駆け落ちの後始末を、僕らに求めるのはマジ勘弁して欲しい

たまとら

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パルスと愉快な仲間達 〜辺境〜

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わしは、シーシュス領の兵だ。
若い頃から剣一本で戦ってきた。
ライサンダー様が幼い頃に、剣をお教えしたのもわしだ。

わしはライサンダー様の"探索"と言う他領への出張も同行していた。
辺境はいろいろ大変だ。
何も時間も金も取られる探索に、わざわざ行かなくても…。
と言う意見は根強くあった。

しかも探索に協力しても、王の騎士隊はお高くとまっている。
さすがに領主にはへりくだっているが、わしらには上から目線だ。
~~腹立つ。

だが、ライサンダー様の必死な思いはしっているから、言い出す事を呑みこんで同行していたのだ。


……同行していて良かった。



オベロン王は賢王だ。
偏りのない政をされる。
民にも目をくばる。
私服を肥やしたり、民を虐げる貴族を許さなな
い。

その素晴らしいオベロン王の唯一の弱天。
それがロクサーヌ様だった。

王妃がご存命のころ、王と王妃と王女。
この完璧な三人は、まさしく光り輝いていた。
沢山の肖像が描かれ、全ての国民が愛した。

場末の居酒屋ですら、肖像画が飾ってあるほどに。
民はいつも王達を敬っていた。
王妃が病で儚くなってから、全てが狂い始めた。

慰問に出て、自ら下町に出るほどに元気だった王女は、まったく城から出たくなった。

噂によると、王が心配のあまりに閉じ込めていると言うことだった。

王城の背後には高く険しい山がある。
竜さえ超えることはかなわないと言われてるその山は、城を守ってくれている。
そこには王妃が自ら作ったという空中庭園があるそうで、その夢のような楽園に押し込められているという。
はっはぁ、噂とは拉致もない。

そう思ってた時に、がおこった。

……王女が出奔したのだ。

王の威圧が暗雲のように王都を覆った。
民は何がおこったのかわからない。
ただ何か良くない事が起こっていると言う事が、ビリビリと皮膚を刺激する気配で感じられた。

”王女様が攫われた"

そう公表された時、民は怒り悲しんだ。
それこそ山野の草の根、一本一本と分け行って探されたが、王女の姿はようとして発見されなかった。


もしやあの国が。
いや、その国が。

美しい王女の行方をめぐり、疑心暗鬼になった噂が飛び交う中で、男爵位の貴族が消えたのは余りにも小さく目立たなかった。

~~黒豹で、王女の護衛をしていた男爵家の子息。
王女と言葉も交わさずに、ただ遠くから見つめ合っていた二人が、何故いきなり出奔したのかはわからなかった。

王は怒り悲しみ、諦めなかった。



~~ああ、パルス様が生きていて良かった。
本来なら跪かれて、騎士に口付けされるその御手で、無骨な剣を握られる。
まめが潰れて、包帯は血だらけだ。

一族の命をかけて、言わずの誓いをしているわしは、パルス様に跪けない。

パルス様は王女と良く似てらっしゃる。
でもぐっと前を向く強い目は、あの陽気な若者にも似ている。

弟君を助ける。

そう誓われたパルス様の為に、わしは自分の人生の残りをつぎ込もうと決めている。




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