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だから僕はマッチングアプリをやめた
しおりを挟む僕が二十代後半の頃、あまりの出逢いの無さから、今流行りのマッチングアプリに手を出したことがあった。街コンや合コンに参加するほど度胸がない僕には、性に合っているのではないか?と思えたのも要因の一つだ。現に、マッチングアプリで出逢い、結婚した友人も身近に居た。
まずはアプリをダウンロードし、本人確認とプロフィールの入力を済ませる。そして、ここで肝心なのが、プロフィールに掲載する写真だ。まずはそれなりに顔が分かるものを選択して、その他にも数枚の写真を掲載出来るとのことだったので、数枚の写真をアップロードした。僕は割と姑息なタイプなので、色々と計算してアップロードしていく。犬・猫、スウィーツ、ディズニーだ。あと、旅行系の写真も良さそうだったので、それっぽい写真を見繕ってアップロードした。
登録当初は足跡が凄い勢いで付いていった。好みカードなんてのもあって、ミーハーなものを適当に登録したのだが、そちらからも足跡がついていく。だが、それも次第になくなっていく。注目度は、登録日から日を追うごとに落ちていくのだ。結局のところスピード勝負なのだ。
僕がそのことに気付いた時には、足跡なんてものはほとんど来なくなっていた。”いいね”を送り相手からも返ってくると、トークが出来るようになるのだが、それもほぼ片道切符だった。途中からは、もうそもそも僕には日本人はあわないんじゃないか?と思い始め、在日外国人の方に絞っていいねを送る。一応何人かは返ってきたが、そもそもあまり上手く会話が出来ない。在日であっても文化が違う。その壁を上手く乗り越えられない。
最終的に、どんどん疑心暗鬼に落ち入り、次第にはアプリのシステムや世情のせいにして、夜な夜な酒に溺れる日々がやってきた。そうやって上手くいかないことの原因を、自分の外に探しだした時点で、終焉だったのだと思う。
僕はマッチングアプリを通して、自分の知らない世界や自分の悪いところを知れたのは良かったと思っている。しかしながら、何事にも向き不向きがあることもまた事実。きっと僕には向かなかったのだと思う。そうだ。そもそもヤマトナデシコ・シンドロームなのだから。
”だから僕はマッチングアプリをやめた。”
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