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シーシャ・ヴェルバック
13 吸う
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リラクの目の前で王子の身体がぶるりと震えた。
その頭を漢らしく鷲掴んでいるのはシーシャの手だ。
ねちょ、じゅぶっ。
僅かに空いた唇同士の隙間から、生き物のように舌が絡まる。
そこには捏ね回されたマナが鈍く瞬き、吸い込まれていく。
興奮で蠢くマナが四方に翻っていた。
王子の輝く金髪の中でシーシャの指がのたうつ。
粘った音の中に、あっ…あ…という低い声が床に溢れて落ちる。
リラクは自分のせいなら、尚更目を逸らしてはいけないと叱咤した。
互いのマナがしゆうしゅうと体に巻き付いて引き込まれていく。
離れた唇に唾液が糸を渡してねろりとひかった。
止められない。
動けない。
叫べない。
痺れた身体は指一本動かせずに、絶望感が迫り上がってくる。
苦しくて視界が揺れる。
涙だけが自由に流れて、頬に伝う熱が僅かに感じられた。
僕が捕まったから…罪悪感と締め付けられる痛みに、リラクの涙は止まらない。
拡がった鉛色のマナが逆回しのようにたなびいてシーシャの唇に吸い込まれていく。
喘ぎ声はいつのまにか喘鳴に近づいてひゅうっと鳴っていた。
恍惚の表情のまま王子の尖った肩が震えている。
蕩けた目は落ち窪んで、褪せた金髪に結ばれた緋色のリボンが場違いだった。
王子はキスのまま膝立ちをしてびくびくと身体をゆする。
見れば股間は濃い染みが浮かんでいた。
ブカブカなズボンの中でももが震えている。
王子の鉛色はもう無くて、辺りのマナは川のようにシーシャ様へと流れ込んでいた。
そうだ。マナが吸い尽くされている。
たなびいていたマナはひたすらシーシャ様の唇へと吸い込まれて、ぐるぐると波紋を見せている。
「うっ。ぁあぁぁぁっ…」
何度目かの絶頂が、再びズボンを濡らした。
ブカブカな服から覗く筋張った首と手。
でもシワのよった目尻を蕩けさせ、うっとりと王子は笑った。
うっひいぃ。
今までと別な驚愕がリラクの涙をとめた。
救護院で自分のマナを入れ込んで動かすように、王子のマナを吸いきった?
ソレもノンストップで⁉︎容赦無く⁉︎
ピッチピチの我儘生意気王子が、あっという間にミイラかよっ
シーシャはかがみ込んでいた王子の頭から手を離した。
崩れるように痩せ細った身体が尻をつく。
上着もズボンもブカブカで、座る力さえ無いのかズルズルと床に横たわっていく。
でもその窪んだ碧い目は、うっとりと宙をみている。
キモい。
シーシャは濡れた唇を拳でぐいっとなすりあげた。
興奮で上気した顔はやっぱり綺麗で、リラクににいっと笑う。
「鬱陶しいから、吸い尽くしてやった。」
いや、そんなテヘペロな言い方されても…
その頭を漢らしく鷲掴んでいるのはシーシャの手だ。
ねちょ、じゅぶっ。
僅かに空いた唇同士の隙間から、生き物のように舌が絡まる。
そこには捏ね回されたマナが鈍く瞬き、吸い込まれていく。
興奮で蠢くマナが四方に翻っていた。
王子の輝く金髪の中でシーシャの指がのたうつ。
粘った音の中に、あっ…あ…という低い声が床に溢れて落ちる。
リラクは自分のせいなら、尚更目を逸らしてはいけないと叱咤した。
互いのマナがしゆうしゅうと体に巻き付いて引き込まれていく。
離れた唇に唾液が糸を渡してねろりとひかった。
止められない。
動けない。
叫べない。
痺れた身体は指一本動かせずに、絶望感が迫り上がってくる。
苦しくて視界が揺れる。
涙だけが自由に流れて、頬に伝う熱が僅かに感じられた。
僕が捕まったから…罪悪感と締め付けられる痛みに、リラクの涙は止まらない。
拡がった鉛色のマナが逆回しのようにたなびいてシーシャの唇に吸い込まれていく。
喘ぎ声はいつのまにか喘鳴に近づいてひゅうっと鳴っていた。
恍惚の表情のまま王子の尖った肩が震えている。
蕩けた目は落ち窪んで、褪せた金髪に結ばれた緋色のリボンが場違いだった。
王子はキスのまま膝立ちをしてびくびくと身体をゆする。
見れば股間は濃い染みが浮かんでいた。
ブカブカなズボンの中でももが震えている。
王子の鉛色はもう無くて、辺りのマナは川のようにシーシャ様へと流れ込んでいた。
そうだ。マナが吸い尽くされている。
たなびいていたマナはひたすらシーシャ様の唇へと吸い込まれて、ぐるぐると波紋を見せている。
「うっ。ぁあぁぁぁっ…」
何度目かの絶頂が、再びズボンを濡らした。
ブカブカな服から覗く筋張った首と手。
でもシワのよった目尻を蕩けさせ、うっとりと王子は笑った。
うっひいぃ。
今までと別な驚愕がリラクの涙をとめた。
救護院で自分のマナを入れ込んで動かすように、王子のマナを吸いきった?
ソレもノンストップで⁉︎容赦無く⁉︎
ピッチピチの我儘生意気王子が、あっという間にミイラかよっ
シーシャはかがみ込んでいた王子の頭から手を離した。
崩れるように痩せ細った身体が尻をつく。
上着もズボンもブカブカで、座る力さえ無いのかズルズルと床に横たわっていく。
でもその窪んだ碧い目は、うっとりと宙をみている。
キモい。
シーシャは濡れた唇を拳でぐいっとなすりあげた。
興奮で上気した顔はやっぱり綺麗で、リラクににいっと笑う。
「鬱陶しいから、吸い尽くしてやった。」
いや、そんなテヘペロな言い方されても…
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