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26、晩餐会までの時間
しおりを挟む無事お茶会が終わり、晩餐会まで王宮内を散策し過ごす事になった。
本来なら王であるハーリアが案内するはずが、先程のエティエンヌフューベルの殺気に当てられ足元がフラフラになっていたので、案内役はダリアが引き受けた。
エティエンヌフューベルの精神状態(凛音が絡むとすぐ紫炎が発生する)を考慮しながらも、夫であるハーリアを物理的に支えながら立つ姿は、大きな母のようで、感心する。
そんなあったかい雰囲気をぶち壊したのは、三人の側妃だ。
「ハーリアさまぁ、ハーリアさまぁ」
「寂しゅうございましたわ…(うるうる)」
「お側におれなく泣いちゃいますわ」
三者共に、先ずはダリアを尻タックルで飛ばし。開いた空間にすぐさま入りこむ。
次いで豊満な胸部をハーリアの腕や背中や横っ腹あたりにムニュムニュあてながら、可愛らしい声でくっくつ三人。
その間、エティエンヌフューベルを上目遣いでパチパチ見ている。
(はいっ、キモいっ!! 嫌いなタイプだ、大嫌いなタイプだ!! 私が一番嫌いなタイプだ!!)
憤慨する凛音だが、とうのエティエンヌフューベルは凛音しか見ていない。むしろ抱き上げた事により、少し開いた胸元をうっとりしながら見ていた。
(エティエンヌフューベル様の変態!!)
魂の伴侶以外は興味なく、妖精族は皆がただ一人の運命人にその身を捧げるのが常識。これは素晴らしく素敵だが、その相手に向ける性欲も凄まじい。
嬉しいのだ、自分の超絶タイプの人からの絶対的な愛は嬉しいのだが、場所と程度による。
変態エティエンヌフューベルに対抗するべく、凛音は胸元の谷間が見えないように生地をグィっと引き上げた。
(見えなくしたんだから!これでエロ脳はなくなるだろう!)
意気込んだ凛音だったが、全てが空回り。
意地悪でしたその行動までエティエンヌフューベルは気に入ったのか、めちゃくちゃ嬉しそうに「恥じらう凛音は、魅力的だ」と柔らかに微笑み返された。
当然エティエンヌフューベルの整い過ぎた顔面に、凛音がノックアウトされたのは当然といえよう。
(変態なのに、気持ち悪いくらい変態なのに、日本でだったら胸元見て笑う男なんて、性犯罪なみに気持ち悪いはずなのに。
綺麗だなんて、感想しか抱かない私の残念な脳!! うぉーーーなんで、どうして、私はおかしくなったのか!?)
凛音がエティエンヌフューベルの行動に、脳内ツッコミを入れていたところで、尻タックルでハーリアから離されたダリアが口を開く。
「妖精王、天草様、王宮をご案内致します」
「王宮は標高が高い、案内不要。凛音が呼吸困難にならない場所はないのか?」
「かしこまりました。では王宮ではなく、王宮の森はいかがでしょうか? 山には珍しい草木や可愛らしい動物が沢山おります。天草様、動物はお好きでしょうか?」
勝手に話は進むが、もとお局の凛音には重役どうしの会話(この場ではエティエンヌフューベルとダリア)途中で口を挟むなんて真似は出来ない。
凛音は皆に同等とし扱ってもらっているが、国のトップ(エティエンヌフューベル)と王妃ダリアは凛音とは違う身分の人達だ。
で、やっと凛音に質問がきた。その質問は凛音の興味ドストライクだった。
「動物!? 可愛い!? 行きます! 行きます! 行かせてください! もふもふパラダイス!!」
「………」
「えっと……はい、こちらこそ宜しくお願い致します」
渋い顔を見せるエティエンヌフューベルだが、上機嫌な凛音の態度を見て行かないと言えず、悶々とする状態を味わっていた。
そんなほんわかな雰囲気をブチ破ってきたのは、王妃であるダリア以外の三人の妃だった。
きっちり腕はハーリア王に巻きついているが、目はエティエンヌフューベル一点を見つめ続けている。
「妖精王、わたくしがご案内いたしますわ」
「いぇ、わたくしよ。ご案内以上の事が起こっても、口が固いの。約束事も大丈夫ですのよ」
「だめよー、わたくしもご案内したいわぁ。ハーリア様は? 誰が妖精王の案内にあってますぅ?」
(案内って感じじゃないな、これはあれだ。セックスのお誘いだ。あぁ、こうやって後輩たちに、彼氏を寝取られたんだった。
やな事、思い出した…やだな…)
ハーリアにぺたりとひっつきながら、エティエンヌフューベルにあからさまな態度をとる側妃に凛音はドン引きだが、さらにハーリアが意味不明な発言をかましてくる。
「うん、お前たちは皆、美しいよ。順番にお相手したらどうかな?
