押してダメなら引いてみるけど、恋ってやつは後戻りはできない。

たまとら

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ルゥティルと愉快な仲間たち

2 ブレイクリー領民の奮起

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インドラグナ辺境伯は西辺境を護っているから"西辺境伯"と呼ばれている。
ブレイクリー領の寄親だ。
この国は力のある高位貴族の元で、下位貴族が傘下にはいる寄親制度をとっている。この親子関係で経済や軍事力を纏めているのだ。

ブレイクリーの細長い領地はくの字型で、インドラグナ領にへばりついている。
領民は主に農業を営んでいるが、貧相な土地に収穫は少ない。
もっぱら自給自足だ。
戦闘民族で狩猟民族だから魔物を狩って素材を売るのも主産業といえる。
ただ森から湧き出た魔物に破壊される堤防や畑の修繕費用や、国に納める税金などが待った無しにかかって来るからいつも貧乏だった。

王国創世から存在すると言うインドラグナ領は広くて強くてお金持ちだ。
その上寄子に優しい。
ブートキャンプにブレイクリー家の者を雇って、外貨も落としてくれる。
そんな西辺境伯様の魔報に奮い立たない者はいなかった。


風舞花は魔物の仲間だ。
といっても人を害する事は無い。
魔力を持ってふわふわと風に舞う。
ときどき発光して受粉相手を探す。
薄桃色の花がキラキラ虹色に瞬きながら舞い上がる光景はそりゃもう綺麗で、儀式だのパーティーだのと無茶苦茶高額で取引されている。

風舞花はひらひら飛ぶけれど、地面に落ちた途端に溶けて消え失せる。
慌てて掘り返しても種は見つからない。しかも季節とか時間に関係無く発芽する為に、いつ何処で見つかるのか予測出来ない幻の魔物だった。


ブレイクリーは貧乏だ。
食卓の一品を探して手の空いた領民は大人も子供も森をあるく。
そんな訳で発芽前の風舞花を見つけた事がある。
そんな過去の事案で緊急要請が来たのだと思う。


以前、風舞花の種を見つけてハノン商会に魔報を飛ばした。
ちょうどお偉いさんの結婚式があるとかで、商会の人と魔術師が駆け付けた。
発芽をコントロールする為に緑の力のある魔術師が必要なのだ。

ハノン商会はビビる程の代金をくれた。
おかげでブレイクリーは税金を納めた上に領民の冬支度が出来たのだ。

その時の魔術師の力は土の中の種を優しく傷つけないように眠らせる、とても繊細なものだった。
緑の力を発現しかかっていたテオドアは、キラキラした目でソレを見た。
五歳前なのに力を感じた魔術師はさりげなくコントロールを教えてくれた。

繊細で優しく植物を眠らせる力。
日々の暮らしでコントロールはバッチリだ。
そんな訳で風舞花を発見で来たなら、何がなんでもテオドアが最前列に立つことになったのだ。
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