れた。幸せ♡
◎王太子様と今日は外出?正装が素敵♡
◎どうしよう。目が探してる。すっごく好き!

イースタンの事が書いてある。

そこにはチャルの目で見たイースタンが、笑いながら暮らしていた。


◎イースタン様、屋台で何を食べるんだろう?
◎出来たらお話ししてみたい。
◎いきなり声掛けたら変な人だよね。


その几帳面な細かい字が滲んだ。
ぽたりと紙に丸いしみができた。
ぱたぱたと雫が紙を打ち付ける。

いつのまにかイースタンは泣いていた。
勝手に溢れる涙が、顎を伝って落ちていく。

おバカなチャル。
結局、喋ったり食べたり出来なかったじゃないか。
ごめんね。
いつ君を助けたのか。
顔だって思い出せない。
こんな薄情な俺なのに。

もっと知りたい。

君を知ってたらよかったのに。

逢いたい。逢いたいよ。、
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