断罪だとか求婚だとかって、勝手に振り回してくれちゃってるけど。僕はただただ猫を撫でたい。

たまとら

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シーシャ・ヴェルバック

2 シーシャの憂鬱 中

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第二王子は初めて会った時からぐいぐい来た。
まだお互い幼いガキんちょだと言うのに、目が血走ってた。
金と青という、王子様らしい色味の美少年なのに。
ギンギンと迫ってくるので、正直『勘弁してくれよ』と思っていた。

第二王子は俺を"雌を見る目"で見ていた。
人間は同一の性しかないが、獣には雄と雌がある。
発情期の雌を見る雄は、ただただ突っ込む事しかない目で。
涎を垂らしながら血走った目で見ている。
だから人でも、やる目的しか無い獲物を見る目の奴は"雌を見る目をしている"と言われる。

ざけんなよ。


俺は美人だ。
俺は"神に求婚された人"の先祖返り
だと言われる。
鏡の中の白金輝く麗人は、我ながら綺麗だ。

だが俺は突っ込まれるより突っ込みたいんだ‼︎
だからあの第二王子に纏わられるのは、冗談じゃ無かった。

だいたいヴェルバック家の後継者は間違い無く俺で。
王様だって腫れ物に触るように扱うのに。
第二王子は頓着していない。
多分何も聞いてないのだ。
いや、聞いているから手に入れようと執着しているのかも知れない。めんどくさい。

無視して避けてるうちにお見合いが起こって。
俺はほっとして油断していた。



身体が痺れて動かない。
喉も動かないから、声も出ない。
家から護衛は付けてきたが、城内で俺を害そうなんて奴がいるわけない。と、情報収集を頼んでしまった。

悪役ヅラになった王子が、勝ち誇った様に能書をたれて俺のズボンをむしり取った。
仲間は二人。
つまり三人が相手だ。

あ~あ…面倒くさい

王子のブツは血管を浮かせて勃ち上がっている。
そんなものを見せられて、イラッとしても無理ないだろう。
いつもおとなしく、淑やかで、父上の後についてきた。
そんな俺を御し易いと見やがったんだろう。

甘く見るのも大概にしやがれ。
身体は動かせなくても。
声も出せなくても。
ガキんちょ三人なんざ、廃棄するのは簡単だ。
昔から隙を見せれば変な奴らが群がってきたから、対処はお手のものだ。
正当防衛だと涙を溢したら、王は王子とはいえ第二よりもヴェルバック家の後継者をとるに決まっている。

唇からふっと短い息を吐く。
ん?と目を向けた第二王子を、俺の目で捕らえた。
その青い目が、ねっとりと絡む。
呑み込んでやる。
呑み込んで吸い尽くしてやる。

自分の中の魔力をゆらゆらと立ち上げて、空気の中でざわざわと揺らす。立ち昇って絡んで行けばいい。

痺れて動きの悪い唇を、ふぅっと半開きにした時にそれは起こった。


ごっ‼︎

鈍い音と共に影が窓から飛び込んできた。
見張りが叫ぼうと口を開けたその顔面に、ぐぎっ。
慌てた王子の顔面にも、ぐぼっ。

バンとかガンとかじゃ無い。
ぐぢっ。という破裂音が顔面に炸裂している。
……これは折れてるな、おい。

その影は、鼻血を撒き散らしてぎゃあとのたうつ王子達の後頭部を次々と打って転がしていく。

美しく結い上げたミルクティいろの髪。
その前髪が額にはらりと靡いた。
エメラルドグリーンの目がキラキラと踊って新緑の森のようだ。

その上気した顔はわくわくと楽しそうで。
戦いを楽しんでいる事にほっとした。
貴族の立場では弱味とか立場とか、面倒な駆け引きが生まれる。
彼はバカ王子を静圧する事が楽しそうで。
シーシャは何処と無く安心できた。
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