結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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結婚が降りかかってきました

8 王都当地

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辺境伯の屋敷は広い。
王都の郊外にあるが、庭というより飛竜の発着場が敷地の半分を占めている。

それは王都の竜騎士団が集合しても余裕がありそうな大きさだ。
その力具合は、王家が取り込みたいと思うのが良くわかる。


エルメとルカが到着した時。
竜達は両脇に列を作って行儀良く迎えた。
当たり前だ。
エルメは女王なのだから。

獣には雄と雌がある。
卵を産むのは雌だけだ。
その雌の中で女王という、全ての竜が逆らえないものがいる。
エルメはその女王だ。

青銅竜が、黒竜が、褐色竜が。
その場の全ての竜が、歓迎に喉を逸らして
ヴオォォォ…ッと声を上げる。

その中をエルメは白く美しい翼で舞い降りて来た。
ルカの紅い髪が、その上で美しく翻っている。

出迎えた父様の広げられた腕の中にすっぽりと収まって、ルカはただいま!と笑った。


家令や執事達が出迎える。
後ろからついて来たマルロにゴーグルと騎乗鞄を渡すと、そのまま自分の部屋に駆け込んだ。


風呂、風呂に入りたい。
出来た執事は用意してくれてるはずだ。


跳ね飛ばすようにブーツを脱いだ。
ベルトを外して放り投げる。
マフラーを引っ張りだして丸める。
ジャケットを脱ぐ。
シャツを脱ぐと、けんけんしながらズボンを脱いだ。

ルカの進む道に、ぽつりぽつりと服が落ちている。

それを一つづつ集めながら、マルロはブラシを掛けてクローゼットに仕舞うのとランドリーボックスに入れるのとを分けた。
最後に靴下を掴んでから、浴室に声をかける。


「執事んとこに行ってくるから!」

「わかったー」

湯の中で背伸びをしながらルカも答えた。
たとえクリーンで綺麗にされても、風呂は別物だ。
解いた髪が湯の中で紅い花のように広がっていく。

ふと胸元に鬱血痕を見つけてギョッとした。
考えたくもない現実が待っている。



見合いのお茶会、どんな感じだろう。
ディサロ王子は勿論いらっしゃるんだろうな。



ルカは、卒業したばかりの学園生活を想った。

王立学園に、貴族ならば学ばなくてはならない。
つまり卒業しなければ貴族になれない。
王子だろうと寮に入って、他領の子弟とも交流する。
領地の運営などを学びながら、貴族としての在り方を学び、貴族らしくなっていく。

そんな中でルカは屋敷から通った。
勿論エルメと一緒にいるためだ。

ルカが学園に行ってる間、エルメは他の竜と訓練していた。(勿論、騎士を乗せずに)

学園の中で紅花詰草ストロベリーキャンドルの艶やかな髪はとても目立った。
さらに生き生きとした美貌だ。
ぬらりくらりとした貴族の子弟のうふふと言う会話の中で、腹芸の無いストレートな物言いはとても目立っていた。

他の生徒達は遠巻きにして見ていた。
その目は疎んでいるモノは少なくて、大概はうっとりに近かった。
そんな絡みつく視線の中でも、ルカは無邪気というより肝の太さでごく普通に毎日を送っていた。

たまにディサロ王子を含めた上級貴族の子弟達に誘いを受け、交流する姿が見られていた。

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