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6、男になるのは困難の嵐
しおりを挟む「何故。何故、何故なの!! 早く男になりたいのに!!」
太陽の光がようやく届くような朝の時分。
エティエンヌフューベルは、王らしい豪華な室内のベッドの上で、大量の書類を手に持つ部下を丸無視し、嘆いていた。
「……異国人と私達の常識の違いを今まさに感じてます。はい。
天草 凛音様には全ての行動と言動に、大概驚かされておりますよ」
イヨカは溜め息を吐きながら、エティエンヌフューベルの辛さが分かり、どうしたものか…と日々頭を悩ましていた。
世界各国から王が集まる会議よりも、妖精族からすれば王であるエティエンヌフューベルの置かれた状況に心を割いていた。
ベッドと同じ意匠を施したサイドテーブルには、七色に輝くグラスがあり。
その中には乳白色の精液酒キャラメルマキアートが並々と注がれている。エティエンヌフューベルはそれを見ながら、悲しそうに呟く。
「…凛音から、蜜液をどうやって貰ったらいいの…」
「我々とは勝手が違いますからね。いっそ全てお話になればいいのではないでしょうか?」
話せば早い。そうだろうが、イヨカほどエティエンヌフューベルは軽くは考えられない。
「全てとは? まさか私が両生具有で、凛音が一度拒否した精液酒キャラメルマキアートは私が毎度股間のブツを搾って出しているって?
貴女の蜜液を飲んだら同じサイズになれて、性別が男に固定されるって?
そう話せというの?? 今の内容全てにおいて凛音には嫌悪感があるのに? イヨカは私に死ねといいたいのかしら??」
エティエンヌフューベルが話す内容は別段変わりなく〝普通のこと〟凛音は変わっているが優しい人となり『こちらの普通を話して何故嫌悪されるのだ??』
『 まさか!?』 とイヨカは思っている。
だから王の逆鱗にふれた理由がイヨカには理解出来ず、さらにエティエンヌフューベルがいうように、絶対的な王に対して死ねなどと思うはずがない。
妖精族の誰もが、エティエンヌフューベルの為なら命をかけれる。
だからこそ、その言い分は納得いかなかった。
「我らを軽くみないで頂きたい。王の為ならこの身を捧げます。
エティエンヌフューベル様は何を戸惑っていらっしゃるんですか?」
グッ!!と息をつまらしたエティエンヌフューベルは、答えたくないとでも言うように、ベッドからおり。
納得いかない顔をみせるイヨカと、これ以上話したくないのか黙秘を続けながら、その美しい陶器のようにすべやかな裸体に衣服をつけていく。
「エティエンヌフューベル様。私に…女性体の我が妻でも構わないです。何か手伝えることはございませんか?」
大事だろう書類を、こんなもの今はどうでもよいとばかりに、部屋の中央部にある豪華絢爛なテーブルにバサッと置く。
そして膝をつき、エティエンヌフューベルを潤んだ瞳で見上げる。
部下に八つ当たりをしたい訳ではないのだが、凛音と毎日顔を合わせ言葉を交わすたび精神が狂うほど惹かれていくのだ。
筋の通った考え方も、一線引いた物腰も、聞き取りやすくハキハキした言葉使いも、上品な食べ方も、姿勢のよい歩き方も、可愛い物が大好きで小さな事にもすぐ感動する感受性豊かなところも、差別しない広い心も、何よりも精液酒キャラメルマキアートを本当に美味しそうに飲むのも。
どれも愛しくて愛しくて堪らない。
強制的にこちらの世界に落とされ、今までと大きく世界が変わったのにも関わらず、どこまでも前向きで。
向こうに残してきた家族の事も。
