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第四話「蘇る伝説」
第二章「復活の雷王‼ 古代からの目覚め‼」・⑧
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「・・・わ、私は・・・一体・・・?」
瞼を開けると、先程の僕たちと同じ状況になっているのだろう。
あたりが真っ暗な事に気付いたアカネさんは、手探りでヘルメットのライトを点灯させた。
「・・・そうか・・・さっきの地震で・・・っ! テリオ!」
周囲を照らして状況を確認したアカネさんは、倒れたバイクを発見すると、その車体に駆け寄る。
どうやら、脚にも大きな怪我はなさそうだ。
彼女は腰を入れてバイクを起こすと、挿さっていた鍵の・・・ボタン?を押した。
ブルン!とエンジンがかかる音がして、車体各部のライトが眩く光ると──
『申し訳ございません。マスター。自然現象如きに遅れを取りました』
「なぁっ⁉」
ば、バイクが喋った・・・⁉
予期せぬ事態に 思わず声が出たが、アカネさんが気付いた様子はない。
姿が見えないのと同じく、光も音も球体の外には届かないようだ。
「そんなに悔しいなら耐震性を上げておくようサラに頼んでおくんだな。まだ動けるか?」
慣れた様子でバイクと会話を続けるアカネさん。
・・・成程。自動運転だけじゃなくてAIも搭載されてるのか・・・
確かにこんなすごいものなら、口外されるとまずいよね・・・。
『──システムチェック完了。先程は緊急事態につき、データ保護のため強制シャットダウンが実行されてしまいましたが──各部、問題ありません』
「通信は可能か? こちらは端末もヘルメットもやられた」
『いの一番に試しましたが、電波の届く範囲には誰もいないようです。ちなみに、周辺をスキャニングした所、来た道は落石で塞がれているようです』
・・・タイムラグもなく、人間のように会話が出来ている。
まるで中に人が入っているかのようだ。あんぐりと口を開けて二人の様子を観察してしまう。
『男の子が好きそうなメカだなぁ~』
「えぇっと・・・あれ・・・乗り物ですよね・・・? 小さめのヒーローさんが乗っている・・・タイヤが2つの・・・DVDで見た事が・・・でも・・・喋って・・・あれ・・・? あれ・・・?」
クロも軽くパニックを起こしているようだ。いつの間にか、擬人態に戻っている。
「やれやれ・・・運が悪いが、命があったのは不幸中の幸いだな・・・よし、先に進むぞ」
先程まで気絶していたというのに・・・顔の埃を袖で拭い、アカネさんは「テリオ」と呼んだバイクにまたがった。
・・・すごいバイタリティだ。
『で、どうするのハヤト?』
「そうだね・・・とりあえず無事みたいだし──」
盗み見するのも趣味が悪いし帰ろうか・・・と、言いかけたその時──
「・・・・・・ハヤトさん・・・! この道の奥に・・・・・・「います」・・・・・・ッ!」
「ッ⁉」
「今までに嗅いだ事がないニオイ・・・新しい怪獣・・・です・・・!」
クロの言葉に、背筋が凍った。
何とかアカネさんを引き止める術がないかを考えようとするが、既に彼女はバイクのペダルに足をかけている。
「つ、付いていこう! このままじゃ・・・アカネさんが危ない!」
『まったくもぉ~・・・バイク追っかけるのはボクなんだからね~?』
文句を言いつつも、走り出したバイクのスピードに合わせて、球体も飛んでいく。
視界の外へ流れていく景色のスピードを見るに、速さは時速40キロくらいだろうか。
「・・・ニオイが、近くなってます・・・!」
深海の時を思い出す。と、そこでアカネさんがブレーキをかけた。
『おぉっと~!』
慌てて、球体も停止する。・・・一体何があったんだろうか。
「・・・テリオ。この距離から熱源探知は可能か」
『了解しました。少々お待ち下さい』
前方を見据えて、バイクと何か喋っている。
目を向ければ、洞窟の先が少し明るく見える事に気付いた。
「・・・出口でもないのに、明かりが見えたって事なのかな?」
『う~ん・・・確かにこの先に、たくさん人がいる気配があるね』
怪獣のニオイのするところに・・・たくさんの人・・・・・・
一体、この洞窟の中で──何が行われているんだ───?
