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10 開き直り
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トリアスは黒獅子だ。
美しく傲慢な獣。
黒く豊かな髪はたてがみのように跳ね上がっている。
タンザナイトの瞳は角度によって紫にも青にも煌めく。
がっしりした顎。
整った顔。
引き締まった体も、大きな手も。
すべてがベリルの体に刻まれている。
ただ一人の領主として。
不遜なその姿も美しかった。
自分勝手なところも嫌いじゃなかった。
見つめていると、愛しいと体中が叫ぶ。
でも、その熟れた果実の様な匂いがすると、えづきそうだ。
心が。
熱くなる体と違って心が。
もう、彼を受け入れられない。
ベリルは沈黙のまま過ごした。
周りは腫れ物に触るようようにしている。
ようやく体調が戻ってから、トリアスに別離を告げた。
「俺は反省している。おまえしか愛していない」
「奥様。どうぞお許しを。
お願いします。どうぞこのままやり直しを」
トリアスの声も家令の声も。
~~遠い。
ベリルは黙って見ていた。
互いの主張は平行線のままで。
ベリルはこれまでの自分に別れを告げたかった。
ねばつく謝罪の言葉に、ベリルはもう我慢をやめた。
「ばっかじゃないの。」
おとなしいと思われていたベリルの言葉に、二人はぴきりと動きをとめた。
「弱ってる者に水さえ与えず。
弱ってるから番え無いことに苛立つ…。
あのねぇ。
ヒトの国ではそんな者は奴隷と呼ばれているんだよ。」
水さえと言う言葉に、トリアスは目を見開いた。
「許してもらって楽になろうなんて思わないで。子供が死んだんだもの。
あんた達の人生なんて知らない。
一生悔やんで生きればいいよ!
僕はもう出ていく。こんな生活、糞食らえだ!」
きっと睨みつける目はアイスブルーで。
その氷の炎の様な煌めきに、トリアスは目を奪われた。
綺麗なベリル。
愛してる。
抱けないイライラで、フェロモンを出されてつい応じてしまった。
魔がさしただけだ。
ベリルならわかってくれるよな。
俺が欲しいのはおまえだけなんだ。
そう言い募るのを、ベリルは鼻で笑った。
その拒絶はまるで激しい氷の炎で。
その姿に圧倒されてトリアスは息をのんだ。
焼け付く様に心が好きだと叫んでいる。
「ベリル…おまえは、そんな性格だったのか」
こちらを軽蔑し切った目で見るベリルに、トリアスはゴクリと唾を飲み込んだ。
「バカバカしいから、もう我慢を辞めたんだ。もうおどおど考えるのは沢山だ。
これからは自分のしたい様にするから!」
ぐっと見返す強い目に、トリアスは震えるほどの渇望を覚えた。
これを喰いたい。
捕食者としての本能が湧き上がる。
愛しい。
喰いたい。
逃がさない。
ベリルを見る目に、αとしての欲望が高まって、威圧と共に発情のフレアが噴き上がった。
睨み合っていたベリルはその威圧をまともに浴びた。
逃げようとするが、もう身体の奥から熱いものが迫り上がっている。
全身が火照ってむずがゆい…。
唾を飲もうとした途端、ゾクゾクする快感が駆け抜けた。
……嫌だ…
叫ぼうとしたのに、もう立っていられない。
快感と欲望が波のように押し寄せてくる。
「扉を閉めて出て行け。
この辺りに人を寄越すな。」
家令に告げるトリアスは、もうベリルしか見ていない。
力が抜けたベリルを抱え上げて、ベッドに放り投げる。
もう互いの体は、発情の歓喜でざわざわと蠢いていた。
美しく傲慢な獣。
黒く豊かな髪はたてがみのように跳ね上がっている。
タンザナイトの瞳は角度によって紫にも青にも煌めく。
がっしりした顎。
整った顔。
引き締まった体も、大きな手も。
すべてがベリルの体に刻まれている。
ただ一人の領主として。
不遜なその姿も美しかった。
自分勝手なところも嫌いじゃなかった。
見つめていると、愛しいと体中が叫ぶ。
でも、その熟れた果実の様な匂いがすると、えづきそうだ。
心が。
熱くなる体と違って心が。
もう、彼を受け入れられない。
ベリルは沈黙のまま過ごした。
周りは腫れ物に触るようようにしている。
ようやく体調が戻ってから、トリアスに別離を告げた。
「俺は反省している。おまえしか愛していない」
「奥様。どうぞお許しを。
お願いします。どうぞこのままやり直しを」
トリアスの声も家令の声も。
~~遠い。
ベリルは黙って見ていた。
互いの主張は平行線のままで。
ベリルはこれまでの自分に別れを告げたかった。
ねばつく謝罪の言葉に、ベリルはもう我慢をやめた。
「ばっかじゃないの。」
おとなしいと思われていたベリルの言葉に、二人はぴきりと動きをとめた。
「弱ってる者に水さえ与えず。
弱ってるから番え無いことに苛立つ…。
あのねぇ。
ヒトの国ではそんな者は奴隷と呼ばれているんだよ。」
水さえと言う言葉に、トリアスは目を見開いた。
「許してもらって楽になろうなんて思わないで。子供が死んだんだもの。
あんた達の人生なんて知らない。
一生悔やんで生きればいいよ!
僕はもう出ていく。こんな生活、糞食らえだ!」
きっと睨みつける目はアイスブルーで。
その氷の炎の様な煌めきに、トリアスは目を奪われた。
綺麗なベリル。
愛してる。
抱けないイライラで、フェロモンを出されてつい応じてしまった。
魔がさしただけだ。
ベリルならわかってくれるよな。
俺が欲しいのはおまえだけなんだ。
そう言い募るのを、ベリルは鼻で笑った。
その拒絶はまるで激しい氷の炎で。
その姿に圧倒されてトリアスは息をのんだ。
焼け付く様に心が好きだと叫んでいる。
「ベリル…おまえは、そんな性格だったのか」
こちらを軽蔑し切った目で見るベリルに、トリアスはゴクリと唾を飲み込んだ。
「バカバカしいから、もう我慢を辞めたんだ。もうおどおど考えるのは沢山だ。
これからは自分のしたい様にするから!」
ぐっと見返す強い目に、トリアスは震えるほどの渇望を覚えた。
これを喰いたい。
捕食者としての本能が湧き上がる。
愛しい。
喰いたい。
逃がさない。
ベリルを見る目に、αとしての欲望が高まって、威圧と共に発情のフレアが噴き上がった。
睨み合っていたベリルはその威圧をまともに浴びた。
逃げようとするが、もう身体の奥から熱いものが迫り上がっている。
全身が火照ってむずがゆい…。
唾を飲もうとした途端、ゾクゾクする快感が駆け抜けた。
……嫌だ…
叫ぼうとしたのに、もう立っていられない。
快感と欲望が波のように押し寄せてくる。
「扉を閉めて出て行け。
この辺りに人を寄越すな。」
家令に告げるトリアスは、もうベリルしか見ていない。
力が抜けたベリルを抱え上げて、ベッドに放り投げる。
もう互いの体は、発情の歓喜でざわざわと蠢いていた。
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