『家族と会えなくなって寂しいけど、私の家族は昔から縁があって、前世から何度も生まれ変わっては家族になっているらしいの。だからね、大好きな家族とは……また、来世で会えるから大丈夫!!』
そう涙を溜めて笑う姿は、庇護よくをそそられ力一杯抱きしめたくなった。
凛音との縁はエティエンヌフューベルの方が上だ。きっと凛音の世界で私も生きていて、夫婦だったに違いない。そう確信できる。愛しい想いの中に懐かしい想いも存在していたから。
彼女が幸せであればあるほど、エティエンヌフューベルは幸せを感じられる。
仲良くなればなるほど愛しさは増し、一刻も早く凛音と身体を繋げ、夫婦になり新しい家族を増やしたかった。
「……凛音とはね、たくさん話をしているの…とても…仲良くなったのよ。彼女は私の事を〝女〟と思っているから…色々話をしてくれる……。
好きな男性の好みはね。もふもふは外せなくて、プラス狼獣人みたいな屈強な戦士タイプを好きだと言ってたわ……私に…いつかは紹介して欲しいと………。
…私によ?……運命の相手である私の目の前で、頬を染めながら……。
もうショック過ぎて、あの時、過呼吸になったわ」
「……………」
知らないとは恐ろしい。運命の相手に違う男を紹介しろとよく言えたものだ。
あれだけ毎日毎日、朝と夜(昼は流石にエティエンヌフューベルが倒れるから無しになった)精液酒キャラメルマキアートを飲んで、なんと厚かましい。
神への冒涜に等しい行為だ。
「彼女の世界には両生具有の生き物は存在しないし。
凛音曰く、口淫や精液を飲ませるのは自分ばかり気持ちよくなりたい最低な男というし。
微笑み合って、手を繋ぐくらいで幸せな凛音に、性行為ばかり強要する男は腹の底から嫌いで、全員去勢したらいいとまで……言ってたわ。
凛音を遊びで抱いて捨てた ふざけた男らは、消し炭にしてやりたい」
突如エティエンヌフューベルの怒りがブワッと身体を包み、室内の温度が急上昇する。
しかしそれも一瞬で、フシューと小さくなっていく。
「………確かに私は凛音の運命の人よ。
でも私だって今は、性器を繋げる事しか考えていない。凛音を愛する資格がないと突きつけられたようだったわ…」
そんなことはない……と言えないのが、妖精族の常識を普通だと思ってしまっているイヨカだ。
他の種族は繁殖期があるのに、妖精族にはそれがない。その大きな理由は、妖精族は子が非常に出来にくいからだ。
身体を繋げる理由の最たるものは、愛を確かめ合うより子供を作る為。
妖精族は息を吸うように性行為をする。多少わきまえてはいるが、基本場所は関係なく、気分がのればどこでも身体を繋げている。
妖精族がゆったりとした服装を好むのも、身体のラインを分からなくする為と、裸にならず陰部だけを繋げやすくする為、それが理由。
毎日がガッツリ繁殖期である妖精族は、他種族と比べて異常に性行為が多い。
しかし忘れてはならない、妖精族の性行為相手は生涯ただ一人なのだ。誰にでも腰を振る訳ではないし、股を開く訳ではない。
「エティエンヌフューベル様……」
弱々しいイヨカの声に、気をとりなおしたエティエンヌフューベルはしっとり微笑む。
「ふふっ、気長に待つわ。気がおかしくなったら、襲ってるかもしれないけどね」
「それは冗談ではなく本気ですよね」という言葉をイヨカはかろうじて飲み込んだ。
あの真っ直ぐすぎる天草凛音だ、エティエンヌフューベルが無理矢理組み敷いた瞬間、きっと関係は決別。修復はないだろう。
気が狂った王の最後は死。
凛音を殺して、自分の時も止める。
もっとも恐ろしい未来だけは回避したいと、イヨカは改めて心に刻みつけた。
***
王宮には食堂のような場所がある。城に勤める者が自由に食事を出来るのだ。
凛音も一応王宮での仕事を受け持っていた。
