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私サラリーマン、真っ白な部屋にて化け物と出会いまして
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おーい…、おーい!起きてんだろー?」
何やら遠くの方で声が聞こえる気がする。
「あらー?そろそろ起きてもいい頃なんだが…、こんだけ寝てたら、ちょっと落書きしてもバレないだろ。」
良くない事を言われているような。
とりあえず早めに目を開けた方がいいような気がした田中は、その重たいまぶたを開いた。
「おっ!やっと起きたかよー。暇すぎて顔に落書きしようとしてたとこだぞ!」
目を覚ますと、そこはだだっ広い真っ白な部屋の中であった。何も無いその部屋の隅で田中は起きた。
そして、田中は声のする方へ目を向ける。
そこに居たのは、明らかに見たことの無い黒い羽の生えた人型の化け物であった。
顔は青白く、ギョロっとした目、長い手足、2m以上あるであろう身長、そして何より両手を広げるよりも大きく、黒い翼がその生物の異形さを物語っていた。
「あ…あ…、お、お前は……一体…?」
田中は驚きのあまり力ない声で、その異形に問いかけた。
「おっ?俺か?ん~、名前なんかねぇからなー。」
そう話すと、異形は少し悩んだ様子を見せると、思い出したかのように話し出した。
「そうだ!一応お前らの世界では、「死神」って立ち位置みてぇだな、俺って。」
田中は、唖然とした。
というより、理解できなかった。
目の前の何かわからない生物が、いきなり死神だ、なんて口にする状況。
理解できるわけがなかった。
「なんだぁ?その「こいつは一体何を言ってるんだ!」みたいな目は?別に理解する必要はないんだぜ?俺は俺の仕事をこなすだけだからな。」
「し、仕事…?」
田中は、回ろうとしない頭を必死に働かせるために、とにかく異形に対して、会話をしようと必死だった。
そんな田中とは裏腹に、自分を死神と自称する異形は、田中からの質問に対して、面倒くさそうに答えた。
「んあ?そりゃ、俺らは死神だからよ、死んだ人間が天国に行くのか、地獄に行くのかを決めなきゃならねぇ。それが仕事だよ!」
田中はようやく頭が働いてきたようで
「そうか…、僕って死んだんだっけ…」
と、自分の状況を少しづつ理解し始めた。
「おっ!ようやくわかったか!」
異形は嬉しそうに話を続ける。
「そう!テメェは死んだんだよ!まぁ、ご立派な死に方だとは思うぜ?中々あんな勇敢な死に方、したくてもできるもんじゃあねぇ!」
「俺がどう死んだか、知ってるのか?」
田中は不思議そうに異形を見つめる。
「そりゃあなぁ、俺は死神だぜ?一応神様だ!それくらい知ってなくてどうするよ!」
異形は、笑いながらそう話した。
「本当に死神なのか?なんか僕の死神のイメージと結構違うから…」
異形は少し不機嫌そうに
「あのなぁ!勝手なイメージを俺に押し付けるんじゃねぇ!死神にも色々個性ってもんがあるんだ!人間だってあんだろ?それと一緒だよ!」
死神とは見た目こそ異形だが、性格はこんなにも人間味に溢れるものなのか。
田中は疑問に思ったが、それ以上に気になった事があった。
「き、君が死神なのはわかった!でも、俺は天国と地獄、どっちにいくの?どうやって決めるの?」
頭が冴えていくにつれて、さっき話していた内容が田中の頭をよぎる。
きっと、その不安が顔に出ていたのだろう。
死神は田中の顔を見て笑いながら
「キャハ、ようやく本題が話せるぜ!」
「まず、テメェらの死神のイメージってのはどんなのだ?」
田中はキョトンとしたが、とりあえず答える。
「ん~、人間が死ぬ間際に現れてあの世に連れてく神様って感じかな…?」
「まずテメェのそのイメージが間違ってやがるな。」
