夜だけの異世界英雄伝説

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第5話(上)砦攻略

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「その後、周辺の町から人が消えたりいろいろあったから、四国合同で地獄を制圧するってことになったの」
「へぇ……なるほどなぁ」
「まぁ……人類の安全のためとか言ってるけど結局は地獄の資源が目当ての侵略戦争よ」
 話を聞いているうちに着替えは終わった。
 そういえば、この世界に来てまだ自分の姿を確認していなかった。
 せっかくだ。装備の確認がてら見てみるか。変な顔じゃないといいんだけどな……


「これが……俺か?」
 異世界の……英雄として鏡の中に立っていた俺は現実の俺と比べてかなり大人びいていた。
 顔は俺であるが見慣れた顔に比べると、かなり精悍な顔つきをしている。
 外装や魔法具への魔力伝導率を高めるという特殊なスーツはかなりキツく、全身のゴツい筋肉を引き立てている。
「すごいな……」
 思わず口から感嘆の声が漏れていた。
 この見た目ならば多少、変なところがあっても歴戦の英雄に見えるだろう。
「ねーえ?着替え終わったー?終わったら外装の換装に行くわよ!」
 おっと……自分の肉体に感動している場合ではなかった。
 今は作戦前なのだ。着替えが終わったならすぐに作戦の再確認をしないと……
 そう、俺は英雄として戦地に赴くのだ。
 少々不謹慎だが、なんだか……
「おう!すぐ行く!」
 ワクワクしてきた!
 

「これが……地獄」
「ホラ!ぼけっとしないで!早く任地に向かうわよ!」
 地獄、というからどんな恐ろしい光景なのだろうかと思っていたが……
「案外普通な感じなんだな」
 穏やかな草原こそ広がってはいないが、植物は点在していて、地面は普通の土。
 普通に現実世界にもありそうな光景だった。
「第一園だしね、ここより深いところはどんな光景があるか、見てみないとわからないわ」
 レンカが肩をすくめながら答える。
「任地にはアレに乗っていくのか?」
 俺は少し離れたところに停車してあるジープの様な車を指差しながら言った。
「とりあえず、砦前の陣まではね。そこからは各自、最適な移動手段」
「なるほどねぇ。ところで陣までどんくらいかかるの?」
「全速力で飛ばしても2時間くらいかかるわ。作戦の開始は今夜だから急がないと!」
「うげぇ……わかった。行くか」
 レンカは運転手に頭を下げつつジープに飛び乗る。
 俺は、右手で担いでいるインクリッターに目を向ける。
「インクリッター、力を貸してくれよ……」
 そう小声で言うと、答えるかのようにインクリッターが鳴った。


『オラァッ!サボんじゃねぇぞ!今カラダを慣らしとかないと本番で死ぬぞ!』
『おーい!こっちにビスと技師回してくれ!タンクのパーツぶっ飛んでる!』
 陣に着くと既に沢山の兵達がせわしなく働いていた。
 遠目には薄っすらと城のような建物が見える。
「お、アレが砦って奴か?」
「そうよ、アレを落とせればこの第一園は人類の統治下に置けるわ」
 ジープが停車し、俺とレンカは飛び降りた。
「お待ちしておりました!パールヴァティ中尉!ノートリアス中尉!」
 ジープから降りると戦闘服姿の男が走り寄ってきた。
 ジープの中で現地で案内してくれる人について聞いていた。彼は確か……
「コーデリア軍曹、任務お疲れ様です」
 そう、コーデリア軍曹だ。
 コーデリア軍曹といえば……
「君が俺を助けてくれたんだって?ありがとう、おかげでこうやってまた戦えるよ!」
 俺がこの世界に来る前に俺を助けてくれた人だ。ずっとお礼が言いたかった。
「いえ!僕なんかが暁の英雄と呼ばれている隊ちょ……ノートリアス中尉の役に立てて光栄です!」
「そうだ……この戦いが終わったら何かお礼するよ」
「そんな!お礼なんて……それに今僕はこうやって軍曹にも昇進できましたし……それに、僕はこの作戦で生き残れないかも……」
 コーデリア軍曹は不安そうに顔を伏せてしまった。
 うーん、どうしたものか……
「平気よ、コーデリア軍曹」
 俺が何を言うべきか悩んでいるとレンカが笑顔で言った。
「あなたは、なんてったってあの軍医と同じ血を引いているんだもの。大丈夫、あなたなら生き残れるわ」
 そういえばコーデリア軍曹の姉は軍医だったな。
「で、でも、僕は姉さんほどの才能はありませんし……魔法具だって」
「魔法具なんて問題じゃないわ!あなたは単身で突っ込んだこのバカを一人で担いで戦地から助け出したんだから!胸を張りなさい!」
「そ、そうですかね……?」
 どうやらコーデリア軍曹は少しずつ元気を取り戻してきたようだ。
「えぇ!だからみんなで生き残ってみんなで美味しいもの食べましょ!カナデの奢りで!」
 あ、やっぱりこうなるのか。
「れ、レンカ……俺が奢るのはあくまでコーデリア軍曹だけ……」
「はい!みんなで美味しい物食べましょう!」
「あぁ!わかったよ!みんなで生き残って俺の奢りで宴やるぞっ!」
 きっと英雄なんだから貯金はそこそこあるだろ。
 コーデリア軍曹に案内されて俺達はそれぞれの部隊が待つ場所に向かった。
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