断罪だとか求婚だとかって、勝手に振り回してくれちゃってるけど。僕はただただ猫を撫でたい。

たまとら

文字の大きさ
36 / 42
シーシャ・ヴェルバック

13 吸う

しおりを挟む
リラクの目の前で王子の身体がぶるりと震えた。
その頭を漢らしく鷲掴んでいるのはシーシャの手だ。

ねちょ、じゅぶっ。
僅かに空いた唇同士の隙間から、生き物のように舌が絡まる。
そこには捏ね回されたマナが鈍く瞬き、吸い込まれていく。
興奮で蠢くマナが四方に翻っていた。

王子の輝く金髪の中でシーシャの指がのたうつ。
粘った音の中に、あっ…あ…という低い声が床に溢れて落ちる。

リラクは自分のせいなら、尚更目を逸らしてはいけないと叱咤した。

互いのマナがしゆうしゅうと体に巻き付いて引き込まれていく。
離れた唇に唾液が糸を渡してねろりとひかった。


止められない。
動けない。
叫べない。
痺れた身体は指一本動かせずに、絶望感が迫り上がってくる。
苦しくて視界が揺れる。
涙だけが自由に流れて、頬に伝う熱が僅かに感じられた。
僕が捕まったから…罪悪感と締め付けられる痛みに、リラクの涙は止まらない。


拡がった鉛色のマナが逆回しのようにたなびいてシーシャの唇に吸い込まれていく。
喘ぎ声はいつのまにか喘鳴に近づいてひゅうっと鳴っていた。
恍惚の表情のまま王子の尖った肩が震えている。
蕩けた目は落ち窪んで、褪せた金髪に結ばれた緋色のリボンが場違いだった。

王子はキスのまま膝立ちをしてびくびくと身体をゆする。
見れば股間は濃い染みが浮かんでいた。
ブカブカなズボンの中でももが震えている。

王子の鉛色はもう無くて、辺りのマナは川のようにシーシャ様へと流れ込んでいた。
そうだ。マナが吸い尽くされている。
たなびいていたマナはひたすらシーシャ様の唇へと吸い込まれて、ぐるぐると波紋を見せている。

「うっ。ぁあぁぁぁっ…」
何度目かの絶頂が、再びズボンを濡らした。
ブカブカな服から覗く筋張った首と手。
でもシワのよった目尻を蕩けさせ、うっとりと王子は笑った。


うっひいぃ。

今までと別な驚愕がリラクの涙をとめた。
救護院で自分のマナを入れ込んで動かすように、王子のマナを吸いきった?
ソレもノンストップで⁉︎容赦無く⁉︎
ピッチピチの我儘生意気王子が、あっという間にミイラかよっ


シーシャはかがみ込んでいた王子の頭から手を離した。
崩れるように痩せ細った身体が尻をつく。
上着もズボンもブカブカで、座る力さえ無いのかズルズルと床に横たわっていく。
でもその窪んだ碧い目は、うっとりと宙をみている。

キモい。
 
シーシャは濡れた唇を拳でぐいっとなすりあげた。
興奮で上気した顔はやっぱり綺麗で、リラクににいっと笑う。

「鬱陶しいから、吸い尽くしてやった。」

いや、そんなテヘペロな言い方されても…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

婚約なんてしないぞ!父上、そんなに理由が知りたいですか?

ミクリ21
BL
とある王族親子の話です。

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。

ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日” ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、 ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった 一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。 結局俺が選んだのは、 “いいね!あそぼーよ”   もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと 後から思うのだった。

当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。

マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。 いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。 こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。 続編、ゆっくりとですが連載開始します。 「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

処理中です...