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第3話(上)作戦会議
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「殺してやる」
「やめて、みんなが見てるわ……」
やっと口の中の激物が消えた俺はレンカの首根っこを掴んでやろうとして、レンカに手を掴まれていた。
こいつ……なんでこんなに力強いんだ?
「ていうか、なんだよさっきの!なんであんなもん飲ませたんだ!」
「アレは魔力回復薬よ。魔術由来じゃない画期的な発明なんだから。薬学由来だと魔術由来に比べてどうしても味が落ちちゃうのよ」
「なら魔術由来のやつをくれよ!」
「いや、そんなもんあるわけないでしょ。魔力使って魔力が回復出来るわけないじゃない」
「え、そうなのか?」
「そうよ、何故だか知らないけど魔力の回復が出来る魔術は存在しないのよ。だからみんな我慢してマズイ薬飲んで魔力を回復してるのよ?アンタが魔力足りないみたいだったから私の分をあげたのに……文句言うなんてヒドイじゃない」
そう言うとレンカはそっぽ向いてしまった。
そういうことだったのか……じゃあ悪いのは俺だな。
「そ、そうだったのか、ゴメンなレンカ。俺のためを思ってしてくれたのに」
「……フフッ、わかればいいのよ」
俺はレンカが俺のためを思ってした行動を非難した。俺はヒドイ奴だな……
『さっき、カナデ様が苦しんでたのは魔力回復薬飲んだからだったのか?でも、アレって普通に美味いよな?』
『ほら、アレじゃないか?レンカ様が試作してるっていう新型。効果はスゴイらしいけど味がめちゃくちゃ酷いってヤツ。いつものように試作品を飲まされたんだよ』
「「・・・」」
……ガッ(レンカの胸ぐらに手を伸ばす俺)
……ググッ(俺の手を掴むレンカ)
俺とレンカがしばらく争ってるとカイゼル大佐が到着したとの報告があった。
「カイゼル大佐か……どんな人なんだ?」
「うーん、名は体を表すを形にしたような人よ」
「は?」
すると、ドアが開き軍服を着た男性が入ってきた。
胸には沢山の勲章らしきものが付いている。どうやら彼がカイゼル大佐なる人物らしい。
なんか、凄い威厳を感じる。一体どんな顔をして……
「うぉっほん!皆、よく集まってくれた。さて、まずは現状の整理から始めようか……」
「ブフォッ!!」
思わず吹き出してしまった。カイゼル大佐は立派なカイゼル髭を撫でながら話しだしたのだ。いや、ホントにまんまじゃん!ホントにカイゼル大佐じゃん!
『レンカ……!アレ、ホントにカイゼル髭……』
『うるさい……!みんないっつも耐えてるんだから笑う、プフッ……』
『ホラ……!レンカも笑ってるじゃん……!』
少し周りを見ると何人か笑いを堪えている人がいる。そりゃそうだ。名は体を表すったってあそこまで名前通りだと笑わない方がおかしい。
「あぁ、そうだ!カナデ君、カナデ君はいるかい?」
「え、あ、ハイ」
笑いを堪えながらカイゼル大佐の近くに行く。至近距離で笑いを堪えられるだろうか?
「あぁ、カナデ君。良かった、君が生きていてくれて……ホントに良かった!」
カイゼル大佐は目を濡らしながら俺の手を強く握った。これは素直に嬉しい。
「あ、ありがとうございます……」
「いや、お礼なんかいいよ。むしろこっちがお礼を言いたいぐらいだ。そして……」
そう言うとカイゼル大佐は頭を下げた。
「すまなかった……!私が戦況をもっとよく見ていれば君に怪我なんてさせなくてよかったのに……」
「そ、そんな!やめてください!」
俺は慌ててカイゼル大佐に頭を上げてもらう。
カイゼル大佐の顔をよく見ると赤くなった目の下にはクマが出来ていた。
きっと、すごく心配したんだろうな……
そう思うと今ここにいる俺が本物の俺でないことに凄く罪悪感を感じる。
「大佐、ノートリアスは個人で敵将に特攻を仕掛け、その結果によって怪我を負ったのです。貴方だけの責任ではありません」
「レンカ君……しかし私は……」
「大丈夫です。ノートリアスはもう魔法具を使えるまで回復しています。それに、この辺獄がここまで解放されているのは大佐の指揮のおかげです。大佐は心置きなく私達の指揮を執ってください」
レンカがカイゼル大佐に励ましの言葉を掛けている。
「そうか……わかった。ありがとう、レンカ君、そしてカナデ君」
カイゼル大佐は深く頷くと、部下達に向き直った。
「やめて、みんなが見てるわ……」
やっと口の中の激物が消えた俺はレンカの首根っこを掴んでやろうとして、レンカに手を掴まれていた。
こいつ……なんでこんなに力強いんだ?