死神は少し不機嫌になったのか、眉間に皺を寄せながら、続けた。
「第1に俺達は、死んだ人間の前にしか現れねぇ。」
「えっ!そうなの?」
「今だってそうなんだよ!テメェはあの時撃たれて、今頃、現実じゃお陀仏だ。」
田中は、今普通に話している自分がいる以上実感はわかなかったが、確かに撃たれてなんの問題もないわけが無い。
そう、死んでいてもおかしくないのだ。
「そ!こ!で!だ。俺達の出番ってわけよ!」
「出番?」
「そうだ!俺達は、死んだ人間の前に現れて、自分が天国に行くのか地獄に行くのか「決めさせる」ってわけなんたな!これが。」
「そういう事なんだ…。」
そこで田中は死神の説明の中に、引っかかることがあった。
「ん?今、決めさせるって言ったよね?」
「お?そうだぜ?」
「決めさせるってことは、どっちに行くかは、僕が決めるって事?」
「おう!その通りだぜ!」
田中はまたキョトンとした。
「そ、そんなのみんな天国って言うんじゃないの…?」
田中の疑問は当然である。こういうのは良い行いをすれば天国へ行き、悪い行いをすれば地獄へ行くというのが、相場というか、よく聞くものである。
死神は、待ってましたと言わんばかりのニヤニヤ顔で答えた。
「キャハ、そう思うだろ?意外とそんなことねぇんだなーこれが。」
「そ、そうなの?」
もう田中が聞くと、死神は説明を始めた。
「あのな?テメェも今からするんだが、死んだヤツらは全員、俺達死神と会った日を0日目として、49日間現世をさまよってもらう。」
「49日?」
「そうだ、49日間。その間は人と話せるわけでも、ものに触れるわけでもねぇが、何をしてもいい。女湯覗いてもな?キャハ!」
田中は顔を赤くした。死神はその様子を見て指を指して笑っていたが、説明を続けた。
「キャハハハ!あんまりやりすぎると地獄直行だから気をつけろよ?」
「しないよ!そんなこと!!!!」
田中は顔を赤らめたまま、しっかりと否定したが、いわゆる何をしてもいいが、行いが悪いことを続けると選択権を失い、地獄に直行するようだ。
「まぁ、テメェも男だからな?多少は目をつぶってやるよ。」
どうやら、行いが悪いかどうかは、こいつのさじ加減のようだ。
「そんで、49日後にテメェは自分が天国に行くのか、地獄に行くのかは決めなきゃならねぇ。」
「ん?でもそれならさっきも言ったけど、みんな天国って…」
と、田中が話そうとすると
「話は最後まで聞け!!」
田中は驚いたが、とりあえずきくことにした。
「いいか?天国ってやつはテメェが思うような良いところじゃねぇんだ。もしもテメェに未練や、心残りがあれば天国に行ったあと、永遠にそれを現世に残して死んだことを懺悔し続けなければいけない。」
「逆に、地獄を選べば、苦痛を伴う懺悔を強制で行い
、懺悔を終え、全てを清算し終われば転生って形で、この世に生まれ直すことができるって訳だ!」
「えっ!転生って天国ですることじゃないの!?」
驚く田中に死神は笑いながら話し出す。
「キャハ!この説明を聞くと全員それ言うんだよな。」
「あぁそうだ!天国は、そこそこ良い所らしくてな、天国に行ったやつはみんな、現世に生まれ直すのを嫌がるらしいぜ?昔は天国からも転生できたらしいんだが、今じゃ地獄からじゃねぇと転生できなくなっちまったらしい。」
「そ、そうなんだ…」
田中は少し考えた後で、死神に質問した。
「じゃあ僕はとりあえず、49日で現世を回ればいいってことだね?」
死神は少し驚いたように答えた。
「おっ!物分りがいいじゃねぇか!そうだ!テメェはとにかく今から現世に戻って、好きなだけ回って来やがれ!なんかあれば、呼んでくれりゃあ、いつでも出てきてやるぜ!あとなんか聞いときてぇ事あるか?」
田中は小さく顔を横に振った。
それを見た死神は、笑いながら
「キャハ!潔良い奴はすぎだぜ!じゃあ、現世まで行ってらっしゃい!」