まさか未来の王妃を小間使いにも出来ず、しかし凛音が食い下がった為に、エティエンヌフューベルの自室の掃除というので落ち着いたのだ。
掃除担当のベテランに付いて教えを受けるが、あまりガッツリとはさせてもらえず(当たり前だ、怪我でもされたら一大事だ)。
いつも途中から乱入してきたエティエンヌフューベル様と楽しいお話しになり、菓子など貰い仕事は終了となる。
真面目な凛音はひどく悶々としていた。
異世界の人間は珍しいのと保護の対象らしいので、王宮預かりになるのは分かる。
分かるが、甘やかされも行き過ぎると不安になると気づいてほしい。
只人である凛音が、妖精族の女王であるエティエンヌフューベル様と同じ席につくのはおかしい!! 絶対一緒に食事はしないし、テーブルにつかない!! と断固拒否し、皆を泣かせた凛音。
皆々様が泣く意味が分からない。
そんな頑固な凛音も、城で働く皆々様には積極的に話しかけ、同じ席につくので皆を大いに悩ませていた。
「ふぁぁ~、寝ても寝ても眠い…」
凛音は自分にあてがわれた部屋から食堂まで、何度も欠伸をしながら歩いていた。
「はぁ……私って、朝は強い筈なのに、なかなか起きれない。眠いしな…。
…まぁ仕方ないか、住む場所が変わったら普通は慣れるまで大変だというしね…。
あっちの世界でも、大阪と横浜にしか住んだことないし。まるっきり世界が違うんだから、疲れるに決まってるかな。
ふぁぁぁ~」
時差的な何かと軽く考えながら、見えた食堂にお腹がキューと反応を返してくる。
「そういえば、キャラメルマキアート……って名前じゃないみたいだけど(笑)他の呼び方はあるらしいけど、エティエンヌフューベル様は『好きに呼んで』と言って教えてくれなかったし。
あれ飲んだら元気になるんだよね? 慈養強壮剤とか? 貴重なわりに、朝と夜に絶対くれるし。珍しい牛さんに感謝ね」
凛音のトンチンカンな思考は、エティエンヌフューベルには嘆く材料でしかなかった。
食堂は一言でいうと、広い。
これほど広い部屋なんぞ、日本ではお目にかかったことがない。
大型百貨店勤務の経験がある凛音は、広い食堂は慣れたものだが、これはない。はじめて来た時は端が見えないのに若干恐怖を抱いた。
妖精族だから皆が小さくあざといのかと思ったが、それは違い、凛音(地球人)と同じくらいの身長の者も妖精族には沢山いたのだ。
小さくても目がチカチカする美貌だが、凛音と同じサイズになると確かに直視出来ないほどで。優美な腰のくびれ、ゆったりとした衣服にも関わらずバーンと張り出た胸と腰、一言でいうと目の毒だ。
女である凛音でも、思わず見てしまう胸の谷間。触ったらさぞかし柔らかいだろうと考え、変態思考を脳から追い出したのは一度や二度ではない。
妖精族は他種族と結婚しているものも多く、7~8人に1人くらいは妖精族ではないのだ。
長い尻尾をゆらゆらさせ、優雅に二足歩行する猫がいて、二度見どころかガン見した。
奥様は妖精族らしく、猫の顔で表情は分からないがトロントロンになっているのは凛音でも判別できた。
妖精族は小さかったり大きかったりと様々なんだと、この世界の常識は凛音にとっては、どこまでも非常識だった。
そんな感じで小さい者と大きな者も同じテーブルにつき食事をしていた。
基本は凛音サイズを基準に合わせているみたいで、小さい妖精さんは不便だろうなぁ~と思う毎日。
凛音からすれば、食堂は動物園みたいだ。もふもふ獣人もなかなか多く、目の保養。
しかし!! 一つ、物凄く究極に残念に思うことがある。
そう!!! 長身の妖精族男性がいない。絶対に凛音の好みだろう見た目……に違いないのに!!なのに見かけない!! 一度もっ!!