「ていうか、なんだよさっきの!なんであんなもん飲ませたんだ!」
「アレは魔力回復薬よ。魔術由来じゃない画期的な発明なんだから。薬学由来だと魔術由来に比べてどうしても味が落ちちゃうのよ」
「なら魔術由来のやつをくれよ!」
「いや、そんなもんあるわけないでしょ。魔力使って魔力が回復出来るわけないじゃない」
「え、そうなのか?」
「そうよ、何故だか知らないけど魔力の回復が出来る魔術は存在しないのよ。だからみんな我慢してマズイ薬飲んで魔力を回復してるのよ?アンタが魔力足りないみたいだったから私の分をあげたのに……文句言うなんてヒドイじゃない」
そう言うとレンカはそっぽ向いてしまった。
そういうことだったのか……じゃあ悪いのは俺だな。
「そ、そうだったのか、ゴメンなレンカ。俺のためを思ってしてくれたのに」
「……フフッ、わかればいいのよ」
俺はレンカが俺のためを思ってした行動を非難した。俺はヒドイ奴だな……
『さっき、カナデ様が苦しんでたのは魔力回復薬飲んだからだったのか?でも、アレって普通に美味いよな?』
『ほら、アレじゃないか?レンカ様が試作してるっていう新型。効果はスゴイらしいけど味がめちゃくちゃ酷いってヤツ。いつものように試作品を飲まされたんだよ』
「「・・・」」
……ガッ(レンカの胸ぐらに手を伸ばす俺)
……ググッ(俺の手を掴むレンカ)
俺とレンカがしばらく争ってるとカイゼル大佐が到着したとの報告があった。
「カイゼル大佐か……どんな人なんだ?」
「うーん、名は体を表すを形にしたような人よ」
「は?」
すると、ドアが開き軍服を着た男性が入ってきた。
胸には沢山の勲章らしきものが付いている。どうやら彼がカイゼル大佐なる人物らしい。
なんか、凄い威厳を感じる。一体どんな顔をして……
「うぉっほん!皆、よく集まってくれた。さて、まずは現状の整理から始めようか……」
「ブフォッ!!」
思わず吹き出してしまった。カイゼル大佐は立派なカイゼル髭を撫でながら話しだしたのだ。いや、ホントにまんまじゃん!ホントにカイゼル大佐じゃん!
『レンカ……!アレ、ホントにカイゼル髭……』
『うるさい……!みんないっつも耐えてるんだから笑う、プフッ……』
『ホラ……!レンカも笑ってるじゃん……!』
少し周りを見ると何人か笑いを堪えている人がいる。そりゃそうだ。名は体を表すったってあそこまで名前通りだと笑わない方がおかしい。
「あぁ、そうだ!カナデ君、カナデ君はいるかい?」
「え、あ、ハイ」
笑いを堪えながらカイゼル大佐の近くに行く。至近距離で笑いを堪えられるだろうか?
「あぁ、カナデ君。良かった、君が生きていてくれて……ホントに良かった!」
カイゼル大佐は目を濡らしながら俺の手を強く握った。これは素直に嬉しい。
「あ、ありがとうございます……」
「いや、お礼なんかいいよ。むしろこっちがお礼を言いたいぐらいだ。そして……」
そう言うとカイゼル大佐は頭を下げた。
「すまなかった……!私が戦況をもっとよく見ていれば君に怪我なんてさせなくてよかったのに……」
「そ、そんな!やめてください!」
俺は慌ててカイゼル大佐に頭を上げてもらう。
カイゼル大佐の顔をよく見ると赤くなった目の下にはクマが出来ていた。
きっと、すごく心配したんだろうな……
そう思うと今ここにいる俺が本物の俺でないことに凄く罪悪感を感じる。
「大佐、ノートリアスは個人で敵将に特攻を仕掛け、その結果によって怪我を負ったのです。貴方だけの責任ではありません」
「レンカ君……しかし私は……」
「大丈夫です。ノートリアスはもう魔法具を使えるまで回復しています。それに、この辺獄がここまで解放されているのは大佐の指揮のおかげです。大佐は心置きなく私達の指揮を執ってください」
レンカがカイゼル大佐に励ましの言葉を掛けている。
「そうか……わかった。ありがとう、レンカ君、そしてカナデ君」
カイゼル大佐は深く頷くと、部下達に向き直った。
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