バカなやつほど可愛い

フジ

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あいつは可愛いバカだー第三者からみた2限目ー

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ほんとさっきの授業は散々だった。隣のやつからメモがバンバン回ってきてそれに笑いを耐えるのに必死だった。
ふー…と、肩を回しながら意味もなく溜息を漏らして見る。
隣のやつが、おばあちゃんか、と突っ込んでくるが無視だ。

「あー!体操服忘れたーー!」

香苗が鞄をガサゴソしながら、どーしよー、紗也ちゃーん!と私に聞くが、知らん。

「他のクラスに借りてくれば?」
「かっしこい!そーするー!いってくるー!」

香苗が教室から走って出て行くと、隣のやつが着替えをしに、隣のクラスに移動しようと黒川君を誘っていた。

おーい、黒川いくべーー、と声を掛けるも、机に腰かけたまま動かない黒川君。

寝てんのかーおーい黒川ー無視しないでー!黒川ー!おおーい!と隣のやつは黒川君の肩を揺するも、黒川君は返事はしない。その代わり無表情で、近い、とばかりに、そいつの頬を押し返す。

いてえいてえいてえ!と言っている。よしもっとやれ黒川君。

「紗也ちゃーん…どーしよー…借りれなかったー」

いつの間にか香苗が帰ってきてて、しゅーんとうなだれている。

「あちゃー、なかったかー」

(うーん、どうしたら…今日は寒いから長袖の中に半袖を着るつもりだったから中の半袖なら貸せるか。寒いだろうけど忘れたやつが悪い)

どーしよーと言っている香苗に半袖を渡そうとした。

「香苗」
「わぁっ!」

いつの間にか黒川君が近くに来ていてジャージの長袖を香苗の頭からかぶせた。
ジャージに香苗はすっぽりと覆われていて、相当服が大きいことがわかった。

わわわ、と何が起きたか分からない焦る香苗に黒川君は少しだけ微笑んでいて、頭を出すのを手伝ってあげていた。

いつの間にかクラス中が静まり返っていて、2人をこっそり見ている。女子は頬を染めて。男子はニヤニヤ笑って。

(わかる、その気持ちわかる)

何だろ、こそばゆい感じだよね。


「え、黒川!今日さみーぞ?」

と隣の空気読めないやつが言う。

(そこでそれはスルーでしょ…)

ようやく顔を出した香苗は、そーだよ、借りれないよ!と脱ごうとする。それを黒川君は両腕を香苗の両肩に置いて阻止した。

一部の女男が色めき立つ。
なぜなら顔が近い。イケメンと可愛い子の絡み。眼福。

「着て」
「で、でも…」
「バカは風邪引くとこじらせるよ」

わけわからないよ、黒川君!
それを言うならバカは風邪ひかない、でしょ!

行くぞ、と空気の読めない男子生徒に声を掛けて黒川君は教室から出て行く。

「ありがとう、陽ちゃん!今日帰りに一緒に帰ろう!何かおごるよ!」
と香苗が言うと、黒川君は振り向かずに、手を振った。

そしてそのまま教室から出たー。


そんな黒川君に教室にいた人が、微笑んだ。

心の底から癒された、微笑ましい。



なぜなら黒川君は体操服を忘れていたからだー。



また空気読めない男子生徒が「あいつ、体操服忘れてったぞ」と言ってしまい一部の女子がボコボコにしていた。
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