駆け落ちの後始末を、僕らに求めるのはマジ勘弁して欲しい

たまとら

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パルスと愉快な仲間達 〜辺境〜

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パルスは不思議な奴だ。
あんなに細くておとなしそうにみえたのに。

『猫を被ってたんだよっ‼︎』
って、ぺろりと笑う。

何枚被ってたんだよ‼︎
と、呆れる程にアレから変わった。


傷口が開いて、母上にがっつり説教された。
もちろんパルスも一緒だ。

「熱とケガで遠慮してたけど、もう大丈夫よね⁉︎」
と、脅しのような笑顔で確認する。
にっこり笑う顔は綺麗で、とても怖い。
そう、ウチで一番怖いのは母上だ。



そして次の日から、パルスは訓練場に出た。

「お願いします。」

と頭を下げたが、マッチョなおっさん達は半笑いだった。
だって訓練してくれと小さな子供が来たら、皆んなそんな顔になるよね。
父上はただただ傍観だ。
自分でやりなさいって感じ。


パルスの冬の空のような瞳がうるうると揺れる。
美しい顔がこらえるようにプルプルする。

…‥三匹だ。

当時はまだ幼かったメテオは、
あ、コレが猫を被るって言う事かー!
と思ったが。
大きくなった今では分かる。
確実に三匹被っている。


可愛い子供にうるうるされて、情に厚くて涙脆いおっさん達は小さくて細いパルスの周りにわらわらと集まった。
そしてあたふたとしながら、顔に似合わない猫撫で声で諭した。

『いいかい。君はまだ体が出来ちゃいないだろう。』

『今無闇に訓練しても、キツイだけでバランス良く伸びてかないんだ。』

『城壁を毎日10周してごらん。』

『それが…そうだな、10日続けられたらまたおいで。』

子や孫にするように頭を撫でながらおっさん達は言った。

この可愛い、弱っちそうな子供が10日も続かないって思ったんだろう、
もう遊びに来るくらいしか会わないだろうなって。


残念でした、


その日からパルスは朝と夕に城壁の周りを走った。
一日目は朝だけでフラフラで、夕方には吐きながらだった。
ついでに熱も出てきた。
二日目はたぶん筋肉痛で、でも必死に走ってる。
あんまり必死だから、もちろんやめろなんて言えるわけも無く。
メテオは一緒に走り込んだ。

メテオは小さな頃から、おっさん達と走ったりスクワットしたりしてたから、このくらいは平気だ。

そんな息を切らさないメテオに、ムキーっといいながら、必死で走ってる。
あと見よう見まねでスクワットしたりしている。


~~どんなわけがあるんだろう。
いつか教えてくれるんだろうか。

とりあえず、身動き出来ないほどに疲れたパルスに、果樹水を渡してグルーミングしておく。



そうやって10日。
筋肉痛も無くなって、息も切れなくなったパルスは、ようやくおっさん達に受け入れられた。

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