【完結】追放された錬金術師、現代の「食品添加物知識」で辺境の村をたった3日で救う

ふじ朔太郎

文字の大きさ
3 / 4

3

しおりを挟む

​ その技術の噂は、すぐに辺境の村から王都の商人の耳に入った。

「一週間どころか、数ヶ月持つ保存食! しかも格安の材料で作れる!」

 これは、遠征や兵糧、そして長距離輸送が必要な行商にとって、まさに革命的な技術だった。

 ​ユウキが村に来てから五日目。

 村の広場には、王都から急いで駆けつけた数十人の行商人が集まり始める。

 彼らは皆、ユウキの作った保存食の技術を「秘伝の技術」とみなし、高額な金貨を積んで交渉を求めてきた。

「錬金術師殿! わが商会に秘術を売ってくだされば、金貨百枚を即座に! 王都への帰還も手配しましょう!」

「いや、二百枚だ! 領主様への口利きもする!」

 村は一瞬にして、金貨の匂いと商人の熱気に包まれた。

 ユウキは静かに、集まった商人の前で宣言した。
​「私はこの技術を王都の領主には売りません。そして、金銭も望んでいません」
「な、なんだと!?」
「その代わり、あなた方には、この村の『食糧供給ルートの独占権』を提供します」

 ユウキの出した条件は、技術提供の代わりに、王都の商会にこのエルナ村を食糧の「集積地」とし、食糧や資源の安定供給を保証させることだった。

 この契約により、エルナ村は辺境の貧しい村から、王都への重要な補給拠点へと生まれ変わった。

 そして、その成功の噂は、王都のヴェルナー家にも届いた。

「バカな! あのユウキが、あの無能が、たった数日で村を……!」

 追放した張本人である領主の息子、ゼインは顔面蒼白になった。

 自分が「無能」と見下し、粗末に扱った知識こそが、王都の経済すら動かし始めたのだ。

「もし、あの技術が王都にあれば……私の功績になったのに!」

 ゼインは即座に、二人の騎士を連れてエルナ村へ向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら最強賢者だけど、村人と思われたので好きに生きます ~気づけば聖女も勇者も跪いていた~

eringi
ファンタジー
戦場で散った青年リオは、異世界の辺境で「ただの村人」として転生した。だが、彼のスキル「思考加速」は世界最上位のチート。薬草を摘むだけで奇跡を生み、魔物を追い払えば伝説級。世界の英雄たちが“隠者の賢者”を追い求める中、本人は今日も平和な日常を満喫する――。 無自覚最強×ハーレム×ざまぁ要素満載の、痛快異世界スローライフ開幕!

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

神様の失敗作ガチャを引かされた俺(元SE)、ハズレ女神たちと寂れた異世界を「再創生(リ・ジェネシス)」する

月下花音
ファンタジー
過労死した社畜SE・天野創が転生したのは、創造神に見捨てられた「廃棄世界」。 そこで待っていたのは、ポンコツすぎて「失敗作」の烙印を押された三人の女神たちだった。 「麦が生えない? ……ああ、これ土壌パラメータの設定ミスですね」 「家が建たない? ……設計図(仕様書)がないからですよ」 創は持ち前の論理的思考と管理者権限を駆使し、彼女たちの「バグ(欠点)」を「仕様(個性)」へと書き換えていく。 これは、捨てられた世界と女神たちを、最強の楽園へと「再創生」する物語。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

処理中です...