結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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いよいよ囲い込み

44 パパの諦め

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結婚の許可を頂きたい。
と、現れたディサロ様に。
やっぱりね。と内心溜め息をついた。


ディサロ様はあの"孵化の儀"で、ルカとエルメを見そめたらしく。
その後王宮に行った俺を呼び止められた。
まだむちむちした幼さの残る姿なのに、その目は真っ直ぐこっちを見上げている。

「ルカ様をお嫁さんにします。」

と、おっしゃった。
もちろん、はいはいといなす。

領主一族が竜を持つとか、
あの竜は想定外だとか、
城のお偉いさん達は、聖職者も加わって大騒ぎだ。

どう決まるかわからないその審議に、こちらから墓穴を掘ることは無い。

もっとも俺は結構ゴツい。
辺境伯として、飛竜の領主として、武張る為に幼い頃から鍛えてなかなかに威圧系だ。
それに怯まない幼児は領地外では結構珍しく。
俺はいい印象を持った。


俺は王宮への報告や行事の出席の為に毎年決まった時期に王宮に詣でる。
その度にディサロ様は俺にまとわりつく。
そしてルカのことを聞く。

ルカは何をしている。
ルカは何が好きか。

そんな雑多なコトを嬉しそうに聞く。
……多分、よくわかってるだろう。
陰で情報収集しているのは基本中の基本。
ただこちらへのメンツとアピールのためだけに声を掛けているのだと思う。



そして、10歳になられたころ。

庭の四阿でお茶をしましょうと誘われた。
用意が終わると全ての侍従が下がる。
辺りに風で音漏れのない結界まで張る。
そこでディサロ様はこっちを真っ直ぐ見つめた。
嘘を許さない目だ。

「私はフェルベーツがただの辺境伯とは思っていません。"竜の谷"を護るためにこの国の臣下となっているのだろうと思っています」

その言葉に俺はびくりと震えた。
恥ずかしい話だが、動揺したのだと思う。

「エルメ様は他の者がなんと言おうと、大切な"分岐点"だと思う思っています。」



"分岐点"

飛竜ははっきり言って近親婚になる。
それはその血筋を歪めていく。
その歪みを整するために、何百年ごとに現れるという"分岐点"。

それは竜の谷と切っても切れない存在だ。

そしてその事はフェルベーツの領主である自分と、国の王となった者しか知らない秘事のはずだ…。


ふっくらとした幼なさを脱して、今やすんなりと逞しくなられたディサロ様がにっこりと笑う。

「大丈夫。誰にも言っていませんよ。
 そうじゃないかと思っただけです。」

そんなこと。
10歳の子供が考えるものなのか…

目の前のこの子供はいったい…



「私も必死なのですよ。
 ルカ様に相応しくあるために。
 ルカ様の為にと考える事が多すぎて。」

ですから。

と、ディサロ様はその青空の瞳を真っ直ぐ向ける。
口元は笑っているのに目は笑っていない。

「王族に未練はありません。
私はルカ様とエルメ様が幸せになる事だ けを考えて動きますから。」


だから。

わかってますよね。
と、圧が言う。


ああ、これは。

逃げる事は出来ないだろうな。
と、俺は悟った。
~~頑張れ、ルカ。

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