結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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結婚が降りかかってきました

9 学園時代に

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ある歴史の授業の時。

バン‼︎ 
と、いきなりルカが立ち上がった。

ざわりとする視線の中で、ルカは教師に失礼を詫びてすぐに踵を返した。
そのまま駆け足で上級生の教師に飛び込むと、驚く教師に向かって失礼を詫びながら第二王子の元へ真っ直ぐ向かった。

王子には多重に防護結界が張られている。
それが全く効いてない。
つまり悪意は一欠片も無く。
王族の魔道具を無効にするだけのモノを身につけているということだ。

「王子。ここより西に800ザン離れた村に、魔獣が数十体迫っております。
すぐに竜騎士を送って下さい!」

その声は、しんとなった教室にはっきりと響いた。

一瞬、唖然としたディサロ王子だったが。
護衛が飛び掛かろうとしたのを手で制して。
すぐに通信用の火蜥蜴を取り出させた。


そう、何も狼狽えず。
何も問いかけず。
本当かどうかの精査の時間さえ無駄と切り捨てて、軍に連絡をとったのだ。

その時、互いに見合った目の。
王子の青空のような目が、真っ直ぐ信頼を映しているのに、ルカはじん、と感動した。


魔獣は小規模なスタンピードになり始めていて。
村はギリギリのところで救われた。

その日は非公式に王都の郊外で演習があって、いつものパトロールがされていなかった。


ルカはその時の迷いの無い態度に、ディサロ王子に好感を持っていた。

もっとも、その時のおかげでエルメの能力がバレてしまった。

エルメはどこからでも念話出来る。
その距離は飛び抜けているが、格段に珍しい事では無い。

ただその時エルメは自分の竜舎でぬくぬくしていて、緊急通報して来たのが野生の火蜥蜴だった。

そう、エルメはその美しさで称された"女王"では無く、本当に竜全てを統べている。

父様がなんとか誤魔化して来たその事が、バレてしまった。


飛竜を従える飛竜なんて、王家にしたら悪夢のようなものだ。
王家も軍も喉から手が出るほどに欲しいものだ。
表沙汰にせずに、いろいろと取り込もうと画策されている。
そしてそんな秘密は、貴族の情報網ではバレバレなわけで。


ディサロ王子は
「貴方のおかげで民が護られました。」
とめっちゃ誘ってくるし、
王子が卒業した後は、他の奴等がぐいぐい来るし。
ルカは卒業式に出た途端、送られた招待状も開封せずに、卒業パーティーも出ずに、とっとと領地に逃げたのだ。


風呂の中でもぞもぞ動いて、頭を浴槽の縁に乗せる。

まぁ、フェルベーツの隣の領地が貰えるなら考えちゃうけどね。

辺境は魔の森が後ろにあって、狩っても狩っても魔獣が湧いてくる。
魔素を取り込みすぎた獣が魔獣になる。
魔素の力で歪に変容し、凶暴化して巨大化している。
人の持つ魔力を取り込もうと、人を襲うようになるから、討伐しなければならない。

飛竜の産地だけあって、フェルベーツは魔素がかなり濃い。
だからひっきりなしに魔獣が湧いてスタンピードになりかかる。

だから連携する隣の領地に主がいないのは大変なのだ。
隣は王都から軍が駐在している。
でも足りない。
戦力的にぜんぜん足りない。
せめてもっと増員してくれ。

領主のなり手がいないなら、いっそこっちにくれっ!
と、言いたい。


どういうつもりで放置してるのか。
自分を追い込む罠なのか。

ルカは何かモヤっとしたものを感じていた。
とにかく、利用されるのは嫌だと思った。


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