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パルスと辺境
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しおりを挟む「えっ⁉︎」
小さくて熱い舌が、頬をしゃりっと舐めた。
しゃりっ。
本当に、玻璃が溢れるようにしゃらり。と。
パルスの舌が。
その優しい感触と、さりっという不思議な感触に、全身がぶるりと震えて、ぶわっと逆毛になった。
尻尾は竹ぼうきのように膨れて広がっている。
お、俺の舌のようにべろりじゃ無い‼︎
見返すと直ぐ横に驚いて丸くなった冬の空のような目があって。
桃色の唇が半びらで、濃いピンクの舌がちろりと出っ放しだった。
「……。」
二人は見つめ合った。
草の上に寝転んだまま。
水色に溶けたような蒼と、琥珀色の瞳が、がっちりと見つめ合う。
メテオの瞳は、蜂蜜で作った琥珀飴のようにまん丸になって驚いている。
ソレは、好意や嫌悪などの気持ちが一欠片もなく、ただただ驚愕だけで。
そのまん丸に、逆立った尻尾に驚いたパルスのまん丸な目が見つめ合って…。
パルスはぷふっと吹き出した。
驚くと思ってたけど、これほどとは…。
なんだ、この竹ぼうきのような尻尾。
してやったり感が湧き上がって、そのくすくすが再びあははっに変化した。
もうっ、なんだよおっ!
と、言ってたくせにメテオもすぐに笑いに変わる。
パルスが笑うのは嬉しい。
楽しい。
お腹の奥が歌ってるようにすんすん揺れて、笑いが込み上がってくる。
こうして二人は笑いあって。
仲間になった。
「猫の舌は小さな棘がいっぱいあるから、サリってなるんだ。これで毛繕いされると、喉がごろごろいっちゃうんだ。」
「犬の舌はべろんとなって気持ちいいから、毛繕いされるとお腹を見せてひっくり返っちゃうんだ。」
獣人の子供にとってグルーミングは、大切なスキンシップだ。
他にも仲間として認められた事にもなる。
この日から割と熱心にグルーミングするメテオを、ライサンダーは生暖かい目で見ていた。
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