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7、凛音の気づき
しおりを挟む残念でならないエティエンヌフューベルに、溜め息を押し殺しながら、最高に美味しい麻薬…凛音にはキャラメルマキアートにしか思えない飲み物を有り難く受け取った。
「毎日ありがとうございます。今日はテーブルまで指定されたので、いよいよお払い箱(妖精国から出れる!!?)かと思いましが、なるほど。
お忙しいはずの(女王でしょう!? 貴女は暇か!?)エティエンヌフューベル様が、異世界人の私なんかの為に(エティエンヌフューベル様とは関わりたくない)直々に持って来てくださるとは思いもしなかったです」
たっぷりの嫌味を含めて、貼り付けた笑顔で話した凛音。
「…凛音!? ち、違うわ…あのね…」
エティエンヌフューベルはさも当然のように凛音の隣に腰掛け…れないので(身長が30センチほどだから)、椅子に立ったまま、でっかい胸をテーブルに置き、もたれかかっている姿。
もうあざとさが憎たらしく、はい、はい、呑み屋であざとい女子が使う技ね。世界が変わっても見ることになろうとは…。
あぁ!! 腹立つ!!
あざとい姿を視界に入れ、すんでのところで舌打ちを堪えた。
「なんでしょうか? 女王様」
分かって名前を呼ばない。エティエンヌフューベル様と呼べば彼女が喜ぶのを分かっていて、誰が呼ぶかと一人突っ込む。
目線も合わせないで、エティエンヌフューベルから直々に手渡しされた、豪華なグラスになみなみと注がれた精液酒キャラメルマキアートに口をつける。
やはりキャラメルマキアートは、美味しい。
「お、お払い箱だなんて。凛音は毎日よく働いてくれてるわ!!
仕事終わりに凛音が掃除してくれた私の自室に戻ると、室内が凛音の匂いで満たされて、とても幸せになるのよ」
無視に徹して食事を摂るが、内心は罵詈雑言に嵐だ。
(はぁ!き、キモい。匂いって、何!? キモッ )
思わず汚い言葉が脳内を飛び交う。口に出さなかっただけで、良し。
もちろん人(妖精)…この場合は異種族だが、好かれるのは嬉しい…はず?…。
異種族の中でも魔力も、 生命力 も、他の追随を許さない美貌も、他種族から抜きん出ている妖精族はこの惑星の生態系の頂点に位置されると、この1ヶ月で習った。
その妖精族女王であるエティエンヌフューベルに気に入られて凛音は間違いなく運がいいし、幸福だろう。
だが、違う!! こんな百合的な展開は全く望んでいないっ!!
凛音は男性の肉体や骨格が大好物だからだ。
美術大学出身の凛音はどうしても肉体の理想が高い。
それを探せそうな世界に来て、理想の男性がウヨウヨいそうなこの世界に来て、なんで女性とイチャコラしないといけないのか!? 全くもって不服だった。
あちらの世界では日本に住んでいた凛音にとって強い憧れがあるヨーロッパ。
そこにある名だたる美術館に納められた麗しく隆々とした筋肉を持つ、男性の裸体彫刻こそが肉体美の最高傑作と思っている。
長い手足に、盛り上がる胸筋に背筋、引き締まった腹筋に尻、筋が浮き出る太い首、しかし顔は小さく顎はシャープ、鼻筋は通り切れ長の瞳に長い睫毛、絶妙な加減の薄い唇。
そして強さの中にありながらも、思わず手を添えたくなるような、ふわっとカールしたフサフサな髪。
そんな大好物な彫像は大理石が多い。
大理石の彫像は大体が乳白色で、あぁ…彼らに色があればきっとこんな色をしているのでは…と、美術館を巡り妄想した懐かしい日々。
学校の授業中でさえ、デッサン用に並べられた〝本物の彼ら〟をそっくりに模った石膏を「ウヘウヘ」舐め回すように見ながら、あらぬ妄想し素描していた学生時代。
そう凛音は、女の自分とは全く違う身体が好きなのだ。
抱きしめてもらいたいの!! 筋肉質な高い体温の身体にへばりつきたい! でも、顔はエティエンヌフューベル様ばりの美形がいい…。
(ご兄弟いらっしゃるのかしら? 妖精族は子供が出来にくいらしいから、一人っ子…だろうな……あぁ、残念、残念…)
間違っても、自慢の胸をたぷたぷさせながら、うるうるした瞳で、勝負とばかりに上目遣いを凛音に見せられても、ことの外どうでもいい。
(……行き過ぎた友情、どんと来いといったけど。いつ性的な行動に移されるか気が気じゃないわ。あぁ、めんどくさいよ。あぁ、試練だよ~)
朝からエティエンヌフューベル様を見ると、胃がムカムカ脳はグラグラで、折角の爽やかな朝食が不味くなる。
そしてこの後さらに、不味くなった。
「ねぇ、あのね。挨拶の時……地球では、キスするのよね? 私もそんな挨拶を凛音としたいんだけど。駄目かしら?」
(キタァーーーー!! 性的誘いっ!!嫌だよー!)
