断罪だとか求婚だとかって、勝手に振り回してくれちゃってるけど。僕はただただ猫を撫でたい。

たまとら

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リラクの最低な日々

4 残念ながら腐ってます

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デイドはリラクの専用侍従だ。
じいちゃんが付けてくれた。
デイドはアラフィフの熟した男だけど。
軍と暗部を渡り歩いてた、すんごく食えない男だ。
じいちゃんに忠誠を誓って、その溺愛の孫(つまりリラク)を厳しく躾ている。
つまり100%信用できる侍従って事。

「だいたい、なんでサダムが出てきたんだよ~」

頭を抱えていると、すっと魔道具が差し出された。
掌くらいの蜘蛛のようで。
真ん中には白い魔石。
音?
音ですよね、この石。

デイドの眉がクイっと上がったので。
あ、これ、ドヤ顔するほどのモノなんだと思った。

部屋には誰もいない。
いつのまにか使用人は外に出されていた。
息苦しい圧迫感がシャボン玉のように広がって来る。
薄く透ける萌葱色になった空気に、デイドが結界を張ったのだと分かった。

石に魔力を込める。



「私は上手くやっただろう‼︎」

第二王子の声がした。

「皆の前で拾われた上に、初恋とまで言われたんだ。
あのくっそ生意気なリラクはもうサダムの思うがままだな。」

御満悦ですね。
うっひっひ。と言うのが漏れちゃってますよ。

「長かったですね。成人したら逃さずにすぐ結婚を狙ってましたからねぇ。」

低いイケボ。サダムじゃん。

「下町にも噂を流して退路は断ちました。
やっと。やっと、思い知らせてやれるんですよ。
ああ、この三年。良い人でいるのがどれだけ大変だったか」

サダムはうっひっひとは笑わない。
引いてる感じでくしししと笑う。

「結婚までの一ヶ月。
花を贈ってキスをして、たっぷり甘やかしますよ。
あの顔が歪んで泣くって思うとたまりません♡」

「初夜からたっぷり調教してやってくれよ。」

「勿論ですよ。
私を見下ろしたあの蔑む目付きは痛みと一緒に刻まれていますよ。
ああ、王子。
よろしければ一緒によろしいんですよ」

うっひっひ。
くしししし。

二人の笑い声が強く弱く、ハーモニーを奏でる。

最低‼︎
最の低だぁ!
……以降の言葉は頭に入って来なかった。


三年前。 思い当たる事はある。
三年前。 "蔑んだ目付きと痛み"思いっきり該当する。


三年前、いきなり第二王子の婚約者に指名された。
舞い上がった父上達は『何故か』なんてミクロンも考え無かった。
断れないような、王直々のサインと封印で指名された。
リラクの頭に"報復"とか"嫌がらせ"という単語が浮かんだが。
でも成人前の子供。
受け入れるしかなかった。

あいつら、三年前からねちっこく報復を目論んでいたんだ…。
つまり成人して結婚出来るまでの三年間。
第二王子の婚約者として、仕事・仕事・勉強・仕事とこき使って体力を削っていく。
衆人環視の真ん中で婚約破棄でメンタルを削る。
さらに有無を言わせぬプロポーズからの時間差のない結婚で、逃げられないようにしてからいたぶる…って感じ?


「あいつら。やっぱり腐ってる!」


三年前。
じいちゃんにデロ可愛がられながら、野原を走り回っていたリラクは王都の屋敷に呼ばれた。
第二王子の婚約者探しというイベントに、年齢的に掠ったらしく。
初めて王都に向かった。
そして物心着いた時から見ていない、父上・義母上・兄上と会った。

人の多さに驚いているうちに。
教師がついて、従者がついて。
イベントに繰り出す日になっていた。


王宮に【第二王子のお茶会】というモノに出かけて行った時。
ソレは起こった。
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