足元に魔法陣が湧いて召喚されたら、異世界の婚活だった件

たまとら

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もう一人の異世界人

4 アオニアとのくらし

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アオニアの裸を見た時、ナヴァは綺麗だと思った。
金色の下生えの中に、躑躅色のペニスが聳り立つのを見た時、こんなところまで綺麗なんだと思った。
萎れて乾いた貧相な自分の事は全く浮かばずに、ナヴァは砂漠の旅人が貪るように水を求めるようにアオニアを見つめた。


アオニアがナヴァを抱えて帰宅した時、いつも無表情なその顔が蕩けているのを使用人達は目撃した。
アオニアの美しい顔は神々しいほどで、不出来な人間に鉄槌を下さんとする様にいつも厳かで無表情だった。
その顔が柔らかく綻んで腕の中のローブの塊を見つめているのを歓喜の思いで見た。

「番の世話は自分がする。この離れに近寄るな」
という命令は至極もっともで、家令はじめ全ての使用人はほっこりと頷いた。
この世界の番至上主義の男にとって番の世話はパラダイスだ。
決して譲らない"番あるある"として全ての人が知っている。

アオニアはナヴァを壊れものを扱う様に大切に扱った。
風呂は自らが裸になって、ナヴァを抱きしめて入る。
ナヴァが振りあおぐと、湯気で金の髪に蒸気が舞い上がりまさしく神の如く輝いている。
頬には長い睫毛の影が落ちて金色に光っている。
そしてその目、その青空の中にナヴァは鳥の様に自由に羽ばたいた。
愛してるよ、愛してるよと青空は唄う。
羽ばたくとその気持ちが身体いっぱいに溢れて、ふるふると揺れる。

緊張した心を解そうと、アオニアは取り留めのないいろんな話をしてくれた。
庭で咲く薄桃色の月読草や、船から見る海底の白さや、絵本に載ってる物語や。
ナヴァは相槌という概念すら無く、アオニアの心地良い声に聞き惚れた。

下級のナヴァはこの世界に来るまで風呂に入った事は無かった。
王宮で侍女に囲まれて温かい水に入れられた時、娘嬢様方の処刑かと思った。
美しい娘嬢様方の中に闖入して来た自分への処罰なのかと思った。
それなのに侍女達は、嫌悪せずに優しく洗ってマッサージしてくれた。
その時にようやく、ああここには女王がいないのだと実感した。


アオニアの体温はほっとする。
裸同士でくっついていると、ドキドキが合わさって溶けていきそうだ。
そして猛るペニスが尻に当たる。

アオニアは綺麗だ。
こんなところまで。

天井裏で見た王配のソレは、赤黒くてグロテスクだった。

ナヴァはうっとりとアオニアを見つめた。
一緒にいたい。
この人になら何をされてもいい。
こんなちっぽけな自分を求めてくれるのなら…

金色の下生えの中の躑躅色のペニスを思い出し、尻に当たる固いものを感じて
ナヴァは死を覚悟した。

無理だろう、あの大きさが自分に入るのは。
襞を伸ばし切って股関節や骨盤をずらしても、物理的にどう考えても入らない。
広がった襞が切れて流血するぐらいならまだしも、直腸は裂けてしまう。

ナヴァは知っている。
下級は雑種を増やさないように、生殖器官は育たないように造られている。
そこにペニスを挿し込んだら、子宮や腸は裂けてしまうのだ。

昔、王配が戯れに下級Ⅰ型を犯しているのを天井裏から見た。
誰をも信じない女王は、王配達も娘嬢様達も見張らせていた。
王配がペニスをⅠ型に捩じ込んだ時、その未熟な子宮は破裂して血が噴き出した。
Ⅰ型は激痛と恐怖に叫びながら暴れていた。

『大事な我が子Ⅰ型になんという非道を!』
怒る女王は直ぐに王配の首を刎ねたが、ナヴァはⅠ型の裂けそうなくらいに開かれた口と、飛び出した目玉が光りを失っていくのを今でも易々と思い出される。

ナヴァは隠密で城のあちこちに潜っていた。
ナヴァにとって死は何処にでもあるものだった。
上級娘嬢様の気分次第で処刑される事も良くあるし、下級は女王の子だと言っても名前も貰えない換えのきく兵でしか無かった。

だからこんな自分に欲情してくれるアオニアに応えたいと思った。
ただそれは、やはり死というものを連れていた。
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