結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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そして新たな婚活

26 いきなりのお宅訪問

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出迎えの家令達に、よろしくね♡
と、馬車の荷物を頼む。

「御領主様が第三でお待ちで御座います」



その言葉で背筋が伸びた。

この時間に父様が帰っている。
しかも談話室その一だの、応接室その一だのでは無く、第三談話室。

奥の庭に面したプライベートなそこは、よほど腹を割った人じゃないと通さない。

『お着替えをっ!』

という叫をまるっと無視して足速に歩く。

さっとマルロがコートを剥ぎ取る。
後ろに現れたフットマンがそれを受け取る。
駆け足の従者が髪を整える。
足が痛いと言ってたからか、目の前にヒールのない靴が歩幅に合わせて片方ずつあって。
しゅたっ、しゅたっと履き変わった。
……マルロ、手品師のようだぜ。


竜の訓練場が見渡せる回廊を抜けると、待ってた護衛が扉を開けてくれた。

第三談話室は、庭に面している。
今日はその庭側のガラス戸が両脇へと納められ、テラスのように庭と一体になっていた。
庭から緩やかな風が入ってきて心地良さそうだ。
その陽が降り注ぐ中に、髪を反射でキラキラさせて、青空色の目がこっちを見ていた。

~~ディサロ王子⁉︎

あれぇ?

一瞬頭が止まったけれど、すぐに復旧する。
ゆっくりと片足をひき、臣下の礼をとった。

「ご訪問を光栄に存じます。」

「頭を上げて下さい。」

私用な訪問らしく、略式なフロットコートだ。
そしてそのピンは…

"アッシュバルト"の紋章が入ってる!

む、む、む…
どゆこと?


「ルカ。ただいまはしてくれないのかい?」

苦笑混じりの父様の声に。
ああ、気を遣わない感じでいいんだとわかった。

父様にただいまのハグをする。
言われるままにソファに座る。
お茶がするりと用意された。

外から帰ったばかりだから喉がからからだ。
駆けつけでぐいと頂いていると、左前からディサロ王子の視線がずくずくと突き刺さってきた。

その目を見返す。

ディサロ王子の目は、真っ直ぐにルカの左右へと向いていた。
青空色の目の中に、痛ましさと喜びが炎の様に踊っている。

……そう、喜びが。



かしましい貴族達の"破局"の噂が、ディサロを後押ししていた。
もとより、引く気は無かった‼︎

だが、マデウスの色を身につけているのを見た時…もう駄目なのかと絶望があった。

それを跳ね除けて。
耳を切り取る程に跳ね除けたルカに、痺れる程に喜びが湧く。

あの美しい耳が損なわれた事が痛ましい。
でもそれが自由の証に見えて、喜びが止まらない。


「ルカ。
私はこのたび、臣籍降下した。そしてアッシュバルトを拝領する事になった。」

ディサロ王子の言葉に
ルカの目がまんまるに見開かれた。


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