「何故!?」
妖精族の男性なんぞほぼいない上、いてもエティエンヌフューベルの側近のイヨカのように小さく女にしか見えない男性のみ。
イヨカも、バーンと張り出た胸がないのでかろうじて『男?』と思うだけで、ゆったりした衣服では股間も分からないので日々男かどうかと、まだ疑問に思っているほどだ。
尻まである髪を優雅にたらし、キラッキラのリボンを髪に一緒に編み込み、生花をさして飾っている。なんとこれがイヨカ達男性妖精の常識。
花をたくさん髪に付けて、それを褒めあっている姿を見て、到底男とは思えなかった。
色彩が淡い色の妖精族は、凛音の好み。
毎日、目を皿のようにして妖精族の男性を食堂で探す凛音は、切羽詰まっているように見え皆が目を合わせない。
その究極に残念なことは置いておき。王宮の食事は一級品、匂いだけて涎が垂れる一歩手前。
凛音は話せるが文字は読めないので、毎朝の朝食は全て勘。並ぶ列を変えると必然的に朝食のメニューも変わる。
驚け、列は三十あるのだ!! 凛音は端から制覇する気満々で、毎日が楽しみで仕方なかった。
朝食を受け取る為に昨日と違う列に並び、華やかな妖精族や獣人達をうっとり観察した。
「天草様、おはようございます。こちらの列は若鳥の香草スープに固めに焼き上げたパンです。固めのパンはスープに浸して食べるのがオススメですわ、食べれますか?」
少し年配の妖精族の女性。顔には皺が刻まれ長く生きた証が見て取れる。
配膳係の妖精族は皆が年を取り優しさ溢れる姿であるが、さぞかし昔は強烈な美貌だったと伺える。
「はい!! 美味しそうです。よろしくお願い致します」
丁寧にかつ素早く盛り付けられたプレートを凛音に渡し、いつもの〝あれ〟もきっちり約束してくれる。
「天草様、いつもの…キャラメルマキート? でしたか?お席に直接お持ち致しますので、三の扉近くに座って頂けますか?」
「名前、違いますよ。くすくすっ、キャラメルマキアートです。えっと、今日も頂けるんですか??」
「えっ…まぁ。その、えぇ。…はい……」
歯切れの悪い返事だ。
確かに毎日飲みたいし、飲むだけで元気になれるから頂けるのなら凛音も有り難く頂戴するが、貴重なのに凛音だけがバカスカ飲むのを躊躇わせる。
それに輪をかけて、こうも詰まった台詞を日々違う妖精族の人から何度も聞くと、申し訳無さが溢れて気持ちが沈む。
「あの、確かにキャラメルマキアートは美味しいですし、毎日飲みたいですが、皆様のお手を煩わせるようならいりません。
そうだ、今日は貴女が飲んでください。私は毎日いりませんから!!」
いい提案をした!! 気でいる凛音だが、キャラメルマキアートの正体を理解している皆々様は凍りついた。
むやむやした台詞を吐いた配膳係の女性の手からは、トングらしきものが音を立てて落ちる。
「ヒィッ!!! お、恐ろしいことをっ。あの至上のお飲物は天草様だけのものです。我々になんて!! 冗談が過ぎますわ!!」
配膳係の女性のおっとり雰囲気が霧散し、責めるような圧がグイグイきて、それに驚き凛音は数歩後ずさる。
「そ、そうですか。美味しく頂きますから…はい。いつもありがとうございます」
礼を言いながその場を離れ、言われた通りの三の扉へ歩く。
美味しそうな香草スープや焼きたてパンの匂いが鼻腔をくすぐるも、妖精族に迷い込んだ凛音の未来は死か?? と再度考えさせられる。
やはりあれは毒薬か? あんな美味しいから中毒性のある麻薬か?
こちらの世界に来て三カ月くらい飲み続けているけど、いたって普通……むしろ健康だ…。
空いているテーブルを探し、こぼさないように一先ず置く。
椅子に腰掛けて、麻薬説が有力のように思う。
凛音の周りには誰もいない。三の扉と指定されたものだから、真面目な凛音は言われた通りの行動をとる。
本当は一の扉近くが一番沢山の人がいて楽しそうなのだが、凛音は強制的に三の扉近くのテーブル。
「はぁ…殺す人(凛音)への交流は禁止されてるのかな。確かに情が移ったら困るしね。別に、助けなんて求めないのに。
ここで終わるなら、仕方ない。来世があるさ」
いつもならちょっと(?)厚かましく周りの人に声をかけるのだが、異世界人凛音に関わるなとされているだろう王宮人に迷惑はかけたくなく、1人寂しくイタダキマスをする。
さて、スープを飲もうかとした瞬間。
花を撒き散らしながら(実際花を撒き散らしてはいない。凛音にはそう見えただけだ)、エティエンヌフューベルが三の扉から例のブツを手に持って、飛んで(これは本当)きた。
「凛音!! おはようございます」
朝からあざとさ半端ない。
「お、おはようございます。エティエンヌフューベル様」
本当に何がそんなに楽しいのか? 疑問を持つほどエティエンヌフューベルは凛音と話せるのが、幸せで楽しいみたいだ。
不憫ですね。性同一性障害なんて、エティエンヌフューベル様なら選び放題だろうに。
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