完全体となった妖精王は体力もおありだろうから、お前達みんなを相手しても、まだ精力は尽きないと思う。
妖精王、体調が芳しくない天草様はダリアが見てます。どうぞ我が妃と戯れはいかがでしょうか?」
(おいっっっ!!!)
聞き捨てならない。全くもって遺憾である。凛音が側で聞いていて、何故当たり前にエティエンヌフューベルに性行為を進めるのか?
苛つきを通して、なんだが無性に悲しくなる。異世界だと理解していても、反論してしまいそうになる。
(堪えろ、私! 決めるのはエティエンヌフューベル様だ! 私は黙っているべきだ!!)
いくら凛音がエティエンヌフューベルの唯一と言えども、美女らが股を開いてどうぞというなら、断る必要がエティエンヌフューベルにはないのではないか?
所詮凛音は、ただの人だ。
見たくないが、決して見たくはないが、エティエンヌフューベルの顔が気になり心を強くもって見る。
が、視界がボヤけて見えない。
「あ、れ…」
「凛音」
優しいエティエンヌフューベルの声で、冷静になった凛音は一度瞬きをした。すると瞳に溜まった涙が瞳から溢れ落ち、視界が良好になった。
「あ、れ?」
泣いていた事が恥ずかしくなり、慌てて涙を手のひらで拭いた凛音に、エティエンヌフューベルは殊更甘く優しく説明をしてきた。
「凛音。この世界は、基本、頭も股も軽い種族が多い。妖精族の身持ちの固さはあまり理解して貰えない。
覚えていて欲しい。
まず、魂の伴侶を得た妖精族は魂の伴侶以外と性行為はしない。
妖精族は女が多いから分かりづらいが、男にいたっては伴侶以外には勃たない。
例に漏れず、私の身体も凛音以外には勃たない。凛音に直接触れていたり、凛音の匂いを嗅いでいながらなら、勃つが。
すでに私は凛音との〝生〟を知っているからか、想像であっても基本、勃たない。
凛音と物理的に離れて、このやかましい女達と裸で抱き合っても。そうだな、天地がひっくり返っても性行為は出来ないし、したくない」
声は穏やかそのものだが、またも熱風が周りを支配しており、エティエンヌフューベルはハーリアと側妃三人に殺気をとばし、怒りを隠さずの状態だ。
ここは凛音の出番。かなり猛烈にエティエンヌフューベルが激怒していると理解した。
「あ、はい、分かりました! 分かりました!! エティエンヌフューベル様、熱風が出てます。熱風が出てますよ!!」
「私は、残念だ。凛音には嫌と言うほど愛を示してきたつもりだったのだが、何故伝わっていないのか?」
「つ、伝わってます…よ?」
エティエンヌフューベルの身体から吹き上がる紫炎は、すでに周りを燃やし始めている。
抱き上げられ腕の中に鎮座している凛音には全く熱さは分からないが、エティエンヌフューベルと凛音の周りだけ草木が燃えているのが、事実とし、映像で瞳に入るのだ。
凛音は、焦る焦る。
「全く伝わってない。私が凛音をダリアに任し、あの女達とヤルなどと思ったから、泣いたのではないか?向こうの世界で、そうして凛音は恋人達を譲ってきたからな。また譲るのか?」
(何故、知っている? 譲ったんじゃないけど。そうじゃない。けど? 泣いてすがったりはしなかった。では、それは譲った事になる?)
