婚約破棄のその先は

フジ

文字の大きさ
23 / 49
そして私たちは

これから 2

しおりを挟む
涙が止まらずに言葉もつかえていると、あの人がハンカチを差し出してくれた。
そのハンカチは見たことある。それはー。

「そのハンカチは、マリー様とお揃いではないですの?!」

なぜ、そんなことができるの!なぜ、ここまで私を苦しめるんですの!とあの人を責める。

マリーが同じのを待っているかどうかなんて分からないよ、と悲しそうに言うあの人にまた腹立たしくなる。


「なぜ、そこまで無神経なことをできるのですか、私のことを愛していると言っているのに、なぜマリー様を思い出させることをするのですか…いったい何度私を傷つければすむのですか」


まだあの人はわからない、と顔をしている。
なぜここまで分からないのか。


なぜ、なぜーーー。
私のことを考えてくださらないのですかーー


それを思った時にハッとした。
突然黙った私にあの人はホッとしていた。


「そ、うです…わたくしは、私は」

「アンジー聞いておくれ、僕は」

「私は、マリー様のことは、気にしておりませんでした、」

さっきと矛盾したことが口から滑り出る。

もう疲れた。怒るのは、まだ関心があるから。
でももうこの人には、関心がなくなっていくー、
そうか、それが、このことの本心だった。

そのことにいきつき、ただただ呼吸が乱れた。
今の私はみっともないだろうー。
少しだけお化粧を施した顔は涙でぐちゃぐちゃで、世間が知っている何事も冷静沈着な私ではないだろうー。


「マリー様を優先なさっても私は構いませんでしたわ」


新しい涙がぽろぽろと流れ出る。
それを拭うこともせずに、ただあの人を見つめる。
これが最後だと、あの人も私も分かっていたー。
あの人の瞳にまだ情を感じて、私はそれをただ見つめ返した。


ーもう、その瞳には振り回されないわ。


「しかし、マリー様とお会いするたびに私へ何か罪悪感を感じたり申し訳ないなと思うのが、何もなかったのか悲しいのです」

そうだ、そこがー。

「罪悪感などは、私へ関心があってこその気持ち…あなた様からを感じたことが無いのです」

私を愛していると思っているのなら、マリー様とお会いすることに後ろめたくなるだろう。
私だけを愛していると思っているのなら、贈り物や出かける場所なども、違うものにしてくれるだろう。


私とマリー様の違いが何も無いことに、愛情の確信が持てなくて、愛情を感じられなくて。


その度に傷付いていたのだー。


そんな単純なことではない、そんな軽い話ではないのだ


「私は、もうついていけません」




あなたに感情を感じられないのです



これでわかったでしょう




もう話し合いもお終いー



しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~

銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。 自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。 そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。 テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。 その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!? はたして、物語の結末は――?

幼馴染の婚約者を馬鹿にした勘違い女の末路

今川幸乃
恋愛
ローラ・ケレットは幼馴染のクレアとパーティーに参加していた。 すると突然、厄介令嬢として名高いジュリーに絡まれ、ひたすら金持ち自慢をされる。 ローラは黙って堪えていたが、純粋なクレアはついぽろっとジュリーのドレスにケチをつけてしまう。 それを聞いたローラは顔を真っ赤にし、今度はクレアの婚約者を馬鹿にし始める。 そしてジュリー自身は貴公子と名高いアイザックという男と結ばれていると自慢を始めるが、騒ぎを聞きつけたアイザック本人が現れ…… ※短い……はず

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

処理中です...