と言うと、死神は田中の背中を思いっきり叩いた。
すると、田中の体は真っ白い部屋の壁をぶち抜き、田中は気を失った…。
目を覚ますと、田中は見覚えのあるコンビニで目を覚ました。
何やら遠くの方で声が聞こえる気がする。
「あらー?そろそろ起きてもいい頃なんだが…、こんだけ寝てたら、ちょっと落書きしてもバレないだろ。」
良くない事を言われているような。
とりあえず早めに目を開けた方がいいような気がした田中は、その重たいまぶたを開いた。
「おっ!やっと起きたかよー。暇すぎて顔に落書きしようとしてたとこだぞ!」
目を覚ますと、そこはだだっ広い真っ白な部屋の中であった。何も無いその部屋の隅で田中は起きた。
そして、田中は声のする方へ目を向ける。
そこに居たのは、明らかに見たことの無い黒い羽の生えた人型の化け物であった。
顔は青白く、ギョロっとした目、長い手足、2m以上あるであろう身長、そして何より両手を広げるよりも大きく、黒い翼がその生物の異形さを物語っていた。
「あ…あ…、お、お前は……一体…?」
田中は驚きのあまり力ない声で、その異形に問いかけた。
「おっ?俺か?ん~、名前なんかねぇからなー。」
そう話すと、異形は少し悩んだ様子を見せると、思い出したかのように話し出した。
「そうだ!一応お前らの世界では、「死神」って立ち位置みてぇだな、俺って。」
田中は、唖然とした。
というより、理解できなかった。
目の前の何かわからない生物が、いきなり死神だ、なんて口にする状況。
理解できるわけがなかった。
「なんだぁ?その「こいつは一体何を言ってるんだ!」みたいな目は?別に理解する必要はないんだぜ?俺は俺の仕事をこなすだけだからな。」
「し、仕事…?」
田中は、回ろうとしない頭を必死に働かせるために、とにかく異形に対して、会話をしようと必死だった。
そんな田中とは裏腹に、自分を死神と自称する異形は、田中からの質問に対して、面倒くさそうに答えた。
「んあ?そりゃ、俺らは死神だからよ、死んだ人間が天国に行くのか、地獄に行くのかを決めなきゃならねぇ。それが仕事だよ!」
田中はようやく頭が働いてきたようで
「そうか…、僕って死んだんだっけ…」
と、自分の状況を少しづつ理解し始めた。
「おっ!ようやくわかったか!」
異形は嬉しそうに話を続ける。
「そう!テメェは死んだんだよ!まぁ、ご立派な死に方だとは思うぜ?中々あんな勇敢な死に方、したくてもできるもんじゃあねぇ!」
「俺がどう死んだか、知ってるのか?」
田中は不思議そうに異形を見つめる。
「そりゃあなぁ、俺は死神だぜ?一応神様だ!それくらい知ってなくてどうするよ!」
異形は、笑いながらそう話した。
「本当に死神なのか?なんか僕の死神のイメージと結構違うから…」
異形は少し不機嫌そうに
「あのなぁ!勝手なイメージを俺に押し付けるんじゃねぇ!死神にも色々個性ってもんがあるんだ!人間だってあんだろ?それと一緒だよ!」
死神とは見た目こそ異形だが、性格はこんなにも人間味に溢れるものなのか。
田中は疑問に思ったが、それ以上に気になった事があった。
「き、君が死神なのはわかった!でも、俺は天国と地獄、どっちにいくの?どうやって決めるの?」
頭が冴えていくにつれて、さっき話していた内容が田中の頭をよぎる。
きっと、その不安が顔に出ていたのだろう。
死神は田中の顔を見て笑いながら
「キャハ、ようやく本題が話せるぜ!」
「まず、テメェらの死神のイメージってのはどんなのだ?」
田中はキョトンとしたが、とりあえず答える。
「ん~、人間が死ぬ間際に現れてあの世に連れてく神様って感じかな…?」
「まずテメェのそのイメージが間違ってやがるな。」
死神は少し不機嫌になったのか、眉間に皺を寄せながら、続けた。
「第1に俺達は、死んだ人間の前にしか現れねぇ。」
「えっ!そうなの?」
