夜だけの異世界英雄伝説

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第3話(下)作戦会議

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「すごかったな、カイゼル大佐……」
「ええ、そうね……」
 作戦会議が終わり、俺とレンカは移動していた。
「カナデは自分が何すればいいか解った?」
「あぁ!バッチリだ。英雄らしくガッツリ活躍してやるよ!」
 カイゼル大佐の演説の後、作戦会議は滞りなく進んだ。
 カイゼル大佐が提案したのは裏からの奇襲と、正面からの突撃だった。


「まず、我々を正面部隊と奇襲部隊に分ける。正面部隊は敵の本隊と睨み合いをし、その間に奇襲部隊は敵を裏から叩く」
 カイゼル大佐は地図上の敵の砦の後ろ側を指差す。
「この辺りに潜伏し、出来る限り大規模な攻撃を放つ。それが奇襲部隊の仕事だ」
 次にカイゼル大佐は砦の正面の青い凸印を指差す。
「ここに私たちの陣を敷く。ここはなだらかな丘になっているから砦内の動向が監視しやすいのだ。奇襲で敵が慌てふためくタイミングで一気に攻める。それが正面部隊の仕事だ」
 さらに……とカイゼル大佐は続ける。
「敵は我々の中のある人物をかなり警戒している。その人物は敵将をたった1人で追いつめ、討ち取ったのだからな」
 カイゼル大佐は俺を指差して続ける。
「カナデ君、君がこの作戦のカギなのだ」


「とにかく、俺はいつも通り突っ込んで皆んなの道を作ればいいんだろ?」
「まぁ、間違ってはないけど……あんまり調子乗って単騎で進みすぎないようにね?」
「わかってる。同じヘマはしねぇよ」
「コーデリアは第二園の先行部隊の為に温存しておきたいしね……」
「コーデリアって、俺を治療してくれた人だよな?お礼言っとかなくていいのか?」
「アイツ、そういうのすごく嫌うから言わなくてもいいわよ。それよりアンタを担いで来た弟君にでも言ってやったほうがいいんじゃないの?」
「あぁ、コーデリア姉弟には世話になったな……」
 弟の方も見かけたらお礼を言っておこう。


 歩いているうちに何やら活気溢れる空間に出た。
 たくさんの人々が慌ただしく動いては武器のような物や車両を弄っている。
「ここは?」
「総合ドッグよ。ここで装備を点検したり戦闘用車両を整備したりしてるの。私たちも早く自分の装備を換装しましょ」
「お、おう……」
 俺の中で異世界というと、魔法はあっても現実世界に比べて科学技術面では劣っているイメージがあったが、どつやらそれは間違いらしい。
 ここにある機械やら兵器やらはおそらく魔術技術も利用されているのだろうがそれ以上に高度な科学技術のそれによって成り立っているように感じた。


「ここが、更衣室。私は隣で着替えてるから、何か問題があったら呼んで。声は通すから」
「あぁ、わかった」
 更衣室の中は現実のものと特に変わりはなかった。
 ロッカーがたくさん並んでいるところからもこの部屋は1人用ではないことがわかるが中には誰もいなかった。
 女子更衣室とは巨大な一枚の衝立で仕切られておりたしかに声は通しそうだ。
「ハァ……」
 中央に置いてあるベンチに深く腰掛けて深くため息をつく。
 いろんなことがあった。ここに来てどれくらい経っただろうか?2時間か、3時間か。
 結局俺は現実では死んでしまったのだろうか?
 だとすると俺はこれからこの世界で英雄として生きていかないといけないのだろうか?
 もし本当に死んだのだとしたら母さんや父さんは大丈夫だろうか……?それに、
「蓮香、淳也、輝沙羅……」
 不安だ。俺には無理だ。英雄なんて。いくら力があっても……あんな、血にまみれた戦いなんて……
『カナデー?なんか言ったー?』
「ッ……!?」
 衝立の向こうからレンカの声が聞こえる。
 ……そうだよな、いくら違う世界の人間だとしても彼女はレンカだ。
 そしてカイゼル大佐も皆んな、俺に期待してくれてるんだ。この作戦は俺にかかってる……
 俺がしっかりしないと!
「いや!なんでもないんだ!あぁ、そうだ」
 そういえばレンカに聞きたいことがあったんだ。
「なぁ、レンカ。咎人とか第二園ってさっき言ってたけどさ、それって結局のところなんのことなんだ?」
 さっきの会議からずっと気になっていたことだ。
 なんとか知っているふりをして誤魔化していたがこのあたりでレンカに教えてもらった方がいいだろう。
『あぁ、そういえばそれも忘れてるって言ってたわね』
 衝立の向こうからレンカが呻く音が聞こえる。
『結構長くなるけどいい?』
「あぁ、着替えながら思い出す」
『わかったわ……けっこう昔の話なんだけどね、世界は元々、5つに分かれていたの』
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