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辺境で大暴れ
3 竜といっしょに GO?
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竜の羽ばたきで枝が揺れる。
キーランは革袋をしまって、ぎゅっと腿と腕で枝を抱えた。
光を反射する髪のプラチナブロンドは、フィーリアの花と同じ色で、食欲に夢中になってる竜達は人間の匂いに気付いていない。
落ちたら魔獣に喰われる!
そう思いながらも、竜も人を食べるよな。
と思い出して、腕に力が入る。
幸い自分の周りは収穫したから何も無い。
……早く行ってくれ。
ドキドキ祈りながら、キーランは生きた心地がしなかった。
時々取り合いになって、ギヤッギヤッと声が響く。
枝にぶつかる羽で木ががつがつ揺れる。
桃色の満月に黒い影が幾つも踊る。
気配を殺して枝の真ん中にいたキーランは、自分の枝先にまだ沢山の実が付いているのに気がついた。
どうしよう。
来る。
キキュキュュュ…
甲高い擦れた様な音が上からした。
桃色の光が無くなる。
わかってる。
何か来た。
巨大なモノが上から来た。
その気配は、今までとは比較にならない程に巨大で…
振り向くな。
動くな。
気配を殺せ。
頭の中で呪文のように呟く。
でも口から出そうな程にドクドクしている心臓の音が、ここにいるぞと叫んでるみたいだ。
ソレはバサリとキーランが掴まっている枝に停まった。
枝が軽く揺れた。
巨体に比べて振動が無い。
神経がひたすらそっちに向かう。
後ろに。
尻の向こうに、奴がいる。
ちょっと動けばあたる程に近く。
月光は無い。
どんだけでかいんだ。
動くな。
頭の中で繰り返す。
気づかれないように。
ゆっくり息をして気配を殺す。
そいつはバキバキと音を立てて枝を握った。
幹側の枝を鋭い牙で噛み砕く。
ぐんと反動がきて、キーランは歯を噛み締めた。
落ちる。
と思ったのは一瞬で、
重力に投げ出されるようにぶんとゆすられ、次に浮遊感に包まれた。
えっ!
枝ごと運ばれてる!
腕と脚に力を込めて抱きしめる。
落ちたら死ぬ!
落ちたらアウト!
…でも、どこに行くんだ。
羽ばたきに揺らされながら、必死で歯を食いしばる。
竜に遮られて月は見えない。
ちらりと下を見ると、月に照らされた森が見える。
それがみるみるうちに遠ざかる。
森の向こうに町の灯りがちろちろ見える。
あぁ、俺どうなるんだろう。
自分の事を考える前に、温い膜をぶわっと突き抜けた。
すぐに竜の高度が下がる。
足元には白く光る森。
どんどん近づいてくる。
そして草原の中を通って、竜の爪がふっと離れた。
枝が重力に釣られて落ちて行く。
えええぇぇぇぇっ!
心で叫びながら、キーランは枝を抱きしめたまま落ちて行った。
キーランは革袋をしまって、ぎゅっと腿と腕で枝を抱えた。
光を反射する髪のプラチナブロンドは、フィーリアの花と同じ色で、食欲に夢中になってる竜達は人間の匂いに気付いていない。
落ちたら魔獣に喰われる!
そう思いながらも、竜も人を食べるよな。
と思い出して、腕に力が入る。
幸い自分の周りは収穫したから何も無い。
……早く行ってくれ。
ドキドキ祈りながら、キーランは生きた心地がしなかった。
時々取り合いになって、ギヤッギヤッと声が響く。
枝にぶつかる羽で木ががつがつ揺れる。
桃色の満月に黒い影が幾つも踊る。
気配を殺して枝の真ん中にいたキーランは、自分の枝先にまだ沢山の実が付いているのに気がついた。
どうしよう。
来る。
キキュキュュュ…
甲高い擦れた様な音が上からした。
桃色の光が無くなる。
わかってる。
何か来た。
巨大なモノが上から来た。
その気配は、今までとは比較にならない程に巨大で…
振り向くな。
動くな。
気配を殺せ。
頭の中で呪文のように呟く。
でも口から出そうな程にドクドクしている心臓の音が、ここにいるぞと叫んでるみたいだ。
ソレはバサリとキーランが掴まっている枝に停まった。
枝が軽く揺れた。
巨体に比べて振動が無い。
神経がひたすらそっちに向かう。
後ろに。
尻の向こうに、奴がいる。
ちょっと動けばあたる程に近く。
月光は無い。
どんだけでかいんだ。
動くな。
頭の中で繰り返す。
気づかれないように。
ゆっくり息をして気配を殺す。
そいつはバキバキと音を立てて枝を握った。
幹側の枝を鋭い牙で噛み砕く。
ぐんと反動がきて、キーランは歯を噛み締めた。
落ちる。
と思ったのは一瞬で、
重力に投げ出されるようにぶんとゆすられ、次に浮遊感に包まれた。
えっ!
枝ごと運ばれてる!
腕と脚に力を込めて抱きしめる。
落ちたら死ぬ!
落ちたらアウト!
…でも、どこに行くんだ。
羽ばたきに揺らされながら、必死で歯を食いしばる。
竜に遮られて月は見えない。
ちらりと下を見ると、月に照らされた森が見える。
それがみるみるうちに遠ざかる。
森の向こうに町の灯りがちろちろ見える。
あぁ、俺どうなるんだろう。
自分の事を考える前に、温い膜をぶわっと突き抜けた。
すぐに竜の高度が下がる。
足元には白く光る森。
どんどん近づいてくる。
そして草原の中を通って、竜の爪がふっと離れた。
枝が重力に釣られて落ちて行く。
えええぇぇぇぇっ!
心で叫びながら、キーランは枝を抱きしめたまま落ちて行った。
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