身体が凍りついた。誤魔化そうか? おちゃらける? いやダメダメ。先延ばしにしても何の解決にもならん!!
「……私……は…、」
凛音サイドはエティエンヌフューベルからの、性的触れ合いの願いに嫌悪感を隠しきれず、本当に嫌なのだろう、どう断るかを必死に思案している。
ここまで嫌を出されると、如何に凛音の運命の相手であるエティエンヌフューベルも、挫けそうになって当然といえよう。
彼女からの返答を待つエティエンヌフューベルは、肉体面も精神面も、色々いっぱいいっぱいだった。
凛音は女性が嫌い、とくにエティエンヌフューベルみたいな男を虜にするタイプは嫌い。そんなつもりではないのに、話す度に嫌われていく…。
(……どうしたらいいのよ。虜にしているつもりはないし、何がそんなに嫌なのかしら?
…もう股間を見せる? 今は両生具有の身体で小さいが、男になれば絶対に凛音の理想そのものになれる!! はずと。
凛音の理想のタイプが美術彫刻とは驚いたけど、私が男の性になればまんま〝そう〟になるからと)
黙り込む二人の空気感は暗く重い。
「…………私…エティエンヌフューベル様とはそういう付き合いをしたくないです。
挨拶でキスをするのは欧米人で、私の生まれた地域ではキスとかそれ以上も恋人としかしません」
朝食を見つめ、決してエティエンヌフューベルを見ようとせずポツポツと話した凛音。
この両生具有の身体では、彼女に伴侶として、魂の片割れとしては見てもらえない決定打に、エティエンヌフューベルは漏れる溜め息を押し殺す。
否定されるだろうと理解しても、こうも迷いなくハッキリと言葉にされると苦しかった。
それでも……とエティエンヌフューベルは最後の足掻きのように、凛音に想いをぶつける。
「凛音…。私が……もし………〝男〟だったら、キスも…それ以上もしてくれるの?」
今までそらされていた凛音の瞳がこちらをとらえ、エティエンヌフューベルの美貌が愛しき人の瞳に映り込む。
どこか辛そうに でも諦めた訳ではないような、エティエンヌフューベルの表情に、凛音も心を動かされ本心を述べる。
「……はい。もし、…もし、エティエンヌフューベル様が男性だったら、きっと私は恋に落ちます。小さくても」
最初は真面目に、台詞の最後の「……小さくても」は苦笑で返す。
エティエンヌフューベル様が男性だったら。そんな妄想の中でも『好き』と言うのは、三十路を越えた凛音には大変な労力を使い、誤魔化さなければ恥ずかしくて爆死する程だった。
凛音の本心ではエティエンヌフューベル様の顔は大変好みだ。
高貴な色の紫を纏い、その紫の色彩はまるでグラデーションのようにエティエンヌフューベルを表現しており、陶器のようにすべやかな肌と相まって妖精らしい神秘的な容姿を作っている。
まるで……凛音の想像の中だけに存在する〝男〟の逆、そう女性だった。
エティエンヌフューベルに凛音さえも気づかなかった隠れた想いを言わされて、複雑な感情が胸にストンと落ちる。
(なるほど。好きと言われ腹が立つのも、意味も分からず嫌悪するのも……。
…エティエンヌフューベル様が男性でなかったから。どうにもならなくて、でも恋に落ちてた気持ちの行き場がなくて、誰も何も悪くないから余計悔しいんだわ。
あはっ、私はなんて自分勝手かしら…。
異世界に来たのはきっと運命の人に呼ばれたからで、初めて出会ったエティエンヌフューベル様と……本当は恋に落ちたかったんだ。
なのにエティエンヌフューベル様は女性だし!! あざといし!! もうエティエンヌフューベル様の馬鹿!!)
