押してダメなら引いてみるけど、恋ってやつは後戻りはできない。

たまとら

文字の大きさ
1 / 12
学園の欺瞞工作

1 ルゥティル ちゅう♡に眩む

しおりを挟む
「愛してるよ。」

ちゅっ

「愛してるわ。」

ちゅっ


ベンチで膝抱っこする二人は世界を築いていた。
ルゥティルが直ぐそばでそんな二人をガン見しているが、気付いていない。
それはちゅうに夢中だと言うこともあるが、ルゥティルの隠匿のおかげだった。

ゴージャスな金髪が解けて滝のように流れ落ちている。
学生らしい色付きリップは桃色を頬に伸ばして筋になっていた。
蕩けた瞳のイヴァニス嬢に、ルゥティルはうんうんと頷いた。


一週間前に片膝を付いての告白タイムがあった。OKしてもおずおずもじもじと手を握る事さえ出来なかったのに、5日前の16時23分に初キッスした途端にこうだ。
膝抱っこで人目も憚らずちゅっちゅの嵐だ。
あのツンな彼女は何処に消えた。
むしろチョロすぎじゃないのか?



いいじゃん。

すっごくいいじゃん。

ガードきつめなコが、恋の一本道で進むか戻るか悩むのって好き。
戸惑いながら流されちゃうのも好き。
我を忘れて突っ走っちゃうのって、もおぉぉっと好き♡
その度にドキドキしてワクワクして心が乱気流する。
あ”あ”あ”ぁ~っ♡
この学園に入って良かったあぁ♡


恋愛遊戯を見守るのはルゥティルの趣味だ
その無駄に高い隠匿能力で、今日も呆れる程近くで臨場感たっぷりにハラハラドキドキのてれてれを見守っている。


うっとり見惚れていたら、男はちゅうの最中に身体を離し、笑える程シリアスな顔を作った。

「長期休暇は野営訓練に行くんだ。」

シリアス顔なのに手は忙しなくイヴァニス嬢を弄っている。

「そう…あの西に行くんだ…」



思わず叫びかけたルゥティルは悪くない

あっぶなっ‼︎
動揺で隠匿が切れるトコだった!


アウトォッ‼︎

心の中で叫ぶ。
学園の行事の野営訓練に命のやり取りなんかねぇんだよっ‼︎
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

残念でした。悪役令嬢です【BL】

渡辺 佐倉
BL
転生ものBL この世界には前世の記憶を持った人間がたまにいる。 主人公の蒼士もその一人だ。 日々愛を囁いてくる男も同じ前世の記憶があるらしい。 だけど……。 同じ記憶があると言っても蒼士の前世は悪役令嬢だった。 エブリスタにも同じ内容で掲載中です。

愛などもう求めない

一寸光陰
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

処理中です...