一生の弟。

くろいひつじ

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*旅立ち*

ーーラムの背中ーー

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家を出てから時間は流れた。


正社員ともなると時間に余裕もなく
家に帰るのも23時を過ぎていたりして
実家に帰ることがだんだん難しくなっていた。

絶えずラムのことは聞いていた。


僕はたまにラムに会える日を楽しみにしていた


ここからは後日聞かされた話

母「ラムはずっと待ってたよ」

ラムは僕がいなくなった部屋で変わらず
過ごしていたそうだ。

ただ、、、


外で男の人の声

自転車の音

バイクの音

僕に関連する音が聞こえると

ゲージを飛び出し玄関に座っていたそうだ


その音が消えると
しょんぼりとしてゲージに戻っていた


散歩をするときも

男の人
自転車
バイク

をずっと見ていた

夜中も小さい声で玄関に向かって
遠吠えをしていたそうだ


母は定期的に
「ラムに会いに来てくれんかな?」

と連絡をしてきていた。



僕が家に帰ると
すぐにお腹を見せるほど喜んでいた
噛んでこないラムが甘噛みをする
尻尾を振っているのかお尻を振っているのか
分からないぐらい

おおきく

振っていた。


僕が家を出る。

玄関で待つ

音がする

玄関で待つ

そんなラムの背中をずっと見てきた母は

この話をしながら泣いていた。


ラムの背中が

どれほど
僕の帰りを期待していたのか

どれほど
悲しかったのか、、、

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