「私は〝男〟よ」
「……エティエンヌフューベル様の……馬鹿…」
性同一性障害でしょと口から出てしまいそうなのを飲み込み朝食を再開。涙が流れないよう身体に力を入れなければ、無様に涙を見せそうだった。
性同一性障害に対して悔しいと思ったのは凛音にとって初めの体験だった。
テレビや芸能人、友人の中にも性同一性障害の人はいた。そんな人に対して、凛音は全く差別的な思いを抱いた事はない。
むしろそっか…とだけしか思わなかった。
だからこそ、今の状況は辛すぎた。
エティエンヌフューベルが凛音を好きだと、愛してるのだと、真摯に言われる度。
『どうして男性の身体じゃないの!? 女の身体じゃ子供の種(精子)がない!! 子供がつくれない!! 貴方と私だけの子供をもてないじゃない!?』
そう怒鳴ってしまいたくなる。三十五歳にもなって、凛音は未だ愛している人の子供が欲しいと思っていた。
だから昔から彼氏が〝したい〟といえば、どんなに疲れていても、生理以外であったら簡単に身体を開いた。
いつかは結婚しようと皆が言ってくれたから……。一度も選ばれず、キュルンと可愛い女性に奪われてばかりだったが。
「凛音……。愛しているわ」
「…………………………っ……」
味も何もかも分からない、分かるはずない。でも口に食材を運ぶ行為をやめれなかった。
生産性のない付き合いをエティエンヌフューベル様とするつもりはない。
でも、でも、でも、貴方の、エティエンヌフューベル様との子供が欲しかった。
そう口にしない為にも、凛音は食材で口をいっぱいにする事で自らの言葉を封じた。
***
157の国で構成されているこの世界の王が集まる大切な時期。
前の会議より王の代替わりが多くあった、であれば馬鹿な事をいう血気盛んな年頃の王も増えた。
基本寿命が三百歳を超える妖精族の十年は、本当に瞬きするくらいの年数。生命力は人それぞれ違うが、現在の妖精族の王エティエンヌフューベルは過去最高と言わせるほどの魔力が生まれた時から備わっていた。
まだ幼いエティエンヌフューベルを、前王であるガリガンは後継者とした。エティエンヌフューベルの両親とも、異種の交配などの突起したモノがあるわけでなく、普通の妖精同士の夫婦の間に生まれたのだ。
腹の中にいた時からすでに魔力は凄く、エティエンヌフューベルの母親は凄まじい能力を妊娠中自由に使え体験していたので、出産したと同時に素晴らしい魔力がなくなり、しばらく落ち込んでいたほどだった。
王の集まりを数日後に控えたこの日、エティエンヌフューベルは凛音との仲が以前より冷めていくのを肌で感じていた。
ここ数日は張り付けたような笑顔さえ見てない。
「エティエンヌフューベル様、熱風が。熱いのですが…」
側近のイヨカが申し訳なさそうに申し出る。実はしばらく我慢したのだろう、エティエンヌフューベルの周りにいるイヨカを含めた側近が見事に汗ダクだった。
「………えぇ、………」
熱風地獄はやんでいるが、エティエンヌフューベルから醸し出される暗く重い空気は晴れる事はない。
「エティエンヌフューベル様、あまり思いつめられると大事な御身体への負担にもなります……。
どれだけの人と会おうと、天草様の運命の人はエティエンヌフューベル様で間違いございません。あれだけ毎日あつかま……ではなく、その美味しそうに精液酒を飲めているのです。
間違いなく天草様にとって唯一のお相手がエティエンヌフューベル様です」
イヨカの真摯な言葉に笑みを返しながら、明るい陽の光を室内に招き入れるバルコニーに繋がるガラス扉を見つめた。
眩しい光はエティエンヌフューベルをさらに美しく魅せる。陶器のような白皙の肌は、儚げなようで炎で焼いても傷一つ つかない程の強い皮膚をしていた。
この世で燃やせないものがない魔力入りの紫炎をその身に宿すエティエンヌフューベルは、誰よりも頑丈な肉体をしている。
「分かっているわ……。もう…限界……以前は、嫌そうにしながらも、あちらの世界の話を楽しそうに沢山話してくれていたのよ。
でも……最近は、私を見ると…泣くのよ。
涙を見せないようにしているのだろうけど、瞳から涙が溢れ落ちてないだけで…瞳はたっぷり涙の膜が張ってるのよね…。
…もう…そんな凛音を見てられなくて…。
いっそこの心臓が止まれば、凛音を苦しめなくてすむのかしら……と、最近思うの」
ヒッっっっっっ!!!!
