ざまぁされた悪役令嬢の息子は、やっぱりざまぁに巻き込まれる

たまとら

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その後

47 ミラーテ ①

リーリアは小栗鼠のように頬を膨らませて食べている。

馬鹿で下品な女ね。
そんなあざと可愛い食べ方は、チェリーボーイか枯れオジじゃないとクラってこないわよ。
女性相手ではむしろ逆効果だわ。
私の本にも書いてたでしょうに。

腹の中でせせら嗤いながら、優しく新しい茶菓子を薦める。

最近ザラドが冷たくなったという愚痴を、あらまあと聞きながら、ミラーテは優雅に微笑む。


そりゃあなた。
夜会の席で男、しかも王族にいきなり抱き付く女。
引くわよね。
あんなにざわざわゴタゴタして、オーケストラだってぽっかーんと口を開けて立ち尽くしてるその中で、
『次はあたしと踊るのよ♡』
じや、ドン引きよ。
いつもそれじゃ熱も醒めるわぁ。

男を虜にするには、押すと引くが大丈夫なのよ。


さも同情しているように頷きながら、ミラーテは赤い唇を歪める様に笑った。
お馬鹿で、上昇志向だけは強い女。
……良いじゃなぁい♡



「お馬鹿さんね。わかる?相手はダンスでしか手を繋いだことのないようなチェリーボーイよ。」

そう言ってリーリアの自慢のおっぱいを人差し指でちょんとつつく。

「こぉんな良いもの持ってんだから。
 使わなくちゃ、よ。ね♡」

そう、なかなか立派よ。
私程じゃないけどね。
ミラーテのにやにやした笑いに、リーリアはごくんと唾を飲んだ。

「ん~、私は可愛い貴女がザラドのお嫁さんになってくれたら嬉しいわ♡
で、のしあがるためには何でも使う。
これ、基本的よ。 ねっ♡」



ミラーテのドヤ顔は、リーリアの憧れたイメージそのもので。
頬を真っ赤に染めて、リーリアはこくこくと頷いた。
憧れのミラーテ様に認められ、あたしはザラドの婚約者になっていくんだわっ‼︎

そんなお花畑な言葉が聞こえる様だ。

ミラーテはにこにこしながら、ザラドの寝室に忍びこむ手筈は任せておきなさい。と言ってやった。

そうよ。
そうよね。
既成事実って大事。
やっちゃったらこっちのもの♡
そうやって心も体も堕とすのよ。



薔薇の形に作られた小瓶を渡す。
そしてたっぷりのまつ毛をばさりとウインクさせて、甘く囁く。

「男の子をその気にさせるお薬よ。
 良い?誰にも内緒よ。」

リーリアは上気した顔でこくこくと頷いた。



そうよ。
上手くやってちょうだいよ。

うっとりと未来を夢見るリーリアを、ミラーテは冷たい視線で観察する。



上手くやって消えちゃって。
うん、こうやって犯人も用意したし。
邪魔な失敗作はいらないわ。


今度こそ、私はヒロインになるの。
ミラーテは、膨らんだ腹をそっと撫でてほくそ笑んだ。
感想 9

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