46 / 84
その後
46 二人
二人はベンチに座り。
互いに前を向いたまま。
ぎこちなくぽつりぽつりと話していた。
レリアは悪役令嬢と言われたサフィアの事。
結界に守られた何処にあるのかわからない屋敷の暮らしを話した。
ザラドに詰られると覚悟していたのに。
ザラドはその事を聞いてはこなかった。
ただ、どうやって暮らして来たのかを聞いた。
だからレリアもザラドの暮らしの話を聞いて。
二人はゆっくりと話した。
ザラドが時折相槌をうってくる。
体温が隣から伝わって、正直顔を向けれない。
通路の延びていたミントを踏んで来たらしく、ザラドからはミントの香りがする。
どくんどくんと自分が心臓になったように脈打ってる。
でも隣のザラドも同じようで。
甘酸っぱい居た堪れなさが、どんどん声を消していく。
ぎこちない二人の間でやがて声は消え失せて。
二人はただお互いを意識したまま、隣同士で座っていた。
ドキドキする。
でもこんな沈黙も悪くない。
重いわけじゃない、なんとなく気恥ずかしい沈黙が辺りを支配していた。
ふと、その沈黙の中で視線を感じた。
そっと首をもたげたレリアは、自分を見つめるザラドの瞳に捕まった。
アイスブルーの中に自分がいる。
冷たく見えるアイスブルーは、真ん中に自分を閉じ込めたまま、不思議な柔らかさでゆるゆると瞬いている。
こんな視線、知らない。
切なくて、切実な。
何処か痛いけれど甘酸っぱい。
夢見るような視線。
そして、アイスブルーの中で自分を見返す自分も、そんな目で見つめていた。
その自分が近づいてくる。
人影が滲む。
近づき過ぎて視界が氷の海だ…
暖かいものが唇にあたった。
えっ!
と、頭を引くと。
驚いたザラドの顔がある。
えっ、今のキス⁉︎
混乱して赤くなってザラドを見返す。
ザラドも信じられない‼︎と言う顔のまま、みるみる真っ赤に変化した。
口が、これは、だの、いや、だのという形にあわあわと動くけれど声が出てない。
その慌てた顔が可笑しくて、
ふっと力が抜けた。
悪戯な気分で顔を寄せる。
ちゆっ。
りっぷ音が離れる時、大きく響いた。
ザラドの顔が驚愕で固まる。
レリアも無意識の悪戯に、ハッとして固まる。
ベンチで隣り合ったまま、互いの顔を凝視する。
何?
なぜ?
そんな言葉が頭の中でぐるぐる巡って、二人はしばらく動けなかった。
音の消えた温室に二人だけがいる。
ザラドとレリアだけがここにいて。
お互いぽかんとした顔を赤く染めて。
ただただ見つめ合っている。
っぅうむぅ……ん…
小さな羽音が耳元を通って行った時、詰めてた息がどちらとも無く吐き出された。
レリアの強張っていた唇がへにゃりと緩む。
同時にザラドの頬がふるりと笑う。
赤くなった互いの顔を鏡のようにして。
二人はじっと互いの目の中に見入った。
瞳の中に赤い顔をした自分がいる。
少し照れたような、困ったような顔。
その目は潤んでいる。
言い難い熱で潤んで揺れている。
そんな顔がきゅっと甘酸っぱくて、ほふっと息が漏れた。
ちゅっ。
ちゅっ。
ちゅっ。
どちらとも無く顔を寄せて、小鳥の様な啄んだキスが始まる。
誰も来ない。
護られた空間の中で、二人はゆっくりと寄り添って行った。
互いに前を向いたまま。
ぎこちなくぽつりぽつりと話していた。
レリアは悪役令嬢と言われたサフィアの事。
結界に守られた何処にあるのかわからない屋敷の暮らしを話した。
ザラドに詰られると覚悟していたのに。
ザラドはその事を聞いてはこなかった。
ただ、どうやって暮らして来たのかを聞いた。
だからレリアもザラドの暮らしの話を聞いて。
二人はゆっくりと話した。
ザラドが時折相槌をうってくる。
体温が隣から伝わって、正直顔を向けれない。
通路の延びていたミントを踏んで来たらしく、ザラドからはミントの香りがする。