エティエンヌフューベルの恐ろしい提案に皆が一斉に縮み上がる。
「エティエンヌフューベル様っ!!!」
「王!!!」
「なんという恐ろしい事をっ!!!」
皆がエティエンヌフューベルを責めるように発言する中、イヨカだけは落ち着いており、真っ直ぐにその金色に輝く瞳をこちらに向けていた。
「エティエンヌフューベル様、それは運命の相手である天草様への裏切りですよ。
貴方様がこちらの生態系を天草様に教えない、と仰ったからこそ皆が一様に黙り、したがっております。
知らなければ天草様も傷つきは致しません。しかしエティエンヌフューベル様亡き後、皆が沈黙を貫きますか? 彼女が全てを知ってしまう確率はかなり百に近い。我々妖精族は一族を大切にする生き物です。
歴代最高の王であるエティエンヌフューベル様を失った焦燥感が、刃となり天草様に向くとは思われないのですか?
天草様に…
『何故、王の精液酒をあれほど飲まれていて、貴方様の蜜液を渡さなかったのですか!? あの素晴らしい王の何が不服か!? 我らの王を、エティエンヌフューベル様を返してください!!』
そう皆が言うでしょう。
異世界から身一つで落ちてきた天草様が、この世界で生きていけますか?
エティエンヌフューベル様が亡くなっても、貴方様の強い想いは天草様自身に勝手に契約した魔法を解除せず、そのまま彼女の身体に呪いのように残るでしょう。
エティエンヌフューベル様が施した契約にのっとり、妖精族特有の長い時を一人で生きていく事になります。
愛する人を苦しめる、その覚悟をもってエティエンヌフューベル様は「死ぬ」と、おっしゃるのでしょうか?」
確信をつくイヨカの言葉は室内に響き渡り、エティエンヌフューベルの心にも、痛さを伴い 深い場所に突き刺ささった。
「……そこまで、考えてなかったわ……。残酷な生を強いる事になるわね…」
「エティエンヌフューベル様、天草様には薬でも魔法でも何を使ってでも、もちろん無理矢理でも構いません、蜜液をその御身に入れてください。
天草様は少々…いえ、だいぶ頭が硬い。向こうの世界では人を束ね、人の上に立ち指示を出す立場にあったようです。
人を使うという立場では、エティエンヌフューベル様より上手いです。
すでに天草様に側近として就きたいという女性もいます。こちらとしても早く政務に携わって頂きたい」
遠回しに『いい加減にしろ』という事だ。これでもまだ返答をしないエティエンヌフューベルに、驚くしかできない。
溜め息を隠さず フゥーーーと口から吐き出し、イヨカは満面の笑みをうかべる。
「エティエンヌフューベル様ほどの御仁を、小さく弱い存在に変えてしまう天草様は恐ろしい方です。
大丈夫です。
男の性となったエティエンヌフューベル様は、天草様の理想そのものです。泣いて…いえ、発狂して喜ぶことでしょう」
イヨカの感想に瞳が見開く。
「……発狂って。……すごい…いいようね…」
「私も天草様の理想を嫌というほど聞いております。ですから間違いなく発狂するでしょう。
理想のタイプを話す際、何度も『いるわけないけど』と言われております。
針に糸を通すほど、究極に狭いタイプをお好きな天草様が、男の性となったエティエンヌフューベル様を拝見し、驚愕する姿を楽しみに。
無事結ばれる日を心よりお待ちしております」
「…そうね………頑張ってみようかしら…」
鈴を転がしたような可憐で美しい旋律を奏でるエティエンヌフューベルの声が、部屋を清白に変えていく。
このエティエンヌフューベルの決断が、二人の関係をあるべき姿に変えていくのだ。
快楽地獄はすぐそこまで凛音に近づいていた。
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