断罪だとか求婚だとかって、勝手に振り回してくれちゃってるけど。僕はただただ猫を撫でたい。

たまとら

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リラクの最低な日々

3 なんとか足掻く

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翌日からは大忙しだった。
朝から。
そう、朝だぞ。
それも早朝‼︎
布地見本とスケッチブックを、10人の弟子に持たせて、ドレスデザイナーが大名行列をして来た。

「一ヶ月の間にウェディングプランを練り上げます!」

えい・えい・おー☆
と、周りは熱い。熱苦しい。

「リラクの初恋の為ですわよ!
どこからも文句の出ない用意をしますわ!」

と、盛り上げているのは義母上だ。
"初恋"という幻惑単語に、もう皆んなメロメロ♡
義母上は、リラクが産まれた途端に側室が亡くなったのをいいことに、じいちゃんトコに送り込んだという罪の意識があったみたいで。
いや、だったらスッパリ結婚辞めさせてくれよ。

しかも時間が空いた途端サダムがやってくる。
使者も立てない突撃訪問は、逃がさないようにする為だ。
勿論内通者がスケジュールを送ってるんだろう。
この三年間。
第二王子と愉快な仲間達の悪業を、ぺろっと喋らないように。内通者が張り付いているのは知ってた。

初恋に浮かれる義母上達は、花とプレゼントと手の甲へのキスでもうキャー♡キャー♡だ。

そりゃ、調子に乗ってきゅん♡したよ。
ヒロインみたい♡ってうっとりしたよ。
でもね。

甘くて酸っぱいロマンス小説は、遠くでうひひと愛でる物。
決して当事者になってはいけないものだ。



ハグでこちらの反応を冷静に見ている。
手のキスで鳥肌をたてるのを嘲笑っている。
こっちをじっと見る熱のない目が嫌です。
口で甘い言葉を吐きながら。
その目は爬虫類ぽくってゾワゾワします。
"観察"サダムの目の中にはソレがある。
どうして他の人はわからないのだろう。

ダメです。

サダムはどうしても。
やっぱり。
生理的に無理です。

しかもそんなこっちをわかってて、楽しむ様に見ている。

結婚式まで一ヶ月。
時間は無い。
起死回生の一発逆転を狙うならナマの情報が必要だ。



「リラク様。私の知らないうちにサダム様と良い仲になってたみたいですねぇ。」

侍従のデイドからの報告は、お手入れタイムだ。
爪の手入れをされているリラクに、今日の報告をあげて来た。
笑い皺がちょっと深くなっている。
額の血管が浮くんじゃ無くて、笑い皺だからまだ挽回の余地ありだよね?

「街ではミルクティ色の髪の令息と、サダム様が人目を忍んでいちゃいちゃデートしてるのは公然の秘密だったみたいですよ。」

"初恋"
その甘酸っぱい、誰の心にも刺さる単語。
その幻惑単語で忍恋に同情が集まっていたそうだ。

ひっそりと、イチャイチャとキスしてハグする不憫な二人…
いや、人前でキスは忍んで無いから‼︎
そして情報が上がって来なかったのは、忍恋を応援するために暖かく見守っていたそうで…

阿保かーい‼︎

リラクは頭が噴火しそうだった。
そんな応援、いらんわっ!

三年前からあいつらのことは気にしてた。
けど、物理攻撃を想定してた。
物理。
拳とか、毒とかね。
いつでもこい!と思ってた。
だからこんな持って回った事は考えてもいなかった。
こんなにねちっこく報復を狙うとは…
ちょっとキモい。


リラクは「まずそのラヴラヴ令息をなんとか捕まえてね。」とデイドに頼んだ。

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