「今だってそうなんだよ!テメェはあの時撃たれて、今頃、現実じゃお陀仏だ。」
田中は、今普通に話している自分がいる以上実感はわかなかったが、確かに撃たれてなんの問題もないわけが無い。
そう、死んでいてもおかしくないのだ。
「そ!こ!で!だ。俺達の出番ってわけよ!」
「出番?」
「そうだ!俺達は、死んだ人間の前に現れて、自分が天国に行くのか地獄に行くのか「決めさせる」ってわけなんたな!これが。」
「そういう事なんだ…。」
そこで田中は死神の説明の中に、引っかかることがあった。
「ん?今、決めさせるって言ったよね?」
「お?そうだぜ?」
「決めさせるってことは、どっちに行くかは、僕が決めるって事?」
「おう!その通りだぜ!」
田中はまたキョトンとした。
「そ、そんなのみんな天国って言うんじゃないの…?」
田中の疑問は当然である。こういうのは良い行いをすれば天国へ行き、悪い行いをすれば地獄へ行くというのが、相場というか、よく聞くものである。
死神は、待ってましたと言わんばかりのニヤニヤ顔で答えた。
「キャハ、そう思うだろ?意外とそんなことねぇんだなーこれが。」
「そ、そうなの?」
もう田中が聞くと、死神は説明を始めた。
「あのな?テメェも今からするんだが、死んだヤツらは全員、俺達死神と会った日を0日目として、49日間現世をさまよってもらう。」
「49日?」
「そうだ、49日間。その間は人と話せるわけでも、ものに触れるわけでもねぇが、何をしてもいい。女湯覗いてもな?キャハ!」
田中は顔を赤くした。死神はその様子を見て指を指して笑っていたが、説明を続けた。
「キャハハハ!あんまりやりすぎると地獄直行だから気をつけろよ?」
「しないよ!そんなこと!!!!」
田中は顔を赤らめたまま、しっかりと否定したが、いわゆる何をしてもいいが、行いが悪いことを続けると選択権を失い、地獄に直行するようだ。
「まぁ、テメェも男だからな?多少は目をつぶってやるよ。」
どうやら、行いが悪いかどうかは、こいつのさじ加減のようだ。
「そんで、49日後にテメェは自分が天国に行くのか、地獄に行くのかは決めなきゃならねぇ。」
「ん?でもそれならさっきも言ったけど、みんな天国って…」
と、田中が話そうとすると
「話は最後まで聞け!!」
田中は驚いたが、とりあえずきくことにした。
「いいか?天国ってやつはテメェが思うような良いところじゃねぇんだ。もしもテメェに未練や、心残りがあれば天国に行ったあと、永遠にそれを現世に残して死んだことを懺悔し続けなければいけない。」
「逆に、地獄を選べば、苦痛を伴う懺悔を強制で行い
、懺悔を終え、全てを清算し終われば転生って形で、この世に生まれ直すことができるって訳だ!」
「えっ!転生って天国ですることじゃないの!?」
驚く田中に死神は笑いながら話し出す。
「キャハ!この説明を聞くと全員それ言うんだよな。」
「あぁそうだ!天国は、そこそこ良い所らしくてな、天国に行ったやつはみんな、現世に生まれ直すのを嫌がるらしいぜ?昔は天国からも転生できたらしいんだが、今じゃ地獄からじゃねぇと転生できなくなっちまったらしい。」
「そ、そうなんだ…」
田中は少し考えた後で、死神に質問した。
「じゃあ僕はとりあえず、49日で現世を回ればいいってことだね?」
死神は少し驚いたように答えた。
「おっ!物分りがいいじゃねぇか!そうだ!テメェはとにかく今から現世に戻って、好きなだけ回って来やがれ!なんかあれば、呼んでくれりゃあ、いつでも出てきてやるぜ!あとなんか聞いときてぇ事あるか?」
田中は小さく顔を横に振った。
それを見た死神は、笑いながら
「キャハ!潔良い奴はすぎだぜ!じゃあ、現世まで行ってらっしゃい!」
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