昔を思い出していて、凛音は返答が遅れた。これにエティエンヌフューベルは、肯定したととった。
先程とは違うさらに濃い色の紫炎が、ブワッとエティエンヌフューベルから吹き上がる。
「ヒッィ!!!」
すでにハーリア、ダリア、側妃三人は恐れを感じ、離れていたから紫炎に当たってないが、エティエンヌフューベルの半径5メートルまでの全てのモノ(椅子、テーブル)芝生、花壇が燃えず、溶けている。
「面倒な私を捨て、遊びたいか? 私との縁を切って好きだという狼獣人を探しに行くか?」
「違う、違います!」
(狼獣人って、エティエンヌフューベル様が女性だと思っていた時に言ったこと、まだ根にもってるぅー)
「何が違う? 沈黙は肯定のしるしだ」
(いや、ま、黙ったけどさ、それは違うことに驚いてで、もうー!!!エティエンヌフューベル様のトンチンカン!!)
「黙ったのは、エティエンヌフューベル様が、何故私の過去の男関係をご存知なんでしょうか!?」
「夢で見ていたからだ。
私の理想を具現化して勝手に見ているのだと思っていたが、あれが向こうの世界で起こっていた現実だと。凛音と出会い確信している。以前に、そう話したが?」
顔は穏やか…そうに笑っているが、紫炎がエティエンヌフューベルの身体から噴き上がっているので、嫉妬からの怒りだと知る。
火に油を注いだ自分を責めながら、エティエンヌフューベルに甘える行為をしようと心に決める。
恥ずかしさを吹き飛ばし、それっぽく見えるように頑張ってシナも作ってみせた。
「…そう。でした、そうでした、ね、もぅー怒らないでください」
凛音はそう言ってエティエンヌフューベルの首あたりに腕を回し、ピタリと密着した。
ふんす、ふんす、と何やら愛おしく嗅いでくる。生物の限界をいく美貌の男性に、首元を嗅がれている羞恥からも凛音は歯を食いしばって耐える。
「……エティエンヌフューベル様?」
エティエンヌフューベルの腕の中で、モゾモゾを動けば、脚に硬い何が当たる。
「…ンぁッ…」
「………えっ?」
場違いなエティエンヌフューベルの甘い鼻に抜ける声に、凛音の心臓が飛び出しそうになる。
(まって、今、脚に当たったのって!?はぁぁぁぁぁぁ!?)
脚に当たった〝何〟が。
エティエンヌフューベルの立派なイチモツだと理解し、驚愕から密着していた身体をエティエンヌフューベルから一気に凛音は離した。
密着をとけば、自ずと凛音の瞳にはエティエンヌフューベルの顔が入ってくる。
目の前にあるのは、恐ろしいまでの色気を吹き出しながら発情した、エティエンヌフューベルの陶酔した顔面だった。
「わぁ…これはっ」
「……凛音、慰めてくれないか?」
(これは反則だ)
何事もない風を装いながらも、だいぶ驚いているダリアだが、そこはこの国の王妃だ。機転をきかし、休憩室なるものへ案内を始めた。
「妖精王、ひとまず部屋にご案内致します」
「あぁ、頼もう」
凛音はいたたまれない感情に支配されながらも、文句一つ言えずエティエンヌフューベルに運ばれていく。
(エロい脳なのに、全くカッコいい事なんて言ってないのに、エティエンヌフューベル様が素敵に見える…。
膿んでるな、私の頭…。あぁやばい、このまま流されたら、確実に快楽地獄だよ~~~)
今から始まる…だろう、エティエンヌフューベルとの性行為に、複雑な思いを感じながらも凛音は身体の力を抜いて、エティエンヌフューベルに身を任せた。
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