※ ※ ※
『──スキャニング完了。熱源が合計二十三・・・人間が二十二人。うち、銃器と思しきものを携帯しているのが八人』
「・・・残りの一つは?」
『─── 十三回ほど計測し直しましたが、間違いありません。高エネルギーです。同一波形のデータ該当なし。新種です』
「・・・・・・・・・本当に今日は、最高の日だな」
どっと疲れた感覚が肩に乗って、思わず何もかも投げ出してしまいたい気持ちにすらなる。
・・・しかし、そうも行くまい。
この先にいる連中は十中八九、ニーナ中尉たちの件に関与しているだろう。
洞窟の奥底で、ジャガーノートと一緒に怪しげな研究をしている連中ともなれば、聞きたい事は山程ある。
増援は期待できない。
私とテリオだけで──やるしかない。
テリオを引き連れつつ、物音を立てないよう、慎重に光源へと近づく。
目視で確認すると・・・高さ50メートルはあろうかという広々とした空間が、そこにあった。
巨大なコイルの付いたいくつもの装置が岩に押し潰され、白衣を着た連中が声を張り上げながら走り回っている。
先程の地震でパニックを起こしたままのようだ。
「・・・攻めるなら、今だな」
装置からは、大きなケーブルのようなものが伸びている。
落石の影響か、いくつかは断線しているようだが・・・その全てが、一箇所へと繋がれていた。
ケーブルの行き着く先──空間の奥には、全長20メートル以上はある「角」を生やした、これまた巨大な「頭」があった。
見た目は恐竜に似て、表面は周囲と同じ土色に包まれている。
首から後ろは壁にめり込んでいるために、その全容はわからないが───
「・・・No.005どもが逃げ出した原因は判ったな」
呟き、「エレクトリック・ガン」の出力設定を下げる。
対ジャガーノート用の電圧だと、人間相手ではほぼ間違いなく死ぬためだ。
これから全員連れ帰ってじっくり尋問する必要があるからな。
死んでもらっては困る。
「No.005にかましたのと同じ要領で、戦闘員から優先して小突いて行け。加減は任せる」
『了解です。腕が鳴りますね。では──行って参ります』
瞼を開けると、先程の僕たちと同じ状況になっているのだろう。
あたりが真っ暗な事に気付いたアカネさんは、手探りでヘルメットのライトを点灯させた。
「・・・そうか・・・さっきの地震で・・・っ! テリオ!」
周囲を照らして状況を確認したアカネさんは、倒れたバイクを発見すると、その車体に駆け寄る。
どうやら、脚にも大きな怪我はなさそうだ。
彼女は腰を入れてバイクを起こすと、挿さっていた鍵の・・・ボタン?を押した。
ブルン!とエンジンがかかる音がして、車体各部のライトが眩く光ると──
『申し訳ございません。マスター。自然現象如きに遅れを取りました』
「なぁっ⁉」
ば、バイクが喋った・・・⁉
予期せぬ事態に 思わず声が出たが、アカネさんが気付いた様子はない。
姿が見えないのと同じく、光も音も球体の外には届かないようだ。
「そんなに悔しいなら耐震性を上げておくようサラに頼んでおくんだな。まだ動けるか?」
慣れた様子でバイクと会話を続けるアカネさん。
・・・成程。自動運転だけじゃなくてAIも搭載されてるのか・・・
確かにこんなすごいものなら、口外されるとまずいよね・・・。
『──システムチェック完了。先程は緊急事態につき、データ保護のため強制シャットダウンが実行されてしまいましたが──各部、問題ありません』
「通信は可能か? こちらは端末もヘルメットもやられた」
『いの一番に試しましたが、電波の届く範囲には誰もいないようです。ちなみに、周辺をスキャニングした所、来た道は落石で塞がれているようです』
・・・タイムラグもなく、人間のように会話が出来ている。
まるで中に人が入っているかのようだ。あんぐりと口を開けて二人の様子を観察してしまう。
『男の子が好きそうなメカだなぁ~』
「えぇっと・・・あれ・・・乗り物ですよね・・・? 小さめのヒーローさんが乗っている・・・タイヤが2つの・・・DVDで見た事が・・・でも・・・喋って・・・あれ・・・? あれ・・・?」
クロも軽くパニックを起こしているようだ。いつの間にか、擬人態に戻っている。