どくんどくんと自分が心臓になったように脈打ってる。
でも隣のザラドも同じようで。
甘酸っぱい居た堪れなさが、どんどん声を消していく。
ぎこちない二人の間でやがて声は消え失せて。
二人はただお互いを意識したまま、隣同士で座っていた。
ドキドキする。
でもこんな沈黙も悪くない。
重いわけじゃない、なんとなく気恥ずかしい沈黙が辺りを支配していた。
ふと、その沈黙の中で視線を感じた。
そっと首をもたげたレリアは、自分を見つめるザラドの瞳に捕まった。
アイスブルーの中に自分がいる。
冷たく見えるアイスブルーは、真ん中に自分を閉じ込めたまま、不思議な柔らかさでゆるゆると瞬いている。
こんな視線、知らない。
切なくて、切実な。
何処か痛いけれど甘酸っぱい。
夢見るような視線。
そして、アイスブルーの中で自分を見返す自分も、そんな目で見つめていた。
その自分が近づいてくる。
人影が滲む。
近づき過ぎて視界が氷の海だ…
暖かいものが唇にあたった。
えっ!
と、頭を引くと。
驚いたザラドの顔がある。
えっ、今のキス⁉︎
混乱して赤くなってザラドを見返す。
ザラドも信じられない‼︎と言う顔のまま、みるみる真っ赤に変化した。
口が、これは、だの、いや、だのという形にあわあわと動くけれど声が出てない。
その慌てた顔が可笑しくて、
ふっと力が抜けた。
悪戯な気分で顔を寄せる。
ちゆっ。
りっぷ音が離れる時、大きく響いた。
ザラドの顔が驚愕で固まる。
レリアも無意識の悪戯に、ハッとして固まる。
ベンチで隣り合ったまま、互いの顔を凝視する。
何?
なぜ?
そんな言葉が頭の中でぐるぐる巡って、二人はしばらく動けなかった。
音の消えた温室に二人だけがいる。
ザラドとレリアだけがここにいて。
お互いぽかんとした顔を赤く染めて。
ただただ見つめ合っている。
っぅうむぅ……ん…
小さな羽音が耳元を通って行った時、詰めてた息がどちらとも無く吐き出された。
レリアの強張っていた唇がへにゃりと緩む。
同時にザラドの頬がふるりと笑う。
赤くなった互いの顔を鏡のようにして。
二人はじっと互いの目の中に見入った。
瞳の中に赤い顔をした自分がいる。
少し照れたような、困ったような顔。
その目は潤んでいる。
言い難い熱で潤んで揺れている。
そんな顔がきゅっと甘酸っぱくて、ほふっと息が漏れた。
ちゅっ。
ちゅっ。
ちゅっ。
どちらとも無く顔を寄せて、小鳥の様な啄んだキスが始まる。
誰も来ない。
護られた空間の中で、二人はゆっくりと寄り添って行った。
あなたにおすすめの小説
ノーマルの俺を勝手に婚約者に据えた皇子の婚約破棄イベントを全力で回避する話。
Q矢(Q.➽)
BL
近未来日本のようでもあり、中世の西洋のようでもある世界。
皇国と貴族と魔力が存在する世界。
「誰が皇子と婚約したいなんて言った。」
過去に戻った主人公が、自分の死を回避したいが故に先回りして色々頑張れば頑張るほど執着されてしまう話。
同性婚は普通の世界。
逃げ切れるかどうかは頑張り次第。
※
生温い目で優しく暇潰し程度にご覧下さい。
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
王家の影ですので
渡辺 佐倉
BL
王家の影として動く伯爵令息であるカイルは淡々と役目をこなす。
王太子のルイスは妃探しをしているが難癖をつけて上手くいっていない。
その難癖を探すのが最近のカイルの仕事になってしまっている。
カイルが影であることは王家の一部のものしか知らない。
知っていたとしても影の薄いカイルを探すことはできない筈だ。
その筈だったのだけれど――
当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。