なんでもいい

榊 海獺(さかき らっこ)

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寂しがり屋達のOne Night Carnival(中編①)

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児童館に母を呼んだ僕は、すぐさま先生を呼ぶ。そして、説得開始だ。
「お母さん。息子さんは児童館で凄く一生懸命ギターの練習をしています。上達の為にも、自分のギターを買ってあげてはどうでしょうか?」
「あら。そうなんですか。私も若い頃フォークギターを弾いてたんですよ。」
初耳だった。そして、僕のギター購入は全く反対されなかった。

時期的に年末だったこともあり、お正月のお年玉でギターを買いに行くことなった。
お婆ちゃんからお年玉を受け取るや否や、親父が運転するトヨタのデリカに乗り込み、家族総出でいざお茶の水へ。楽器街の端にあったクロサワ楽器で、GiGS standardと書かれた\12,000の黒いストラトキャスターの初心者セットを買った。
帰りの車の中はひたすらそわそわしていたのを覚えている。”自分のギターを手に入れた”という事実が嬉しくて嬉しくて仕方がなかったのだ。
そして、家に帰った瞬間から即練習開始である。
まだライトハンドしか弾けないので、ひたすらライトハンドの日々が始まった。


冬休み中ライトハンドを猛特訓した僕は、3学期の始業式後に、クラスで一番仲が良かった直樹にギターを始めたことを伝えた。
「俺ギター始めたんだよね。」
「じゃあさ、バンドやろうぜ!」
「え。」
カミングアウトしたリアクションで、まさかのバンド結成が決まった。
「直樹。楽器はどうするの?」
「俺はボーカルだよ。」
「おー。マジか。」


当然のことながら、バンドは2人では出来ない。(サポートメンバーを雇えれば話は別だが、なにせ中学生なもので。)そこで、直樹が入っていた吹奏楽部で、ドラムを叩いていたユウジをなぜかベーシストとしてスカウト。(理由はよく覚えていない。)そして、児童館に来ていた僕の小学校の同級生で、絶対音感を持ったピアニスト 健治をキーボーディストとしてスカウト。これでボーカル、ギター、ベース、キーボードは揃った。あとはドラムだ。

ここからが大変だった。ドラマーだったユウジをベーシストとしてスカウトしてしまったことにより、ドラマーの当てが全く無くなってしまった。そこで妹の友達で、当時僕が弟のように可愛がっていた優(当時小学6年生)に声を掛けた。
「あのさ、バンドやるんだけどドラム叩いてくれない?」
「やったことないけど、いいよ。」
「え。本当にいいの。」
「うん。面白そうだもん。」
これまた即答だった。

これで奇跡的にメンバーが揃った。
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