駆け落ちの後始末を、僕らに求めるのはマジ勘弁して欲しい

たまとら

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パルスの血族

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パルスがシーシュス領に溶け込んで約一年。
ライサンダーに執務室に呼ばれた。

「いろいろ待たせたね。」

そう言われてソファに案内され、ぽかんとする。

王がシルフィを連れ去ってから、パルスへの追及を防ぐために足取りを消した。
ほとぼりが冷めるまで様子を見た。
監視されていないか、念には念を入れ。
~~そして、

「君を俺の養子にしても良い。だか辺境の貴族の子弟では、王城でシルフィ様へと迫れない。だからもっと強固な後ろ盾をと思ってラルーナ様の実家を探していたんだ。そして、やっと探し当てた。」

「ラルーナ様?」

「君のお祖母様だよ。」

オベロン王の正妃であったラルーナはタイタニアという国の王女だった。
タイタニアは幻の王国と呼ばれて、外交している国は無い。
そして場所さえはっきりとわかっていない。

タイタニアは今では御伽か、吟遊詩人の語りの無いでのみ存在している国だった。


遥か昔。
まだタングル国やカルシュ国ができる前。
オラベア皇国と小さな国の連合が敵対していた。
タイタニアは戦いを望まず、他国と距離をとって中立を貫いていた。
しかし魔道を使うとして両サイドから付け狙われた事により、世界大戦に巻き込まれて愛する妃を失う。
それでも戦いを拒絶して、タイタニアは霧の向こうに消えていったと言われる。
その話は子供の寝物語として知られていた。

そのタイタニアが、お祖母様の国?



若かりしころ、オベロン王は自国の背後を守っているザダム・ラタムの切り立った山々に疑問を持った。
何故竜も飛べないと言われている?
竜なぞこの百年あまりと見てもいないのに。
その山の脇から溢れ出る泉は、ロダ川の源流となって国を潤している。
山の精気をたっぷり落とし込んだようなその水は、他の川よりも豊かさを育んでくれる。
畑も森も全てが豊かだ。

そして毎日眺めていたオベロンは、ある日高い崖に小さな洞窟を見出した。

あんなに切り立った遥かな崖は、ヤギの獣人ですら登れませんから。
そう言う周りを跳ね除けて登り始めた。
そしてついにその洞窟に辿り着いた。

その中で彷徨いながら、タイタニアを見つけたと言われている。

実に一月後、サダム・ラタムでは無く、ルザの樹海に現れたオベロンは、ラルーナ様を連れていた。



ラルーナ様は美しい雪豹の獣人だった。
絶滅したと言われていた雪豹に、王宮は沸いたが、二人は言わずの誓いを立てたと言うだけで何も答えなかった。
そしてあの洞窟も、オベロンが入ってからすぐに見当たらなくなっていた。


オベロンとラルーナは伴侶となり、国をおさめてきた。
そして二人の間に生まれたのが、パルスとシルフィの母のロクサーヌだ。



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