「やれやれ・・・運が悪いが、命があったのは不幸中の幸いだな・・・よし、先に進むぞ」
先程まで気絶していたというのに・・・顔の埃を袖で拭い、アカネさんは「テリオ」と呼んだバイクにまたがった。
・・・すごいバイタリティだ。
『で、どうするのハヤト?』
「そうだね・・・とりあえず無事みたいだし──」
盗み見するのも趣味が悪いし帰ろうか・・・と、言いかけたその時──
「・・・・・・ハヤトさん・・・! この道の奥に・・・・・・「います」・・・・・・ッ!」
「ッ⁉」
「今までに嗅いだ事がないニオイ・・・新しい怪獣・・・です・・・!」
クロの言葉に、背筋が凍った。
何とかアカネさんを引き止める術がないかを考えようとするが、既に彼女はバイクのペダルに足をかけている。
「つ、付いていこう! このままじゃ・・・アカネさんが危ない!」
『まったくもぉ~・・・バイク追っかけるのはボクなんだからね~?』
文句を言いつつも、走り出したバイクのスピードに合わせて、球体も飛んでいく。
視界の外へ流れていく景色のスピードを見るに、速さは時速40キロくらいだろうか。
「・・・ニオイが、近くなってます・・・!」
深海の時を思い出す。と、そこでアカネさんがブレーキをかけた。
『おぉっと~!』
慌てて、球体も停止する。・・・一体何があったんだろうか。
「・・・テリオ。この距離から熱源探知は可能か」
『了解しました。少々お待ち下さい』
前方を見据えて、バイクと何か喋っている。
目を向ければ、洞窟の先が少し明るく見える事に気付いた。
「・・・出口でもないのに、明かりが見えたって事なのかな?」
『う~ん・・・確かにこの先に、たくさん人がいる気配があるね』
怪獣のニオイのするところに・・・たくさんの人・・・・・・
一体、この洞窟の中で──何が行われているんだ───?
※ ※ ※
『──スキャニング完了。熱源が合計二十三・・・人間が二十二人。うち、銃器と思しきものを携帯しているのが八人』
「・・・残りの一つは?」
『─── 十三回ほど計測し直しましたが、間違いありません。高エネルギーです。同一波形のデータ該当なし。新種です』
「・・・・・・・・・本当に今日は、最高の日だな」
どっと疲れた感覚が肩に乗って、思わず何もかも投げ出してしまいたい気持ちにすらなる。
・・・しかし、そうも行くまい。
この先にいる連中は十中八九、ニーナ中尉たちの件に関与しているだろう。
洞窟の奥底で、ジャガーノートと一緒に怪しげな研究をしている連中ともなれば、聞きたい事は山程ある。
増援は期待できない。
私とテリオだけで──やるしかない。
テリオを引き連れつつ、物音を立てないよう、慎重に光源へと近づく。
目視で確認すると・・・高さ50メートルはあろうかという広々とした空間が、そこにあった。
巨大なコイルの付いたいくつもの装置が岩に押し潰され、白衣を着た連中が声を張り上げながら走り回っている。
先程の地震でパニックを起こしたままのようだ。
「・・・攻めるなら、今だな」
装置からは、大きなケーブルのようなものが伸びている。
落石の影響か、いくつかは断線しているようだが・・・その全てが、一箇所へと繋がれていた。
ケーブルの行き着く先──空間の奥には、全長20メートル以上はある「角」を生やした、これまた巨大な「頭」があった。
見た目は恐竜に似て、表面は周囲と同じ土色に包まれている。
首から後ろは壁にめり込んでいるために、その全容はわからないが───
「・・・No.005どもが逃げ出した原因は判ったな」
呟き、「エレクトリック・ガン」の出力設定を下げる。
対ジャガーノート用の電圧だと、人間相手ではほぼ間違いなく死ぬためだ。
これから全員連れ帰ってじっくり尋問する必要があるからな。
死んでもらっては困る。
「No.005にかましたのと同じ要領で、戦闘員から優先して小突いて行け。加減は任せる」
『了解です。腕が鳴りますね。では──行って参ります』
応援ありがとうございます!
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